はざまもり「惨劇の娘」(1993年6月15日第1刷発行)

 収録作品

・「惨劇の娘」(1992年「セリエミステリー」11月号掲載)
「資産家として知られる押坂一家殺人事件。
 犠牲者は、当主の老婆、老婆の長女、佐和子。佐和子の夫。そして、二人の娘の花恵。
 容疑者とされたのは、押坂麻里亜(18歳)で、押坂家当主の長男、清人の一人娘であった。
 だが、清人の妻は水商売の女で、結婚を反対された二人は家を出るが、二人とも亡くなったため、麻里亜は引き取られたのである。
 彼女は、押坂家で冷たい視線にさらされながら、成長する。
 唯一の理解者は、使用人の息子、原田敬介であったが、身分の壁のため、麻里亜を守ることができない。
 麻里亜は卑劣な手段で純潔を汚され、堕落していくが…」

・「永遠のフォーチューン」(1991年「セリエミステリー」7月号掲載)
「久本陽介・弓子は結婚五年目の夫婦。
 二人は休暇を寂れた温泉町で過ごすことになる。
 浜辺を歩いていた時、崖の上に、若干、荒れてはいるものの、風情ある洋館を見かける。
 ふとしたことから、二人は、洋館に住む相原真木という女性と知り合い、館に招かれる。
 洋館は、真木の大叔母の持ち物で、彼女は、地上げにあいながらも、決してこの館を手放そうとはしないと言う。
 というのも、大叔母は昔、この海岸で心中を図り、恋人を亡くしていた。
 そして、いつか再び、恋人が転生して、自分のもとに戻ってくると信じていたのである。
 久本夫妻はこの館に泊まることとなるが、真木の陽介を見る目付きはどうも怪しい。
 陽介とすれ違いの多い弓子は、これを敏感に察知するのだが…」

・「赤い迷宮」(1989年「セリエミステリー」7月号掲載)
「輸入会社のオーナー、朝日奈慎一の刺殺事件。
 容疑がかかったのは、妻の朝日奈曜子(25歳)。
 彼女は自分が殺したのではないと主張するが、凶器には彼女の指紋しかなく、服は血にまみれていた。
 しかも、彼女はノイローゼで、精神科医にかかっていたことが、より容疑を強める。
 彼女について調べると、天涯孤独の身で、夫からはパワハラを頻繁に受け、更に、夫には愛人がいた。
 状況から見て、彼女の犯行と思われるが、彼女を監視していた刑事はそれに疑いを抱くようになる…」

・「子供部屋にようこそ」(1991年「セリエミステリー」11月号掲載)
「熊沢直人が目覚めたところは、二階堂病院の病室であった。
 彼の両親は居眠り運転で、海に転落し、亡くなり、彼だけが一人、助かったのである。
 医者の父親が借金ばかり残していたため、彼は親戚からは見放されていたが、一人だけ、西岡沙織と名乗る、派手めの女性だけが面会に来る。
 彼女は父親の友人だったらしく、彼の父親に「貸し」があるらしい。
 一方、直人は、病院に対して、不信感を抱く。
 両親の死が事故死でないことを知り、彼は重病患者として面会謝絶とされ、誰とも会えなくなる。
 沙織はどうにか、彼に会おうとするのだが…」

2021年1月10・11日 ページ作成・執筆

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