すがやみつる「赤い死神」(1976年4月10日初版発行)

 収録作品

・「赤い死神」(旺文社「中一時代」所載)
「冬、北国の中学校に転校してきた小早川光。
 彼の父親は、新築された市立病院の院長になったのである。
 転校初日、彼は、水野弥生という女生徒から凄まじい殺意と憎悪を感じ取る。
 彼女は、美しいが、暗い顔をした少女であった。
 放課後、彼は彼女の身体が赤い炎に包まれる様を目にして、駆け付けるが、彼女の姿は消えてしまう。
 その夜、彼女に近づくなと警告した長岡という不良が、大勢の犬に噛み殺される。
 彼のダイニング・メッセージ「いぬがみ」を目にして、光は犬神について調べ始める。
 すると、水野弥生の家系は犬神憑きであることが判明。
 更に、十三年前、この地の市立病院に勤めていた父親が、弥生の父親の脳の手術をしていたことがわかる。
 それは、脳の腫瘍を取り除くものであったが、その腫瘍は明らかにもう一つの大脳であった。
 弥生の父親は植物人間となり、その後、入水自殺をする。
 そして、十三年後、何者かが光と彼の父親の命を狙う…」

・「ぐにゃぐにゃエスパー」(秋田書店「冒険王」所載)
「ススムは、ハラ・ゲーラーの出演したテレビ番組を観て、超能力者となる。
 学者のお墨付きを得て、テレビにも引っ張りだこで、すっかり有名人。
 だが、奇術師の旭日斎臭汗(きょくじつさいしゅうかん)の企みに引っかかり、インチキ呼ばわりされてしまう。
 失意のススムに、ハラ・ゲーラーの出たテレビ番組を観て超能力を得た少年少女達から応援のテレパシーが届く。
 どうも超能力は伝染するものらしく、ススムはどんどんテレビに出て、仲間を増やしていって…」

・「あの娘にスマッシュ!」(旺文社「中一時代」所載)
「チビの大原とうすらデブの畠山は、アメリカンスクールのシンシアに夢中。
 ある日、シンシアは二人に、テニスの特訓をしようと申し出る。
 実は、彼女の学校が、二人の学校から男女混合試合を申し込まれたのだが、生憎、彼女の相方のジョージが不在。
 そこで、試合の前日に、試合で勝った方と、ペアと組もうというのである。
 早速、大原と畠山は道具を揃えて、テニスの猛特訓に励むが、そのうちに、テニスにのめりこんでいく。
 だが、試合の直前に、ジョージが戻って来て、約束はあっさり反故。
 そこで、二人が取った作戦とは…?」

・「おれたちの海賊船」(旺文社「中一時代」所載)
「田児村には漁船はあっても漁師はいない。
 海は工場のヘドロで魚が取れず、また、その保証金で漁師達は皆、裕福となり、今や車で工場に通っていた。
 その中で、一平の家だけは貧乏であった。
 彼の父親はあくまで漁師を続けようとして、禁漁区で漁をしていたところを見つかり、刑務所入り。
 一年前には母親を亡くし、今は祖父と二人暮らしであった。
 彼も父親と同様、漁師に憧れるも、所詮は中学生の身で、学校では「海賊」とバカにされる。
 だが、彼の担任の女教師の励ましにより、自分は海賊だと開き直り、自信を取り戻す。
 そして、年に一度の竜神様のお祭りのために、漁船を修理するのだが…」

・「闇夜にドッキリ!」(旺文社「中一時代」所載)
「高松良介は古代史が専門の大学教授で、年がら年中、古墳を発掘してばかり。
 ある時、娘の順子が結婚相手を連れて来て、猛烈に怒り狂う。
 というのも、結婚相手の津島邦彦は、建設会社の社員だからであった。
 家族は父親の理解のなさにあきれるが、父親は、古墳発掘の素晴らしさを体験させようと、順子と、息子のあきらを強制的に古墳発掘に連れていく。
 そこで、二人は、偶然に、古代人が埋葬されている石室を発見する。
 あきらは古墳の発掘をやめさせようと、これを利用して、作戦を立てるのだが…」

・「カミナリパパ日記」(旺文社「中一時代」所載)
「晴野進一の父親は、テレビ俳優の晴野元太郎。
 元太郎は強くて渋い「カミナリ半次」の役で有名だったが、実生活ではからきし意気地がない。
 動物が全くダメで、女房の尻にひかれっぱなし。
 また、息子の進一も、「カミナリ半次」の息子というイメージで見られるために、大迷惑。
 ある日、進一は、憧れの女の子に頼まれ、ドラマ撮影の見学に連れていく。
 しかし、父親が子猫でパニックを起こしてしまい、皆、幻滅してしまう。
 父親の不甲斐なさを嘆く進一の声を偶然、マイクが拾い、それを聞いた父親は…」

・「ランドくん」
 二ページほどのギャグ漫画で、雀の子供を拾った話と、ゴールデン・ウィーク中の父親の話が二編。

 「ゲームセンターあらし」で有名な、すがやみつる先生の少年誌向けの作品を六編、収録した単行本です。
 基本はコメディーですが、「赤い死神」だけはかなり力の入った、怪奇マンガの佳作です。
 隠れた名作ではないでしょうか。

2019年12月13日 ページ作成・執筆

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