「パウラ@ キョウフヘヨウコソ」(2022年9月1日初版発行)

 収録作品

・御茶漬海苔「桜子」
「森岡桜子は、桜丘高等学校に通う少女。
 彼女の母親は彼女を産んだ翌日に亡くなり、公務員の父親が男手一つで大事に育ててくれた。
 桜の花開く季節になると、彼女は父親と誕生パーティを祝い、翌日、母親の墓参りに行く。
 だが、16歳の誕生日、彼女は翌日の母親の命日にクラブの涼先輩から誘われていた。
 彼女は父親に部活があると嘘をつき、墓参りの後、涼先輩の部屋に行く。
 彼は彼女の身体を求めるも、彼女は拒否。
 帰宅後、父親の部屋で日記を見つけるが、そこには彼女が捨子だと書かれていた。
 その夜、涼先輩は首吊り死体となって発見される。
 悲嘆に暮れる桜子に、涼の友人のガイが話しかける。
 彼によると、涼先輩は何者かに殺されたらしく、「50ぐらいの男」が彼の部屋を眺めていたらしい。
 二人は犯人について調べるうちに、意外な事実が明らかになっていく…」

・空路「美女と鬼女」
「佳介と信良はある少女に夢中であった。
 その少女は通学途中にある西洋館の窓辺にいつも佇み、外を眺めていた。
 雨の日、二人が西洋館の前を通りかかると、あの少女が門の中にいる。  少女は二人に「わたし みにくい?」と尋ね、二人は否定するも、彼女の母親は彼女を醜いと決めつけ、外に出さないようにしているらしい。
 そこに母親が現れ、二人に二度と少女に近づかないよう怒鳴りつけて、少女を家の中に連れ戻す。
 ある夜、佳介と信良は屋敷に忍び込み、少女を助け出そうとするのだが…」

・もろおか紀美子「狂信の家」
「里見久美子(26歳)は同じ会社で同い年の真壁隆司から猛烈なアタックを受け、交際からわずか三か月で結婚する。
 傍目には幸せに見えたものの、久美子は一つ大きな不安を抱えていた。
 それは彼も彼の実家もある新興宗教にはまっていて、長男である彼はそのうち実家を継ぐことであった。
 久美子は過去、新興宗教に入信して、ひどい目にあっており、隆司は無理に入会しなくていいと言ってくれる。
 しかし、結婚後、家庭と仕事の両立に久美子はひどく疲れ、夜、奇怪な体験をするようになる。
 夫が大切にしている仏壇の前に巻物が置かれてあるが、この巻物に大勢の死者の霊が一列になって入って行くので視えるのである。
 彼女がこのことを夫に報告すると、これは間違った生き方をしているせいと言われ、結局、彼女は入信することとなる。
 これをきっかけに信者が毎晩、訪れるようになり、久美子は精神的にもう限界。
 だが、脱会すれば離婚すると脅され、夫が正気でないと気づいた時には時すでに遅く…」

・千之ナイフ「毬夜の池」
「三人の少女(理奈、美樹、由絵)は夏休みを利用して、小旅行をする。
 湖のほとりのペンションの予約を取っていたが、ペンションでは予約が入ってないと断られ、途方に暮れていると、山の方の旅館を案内される。
 その旅館は女将と下男の厄三の二人でやっており、廊下には少女を模した気持ちの悪い人形が飾られていた。
 女将はこの人形を一人娘の毬夜だと話し、人形を生きている人間のように扱う。
 由絵は霊感が強く、この旅館を不安視するも、他に泊まれる場所もない。
 旅館の裏に池があることを知り、理奈と美樹は泳ぎに行くが、その間に由絵の様子がおかしくなる。
 彼女を休ませ、夕食の後、理奈たちも寝るが、由絵の行方がわからなくなり…」

・日野日出志「切り裂きX」
「私立花園女子高校。
 星さとみは成績はトップ、スポーツは万能、そして、美人とあって、学園の人気者であった。
 しかし、ある日から、彼女の机に「切り裂きX」を名乗る人物から、脅迫文と共に、呪い人形や動物の死体が入れられるようになる。
 彼女を親友の黒田ゆきや担任の男性教師は励ますが、彼女の疑心暗鬼は募るばかりで、奇怪な幻想に度々襲われるようになる。
 「切り裂きX」の正体は…?」

 渋い面子の揃ったホラー・アンソロジーです。
 どの作品もベテランによるもので出来は安定してますが、大傑作「毬夜の池」が読めるのがデカい!!
 これだけでも「買い!!」だと私は思います。(でも、税込みで1980円はやっぱり高いな…。)

2024年4月29日 ページ作成・執筆

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