鈴原研一郎「悪魔のロザリオ」(1969年4月30日発行)

 収録作品

・「悪魔のロザリオ」
「田代かおりは、田代病院の院長の娘。
 十三歳の誕生日、彼女は何者かからロザリオのネックレスを贈られる。
 パーティに付けて行こうとするものの、なおみという、身寄りのない入院患者の少女にあげる。
 そして、誕生日パーティの席上、彼女がケーキの箱の蓋を取ると、ケーキは、三年前、少女の生首を模した蝋人形にすり替えられていた。
 その少女は、三年前に病院で狂い死にしていた。
 更に、田代院長に、なおみが瀕死の状態だと連絡が入る。
 かおり達が駆け付けると、ロザリオの鎖がなおみの首に喰いこみ、彼女は死亡。(注1)
 ロザリオには自動的に鎖が中に巻き込まれる仕掛けが施してあった。
 かおりが警察に電話しようとすると、父親は内密に処分したいとやめさせる。
 しかし、かおりの周囲では奇怪なことが続き、彼女は自分が何者かに狙われていることを悟る。
 彼女の命を狙うのは誰…?
 三年前に、病院で狂死した少女と何か関わりがあるのであろうか…?」

・「三つの願い」
「下っ端の船乗り、トム。
 ある港町で、彼は未亡人から呪いの壷を買う。
 この壷には不思議な力があり、何でも願いを叶えてくれるが、三つ目の願いをした時、人は不幸になると言う。
 また、この壷を売る時は、買った時の半分の値段で売らねばならない。
 トムは壺に願いをかけ、憧れの石油王の令嬢、エリザベートと恋仲となり、また、莫大な遺産を手に入れる。
 しかし、エリザベートには許嫁がおり、彼は、彼女を花嫁にするよう、三つ目の願いをかける。
 駆け落ちしたエリザベートと彼はようやく結婚を許されるが、彼には不幸の影が忍び寄っていた。
 トムは壺の呪いを解くべく、その壷を探す旅へ出る…」

 恐らく、週刊雑誌に連載されたものを単行本化したものと思います。(掲載雑誌等は不明)
 「悪魔のロザリオ」はストーリー的にはいいと思いますが、袖で「本当にこわいものは、わたしの性にはあわないとみえる」と書かれてある通り、あと少しな感じ。
 病院が舞台で、サディスティックな描写もあり、とことんまでやれば傑作になっただろうに、まあ、作者の資質と言われれば、仕方ないよね…。
 「三つの願い」は、スティーブンソンの短編が元ネタのはずです。(大昔に読みましたが、手もとに本がないので、確認取れてません。)
 鈴原研一郎先生は少女マンガで活躍した御方ですので、なかなか巧みに漫画化しており、ラストは漫画の方がいいと思います。
 ただ、何故、主人公が四つ目の願いを叶えてもらえたのか?という説明がされておらず、惜し過ぎます。

・注1
 カルトなホラー映画「怪人ドクター・ファイブス」で、蛙のマスクをかぶったら、ネジで締まる仕組みになっていて、死んでしまうシーンを思い出しました。
 ちなみに、この映画、手術で妻が死んだことを根に持った男がトリッキーな方法で手術を担当した医者達を殺していくという内容(うろ覚え)で、観返したい映画です。
 あと、続編に「怪人ドクター・ファイブスの復活」がありますが、こちらは殺人方法が遥かに陰湿で、かなりイヤな印象です。
 この映画での「電話の受話器から針」は御茶漬海苔先生の作品で使われていたような気が…。(またもや、うろ覚え)

・備考
 本体、曲がり。

2018年4月16日 ページ作成・執筆

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