砂川どろ
「怨画@」(2020年4月11日初版発行)
「怨画A」(2020年9月7日初版発行)
「怨画B」(2021年3月5日初版発行)
「怨画C」(2021年10月7日初版発行)



単行本@(「マンガUP!」2019年9月〜11月掲載)
・「第1話」
 渕上友羽はアシスタントをしながら、漫画家を目指す青年。
 彼は水江仁社という出版社でシナリオライターの浦形鈴と一緒に怪奇マンガを描いていた。
 ある日、彼は彼女から「観ると死ぬ動画」の話を聞く。
 浦形は大学の後輩がその噂話をしているのを聞いて、作品に採り入れたが、自分では観たことはなかった。
 渕上はその動画に興味を持ち、動画サイトにつながるURFを送ってもらう。
 喫茶店でネームをしている時、URFが届き、その動画を見ると、その喫茶店の近くが映っている。
 映像は喫茶店の中に入っていき、彼のいる二階へと向かう。
 しかも、動画を消そうとしても、スマホが反応しない。
 彼が振り返ると、亡霊の群れが迫っていた。
 亡霊たちは奇妙な歌を歌いながら、首をしきりに振っている。
 彼は逃げ出すも、何故か、身体中に火傷が広がっていく。
 彼が必死の思いでスマホをタップし続けると…。
・「第2話」
 渕上は編集者の竜塚の事故死を目の当たりにする。
 竜塚の死は渕上が彼に動画のURFを送ったことが原因と考え、渕上は罪の意識に苛まされる。
 アシスタント先の鬼脇先生と浦形は彼のアパートを訪ね、落ち込む彼を励ます。
 その夜、彼のアパートで再び怪現象が起きる。
 今度は足を引きずる音が聞こえてくるのだが…。
・「第3話」
 竜塚に続き、鬼脇も不審死を遂げる。
 渕上は罪の意識に耐えられず、自分が死ねば全てが終わるかもしれないと自殺を試みる。
 浦形はそれを止め、彼に送ったURFを開き、動画を観るのだが…。
・「第4話」
 浦上のもとに亡者の群れが迫る。
 追い詰められた彼女はこの動画から助かる方法を悟る。
 だが、それは他人を自分の身代わりにする行為であった。
 彼女は身代わりにたてることを拒否して、どうにかして逃げようとするのだが…。
・「第5話」
「もしも、この動画が呪いの類なら、専門家に相談した方が良い。
 とりあえず、渕上と浦形は同じ水江仁社内にある「月刊モー」編集部に連絡を取り、訪れる。
 そこには深大寺(真面目な眼鏡男性)、猿童(「デスノート」のLみたいな感じ?)、兎木萌良(霊感娘)の三人がおり、二人はことの次第を伝える。
 一通り、この動画がどのようなものか整理した後、猿童から亡霊たちの歌を歌ってみるよう頼まれる。
 渕上が勇気を振り絞って歌うと…。

単行本@(「マンガUP!」2019年12月〜2020年7月掲載)
・「第6話」
 モー編集部は兎木の親戚である瓜生葉久という霊能者に連絡を取る。
 葉久はすぐに来ると言うが、渕上にはまたもや危機にさらされていた。
 その頃、社内の児童書編集部では久呂岩、北巻、丸下という三人の女性社員がパソコンでこの会社に関連した人物が二人変死したニュースを見ていた。
 変死した人物がメールで助けを求めていたと知り、久呂岩は死んだ竜崎から送られてきたメールを他の二人に見せる。
 そのメールには「たすけて」というメッセージの下にURFが貼り付けてあった。
 丸下がそのURFをクリックすると、会社の近所が映された動画が現れ、ビルが丸ごと停電する。
 それなのに、そのパソコンだけは電源が入っていた。
 彼女たちの運命は…?
・「第7話」
 渕上たちは瓜生葉久の経営するバーに行く。
 瓜生は動画の霊について詳しく、最初に頭を振りながら現れる霊は「遣霊(遣いの霊)」で、以降、何度も付きまとう霊は「集霊(人間の亡骸を集める霊)」と呼ぶという。
 実は、彼は四年前にも同様の事件が起き、除霊を依頼されていた。
 依頼人は与間という三人家族(両親と8歳の娘)で、動画を見せられて霊に憑りつかれたという。
 しかし、霊は強力で、父親と娘のこよりは死亡、母親は精神を病み、精神病院に入院するという結末を迎える。
 葉久はこれを悔やみ、ずっと調べ続けていたところ、新興宗教団体「紅い輪」が動画と関係あることを突き止める…。
 一方、警察は水江仁社で起きた原因不明の大停電と怪死事件に頭を悩ましていた。
 紫月刑事は竜崎の事件からこれに関わっており、四年前の事件との類似に気付く。
 更に、社内カメラに残された映像から「観ると死ぬ動画」がこの怪死事件の中心にあることを確信する。
 そこへ恐るべきニュースが飛び込んでくる。
 怪死事件の続いた水江仁社がネットで話題となり、「観ると死ぬ動画」のURFが拡散されまくっているのであった。
 動画の犯人の手掛かりは、動画を観て生き残った人間とそれを四年前から知っている人間から得るしかないが…。
・「第8話」
 動画について知るには、四年前の生き残りである母親の与間志津理に会うしかない。
 夜、渕上たちは彼女が入院している「わのなか病院」を訪れる。
 何故か出迎えてくれたのは看護婦で、病院に一泊することを許してくれる。
 だが、ここは生気が全くなく、しかも、彼らは看護婦たちに見張られているようであった。
 そんな中、兎木がトイレに行ったまま、行方がわからなくなる…。
・「第9話」
 看護婦たちが姿を消した隙に、彼らは部屋を出る。
 瓜生葉久・渕上・浦形は与間志津理と会いに、そして、深大寺・猿童・久呂岩の三人は兎木を探すため、二手に分かれる。
 一方、紫月は部下の黄野と共に病院に侵入する。
 彼らの目的も与間志津理に会うことであった…。
・「第10話」
 深大寺たちが目指すのは建物の左側にある塔。
 そこが怪しいが、案内図には塔のことは載っていない。
 久呂岩は隠された通路があるのではと考え…。
 その頃、渕上たちは階段を登り、閉鎖病棟の入り口までたどり着くのだが…。

単行本B(「マンガUP!」2020年8月〜2021年0月掲載)
・「第11話」
 閉鎖病棟で浦形鈴は集霊に襲われる。
 瓜生や渕上から共有するよう言われるも、浦形はこれ以上の拡散することに抵抗を覚える。
 彼女の身体は集霊に覆われていき、渕上は何とか彼女を助けようとする…。
 一方、深大寺たちは塔へと到達する。
 その先の部屋では何かの儀式が行われているようだが、凶器を持った信者が見張りに立っていて、うかつに近づけない。
 すると、部屋から霜芽先生と呼ばれる、顔の左半分が爛れた中年女性が現われ…。
・「第12話」
 深大寺たちの前に連れて来られた兎木は変わり果てた姿になっていた。
 霜芽たちは彼女を車椅子に乗せ、廊下の奥に連れて行く。
 深大寺たちは彼女を取り戻そうとするが、凶器を持った信者たちが襲いかかってきて…。
・「第13話」
 瓜生たちは与間志津理の病室に入る。
 そこで瓜生は何故、彼女が動画の霊に殺されなかったのか、その理由を知る。
 だが、それはあまりに非人間的な行為によるものであった。
 瓜生は亡くなった、こよりの霊と再会するが、彼女を救うことができるのであろうか…?
・「第14話」
 医院長室に飾られていた風景画。
 それに描かれていたのは輪取島という、上陸しただけで祟られると言われる島であった。
 この島の住民はわずかで、子供が何故か短命なことで知られている。
 また、観光地として開発しようとしたところ、次々と事故が起こり、被害者は皆、バラバラになったという。
 渕上、浦形、瓜生、深大寺、猿童、久呂岩の六人は刑事の紫月、黄野と共に輪取島へフェリーで向かう…。
・「第15話」
 港に到着した一行は島の地図をチェックする。
 輪取島の集霊山の中腹に「紅い輪」の本部があるが、一本道しかなく、その距離は15キロ。
 彼らは日が暮れる前に本部に着くべく、山道を急ぐ。
 途中、渕上は足を滑らせ、浦形と共に崖から転落。
 ロープでもなければ上がれそうになく、瓜生は二人を心配して、自分も崖を降り、三人で行動することとなる。
 三人は崖沿いに行き、崖上の一行と声を掛け合いながら、進むのだが…。

単行本C(「マンガUP!」2021年3月〜10月掲載)
・「第16話」
 瓜生葉久は集霊に取り込まれ、ひとまず、渕上と浦形はその場から逃げる。
 しかし、行けども行けども、奇妙な石に囲まれた社(やしろ)のある場所に出てしまい、どうやらループしているらしい。
 渕上は社に瓜生を助けるヒントがないかと考えるのだが…。
 一方、深大寺たちは公園に出る。
 そこには何かを祀ったような場所があり、横に石碑が立っていた。
 その石碑には、動画と一緒に流れる歌の歌詞が刻まれており、その意味は…。
・「第17話」
 渕上と浦形は「まよけの穴」という洞窟へと逃げ込む。
 進んだ先の広場に先程の社がまたあり、それを昔の島民の亡霊が「ゆるして」と繰り返しながら拝んでいた。
 そこに異形と化した瓜生が現れ、進退窮まった渕上はスマホの電源を落とす。
 真っ暗闇の中、二人は互いを探すのだが…。
 一方、深大寺たちは廃墟の輪取島郷土資料館で手掛かりを探す。
 その最中、地震が起こり、久呂岩はショーケースの下敷きになり、身動きが取れなくなる。
 更に悪いことに、彼女の身には集霊が迫りつつあった…。
・「第18話」
 霜芽の率いる「紅い輪」の信者が資料館を取り囲む。
 猿童は霜芽に「紅い輪」の崇拝し、動画で流れる歌にも出てくる「ジンワ様」とは何なのか?と尋ねる。
 「人輪(じんわ)様」はこの島が作った、未完成の神様で、この世に生み落とされた時、あらゆる天災と人災が世界を覆い尽くす。
 それによって現れる世界とは…?
・「第19話」
 集狩トンネルで渕上・浦形と猿童・紫月・黄野は合流する。
 トンネルには島の歴史が絵で説明されていたが、それには「人輪様」誕生の秘密が込められていた。
 「人輪様」と「観ると死ぬ動画」の関連は…?
 そして、「紅い輪」本部に連れて来られた五人の運命は…?
・「第20話」
 「人輪様完全復活の儀」が始まる。
 互いに傷つけあう信者たち。
 このままでは渕上たちは皆、いけにえにされてしまう。
 渕上が絶望した時、彼の心の中に現れたのは…?
 「人輪様」に対抗するために必要なものとは…?

 「観ると死ぬ動画」と「カルト宗教」をリンクさせた意欲作です。
 ありきたりな都市伝説ものかと思いきや、ストーリーをちゃんと練っており、ミステリー・ホラーとしてなかなかの出来だと私は思います。
 ただ、この「紅い輪」というカルト宗教がめちゃくちゃ過激な教義で、これが現実味がなさすぎる故に、多少、ストーリーを把握しづらくなっております。
 実際、こんなもんにはまる奴がいるのか、最後の最後まで引っかかってました。(漫画だと言われれば、まあ、そうだけど…。)
 あと、動画が爆発的に拡散されて、たくさんの死者が出ているはずなのですが、これに関して、描写がないのは寂しかったです。
 ともあれ、ストーリー自体は面白く、最後までぐいぐい読ませるので、ホラー好きは一読の価値ありです。

2025年1月3・4・7・8日 ページ作成・執筆

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