横山仁/柴田一成・原案
「戦国ゾンビ@」(2008年5月24日第1刷・2009年6月24日第4刷発行)
「戦国ゾンビA」(2008年11月24日第1刷発行)
「戦国ゾンビB」(2009年6月24日第1刷発行)
「戦国ゾンビC」(2010年2月24日第1刷発行)
「戦国ゾンビD」(2010年10月24日第1刷発行)
・「第一葬」(単行本@)
「1582年冬、甲斐国。
総大将、武田勝頼の軍は織田信長・徳川家康などによる連合軍との戦いで壊滅し、敗走する。
勝頼とその跡取りの信勝(紗羽姫/側室の子で、二年前、信勝が病死した際に代わりとなる)はそれぞれ別ルートを進み、天目山の栖雲寺(武田一族の菩提寺)での合流を目指す。
そして、彼らを護衛するのが一騎で四百の兵に匹敵すると言われる「赤葬兵」であった…
(メインの赤葬兵は以下の通り。
赤葬兵隊長〜金丸衆四男・金丸定光…もろにだるま顔。武田勝頼につき従う。
赤葬兵副長〜金丸衆五男・土屋昌恒(つちや・まさつね)…主人公。兄の土屋昌次にスパルタな特訓を受ける。顔から身体にかけて火傷の痕があるが、その秘密とは…?
赤葬兵〜多田新蔵…怪力。無口で情け容赦ないが、実は…。
赤葬兵〜小山田弥介…銃の名手。乱射しまくり。
赤葬兵〜小宮山友晴…甲斐でも有数の槍の使い手。豪快な武将。忠義に篤い。
赤葬兵〜穴沢次太夫…馬鹿力のデブチン。しょっちゅう腹を減らしてる。
赤葬兵〜岩下総六郎…いつも冷静で理知的なオヤジ。
赤葬兵〜金丸衆六男・土屋正直…昌恒の弟。肝が小さい。
赤葬兵見習い〜薬袋小助…登場してすぐに紗羽姫をかばって死ぬけれど…。)」
・「第二葬」(単行本@)
「信長は勝頼・信勝の『御首級』をあげた者に甲斐・信濃を血を分け与えると宣言。
徳川家康をはじめ、様々な武将が武田親子を猛攻する。
勝頼は途中、傷つき、自刃することを決意する。
だが、彼に甲斐源氏を再興するための『秘策』を用意していた…」
・「第三葬」(単行本@)
「紗羽姫の一行は天目山に入るも、栖雲寺の道は敵勢が先回りしていた。
とりあえず、洞窟に隠れるが、洞窟は奥に続いているらしい。
奥に向かうと、父親の死体に縋り付いて泣いている少年がいた。
紗羽姫が彼を哀れに思い、抱きしめると、少年に異変が起こる。
更に、洞窟の奥から化け物の群れが…」
・「第四葬」(単行本@)
「昌恒たち赤葬兵は化け物と戦うが、いくら傷を与えても倒れない。
しかも、落盤により退路を断たれ、奥に進むしかなくなり…」
・「第五葬」(単行本@)
「勝頼と別れた後、その奥方(北条夫人)と側近衆、赤葬兵(金丸定光・小山田弥介・穴沢次太夫・岩下総六郎)は天目山を目指し進んでいた。
そこに重傷の薬袋小助が現れる。
情報を得ようとするも、小助は定光の手に噛みつき、その指を喰いちぎる。
小助は首をはねられ、定光がその手当てをしていると、勝頼の奥方が彼にある話を打ち明ける。
それは奥方は連合軍に下るというものであった。
定光は急な頭痛に苦しみながらも、紗羽姫のことを案じ、残りの三人の赤葬兵に彼女の隊と合流するよう命令する。
そして、栖雲寺でなく、天目山の地下を目指し、元武田軍の隻眼の軍師、山本勘助晴幸に会うよう伝える…」
・「第六葬」(単行本A)
「武田勝頼と信勝(金丸衆七男・秋山親久が身代わりとなる)は三河軍に捕らえられる。
これも紗羽姫たちが逃げるための時間を稼ぐためであった。
その時、三河軍の本陣が「鬼」の襲撃を受けているという知らせが入る。
「鬼」は武田軍かと思いきや、味方や三河軍の兵士もいるという。
そして、その「鬼」は勝頼たちのもとにも押し寄せてきて…」
・「第七葬」(単行本A)
「到着した赤葬兵の小山田、岩下、穴沢と合流し、紗羽姫の一行は洞窟の出口にたどり着いたものの、周囲は「鬼」の群れに覆い尽くされていた。
更に、岩下から勝頼が捕まったことを知り、紗羽姫は意識を失う。
どうしたらよいか思案に暮れていると、洞窟の出口に築いたバリケードを「鬼」が突破する。
また、小山田弥介が「鬼」を撃ったことから無数の「鬼」が彼らのもとに殺到し…」
・「第八葬」(単行本A)
「昌恒たちは一日中、駆けまわり、ようやく「鬼」たちをまくことに成功。
岩の裂け目に身を潜め、しばしの休息を得る。
だが、土屋正直は本隊からはぐれてしまい…」
・「第九葬」(単行本A)
「三河軍本陣。
参謀の本多正信は徳川家康に「鬼人の病」の噂について話す。
これは二十年前の甲斐小山田領で起きた大火災と何かの関連があるらしい。
そして、これは「軍師」の考えによるものというのだが…。
一方、土屋正直は「鬼」やゾンビ化した犬に追われ、樹上に逃げる。
そこで彼は「鬼」が化物でなく、人間が何かの奇病にかかっていることに気付くのだが…」
・「第十葬」(単行本A)
「土屋正直は「鬼」と戦い、力尽きたところを謎の武人たちに助けられる。
この武人たちと共にいたのは山本勘助であった。
武人たちは特殊な武器を携帯しており、「鬼」を易々と倒す。
彼らが向かう先とは…?
一方、昌恒たちは「鬼」たちの包囲が緩んだすきに天目山の地下に向け前進する…」
・「第十一葬」(単行本A)
「彼らの前に金丸定光が姿を現わすが、彼は「鬼」と化していた。
岩下総六郎は定光に関節技をかけ、動きを封じるも、気づいた「鬼」たちが集まってくる。
「鬼」は多田、小宮山、小山田に任せ、昌恒と穴沢は紗羽姫を連れて逃げるのだが…」
・「第十二葬」(単行本A)
「怒りに我を忘れた土屋昌恒。
それにより、紗羽姫は窮地に陥る。
また、それに気を取られた他の赤葬兵たちも…」
・「第十三葬」(単行本B)
「三河軍本陣。
徳川家康は本多正信から武田方の武士たちが天目山の地下に通じる洞穴にくだっていたとの報告を受ける。
しかも、その武士たちはいともたやすく「鬼」を退治していたという。
その話の途中、本陣は「鬼」の襲撃を受ける。
徳川家康は追い詰められるが…」
・「第十四葬」(単行本B)
「昌恒たちは「鬼」からの逃亡に失敗し、昌恒、穴沢、小宮山は傷つく。
それでも、彼らは命を賭けて、紗羽姫を守ろうとする。
彼らはこの窮地を脱することができるのだろうか…?」
・「第十五葬」(単行本B)
「三河軍本陣。
徳川家康はどうしても信勝の首が欲しいが、彼女を護衛する赤葬兵は「鬼」と同じぐらいに厄介であった。
これについて本多正信は話し合うと、三河軍に小宮山友晴をよく知る男がいた。
この男は辻弥兵衛(つじ・やへえ)で、小宮山と義兄弟の契りを結んだ仲で、もと赤葬兵であった。
小宮山と辻は武田勝頼に甲斐を追放されていたが、武田に忠誠を誓う小宮山と出世欲の強い辻は別々の道を歩むこととなる。
その後、辻は三河軍に入り、こつこつと功績を重ねるが、ことあるごとに小宮山を仕官させてもらえないかと本多正信に頼んでいた。
辻をうまく使えば、面白いことができるのではないかと正信は考える。
そして、もう一人、正信が目を付けたのは土屋昌恒であった…。
一方、紗羽姫たちは天目山の地下に迎え入れられる。
そこで「鬼」に身体のあちこちを喰いちぎられた昌恒は手荒い治療を受けていた…」
・「第十六葬」(単行本B)
「入浴を終えた紗羽姫は赤葬兵たちのもとに行き、今までの礼を言う。
これまで経験したことで彼女は「武田の主」として生きる覚悟を決める。
そして、山本勘助に「武田家再興の策」を教えてくれるよう頭を下げて頼む。
その時、兵士が入り口付近をうろうろしていた男を捕らえてくる。
その男は辻弥兵衛であった…」
・「第十七葬」(単行本B)
「山本勘助に案内され、紗羽姫と赤葬兵たちは最下層へと降りる。
そこには無数の水がめが集められていた。
「武田の秘策」とは…?
その頃、傷の癒えた土屋正直は兄の昌恒と再会する。
昌恒は左腕を失っていたが…」
・「第十八葬」(単行本B)
「紗羽姫たちは「武田の秘策」の真実を知り、絶句する。
しかも、それが今回の悲劇の原因で、紗羽姫はこの責任を取ろうとするが…。
その頃、天目山地下に「鬼」の大群が進みつつあった。
それにまぎれ、三河一の武人、本多忠勝と闇の精鋭部隊「刻怨軍」が忍び込む…」
・「第十九葬」(単行本B)
「鬼が迫りくる中、紗羽姫の一行は地下のトンネルを進み、越後を目指す。
小山田弥介は武器の補充に出かけてはぐれ、小宮山友晴が「鬼」たちを足止めする。
あらかた「鬼」を片付けた時、辻弥兵衛が姿を現わすのだが…。
辻の目的とは…?」
・「第二十葬」(単行本C)
「天目山の地下城は「鬼」で溢れかえる。
小山田弥介は銃の弾薬が枯渇し、身動きが取れなくなっていた。
そこに二人の子供(又蔵と宇女)が「鬼」に追われて走ってくる。
弥介が彼らを助けると、宇女は弾帯を抱え持っていた。
この弾帯は祖父に届けるためのもので、祖父は銃器庫で鬼と戦っているというのだが…」
・「第二十一葬」(単行本C)
「又蔵と宇女を従え、弥介は出口を探す。
そこに山本勘助の侍女が現れ、抜け道を教えてくれる。
彼女の正体は「巫女頭領」望月千代女であった。(くノ一みたいなもの?)
一方、辻弥兵衛の制止も聞かず、刻怨軍は小宮山友晴に襲いかかる。
瀕死の傷を負いながらも、小宮山は本多忠勝に戦いを挑む…」
・「第二十二葬」(単行本C)
「爆発炎上する天目山。
小宮山友晴の末期の一撃は本多忠勝に届くのか…?
その後、弥介たちは紗羽姫の一行と合流する。
弥介は裏切者の辻弥兵衛を連れてきていた。
辻の処分は紗羽姫に委ねられるが…」
・「第二十三葬」(単行本C)
「天目山を脱出して三日目、ようやく信濃国に入る。
宇女が熱を出し、紗羽姫も休養が必要なため、一行はある村に立ち寄る。
その村は人気がなく、「鬼」を恐れて村人は皆、逃げ出したように思えた。
弥介はある家で暖を取ろうとすると、頭巾を付けた謎の男たちに襲われる。
同時に、紗羽姫たちも村人たちに取り囲まれる。
村人たちは紗羽姫たちを「鬼」と呼ぶが…」
・「第二十四葬」(単行本C)
「この村は大覚という教祖を信仰し、村人たちは皆、彼に操られていた。
男たちは捕らわれ、村の中央に吊るし上げられる。
そして、紗羽姫と千代女は別室に監禁される。
大覚の従者の大蛇は紗羽姫の陣太刀を目にして、彼女が武田の血筋だと知ると、ある野望が目覚める…」
・「第二十五葬」(単行本C)
「大蛇の虚言より、昌恒たちは鬼扱いされて、火あぶりにされる。
この窮地を脱出する術はあるのか…?
一方、紗羽姫と千代女は見張りを倒し、武器を手に昌恒たちを探す。
だが、彼女たちの前に現れたのは「鬼」であった…」
・「第二十六葬」(単行本C)
「村は「鬼」だらけとなり、昌恒たちは籠城するも、四方八方、上からも「鬼」は攻めてくる。
昌恒たちが奮戦していると、小屋が突如、爆発。
昌恒が紗羽姫を捜していると、二人の刻怨軍がいた。
更に、その場に本多忠勝も現れ…」
・「第二十七葬」(単行本D)
「土屋昌恒はたった一人で本多忠勝に立ち向かう。
その間に正直と千代女は弥助たちのもとに向かう。
弥介は「鬼」に襲われ、かなりの深手を負うが、駆けつけた多田新蔵に窮地を救われる。
多田新蔵は紗羽姫がさらわれたと聞き、その後を追うが…」
・「第二十八葬」(単行本D)
「本多忠勝の一撃を受け、昌恒は瀕死の状態となる。
忠勝が去った後、昌恒の脳裏に浮かんだのは…。
一方、刻怨軍にさらわれた紗羽姫は…」
・「第二十九葬」(単行本D)
「弥介、正直、千代女、又蔵、宇女の前に現れた一人の刻怨軍。
彼は刻怨軍の中でも相当の実力者で、全く歯が立たない。
刻怨軍が子供にも手を出そうとした時、千代女が彼に組み付き、弥介に自分もろとも撃ち抜くように言うのだが…」
・「第三十葬」(単行本D)
「多田新蔵は紗羽姫と共に逃げるが、途中、「白い鬼」と出会う。
これは突然変異種で、恐ろしく凶暴であった。
多田新蔵は「白い鬼」から紗羽姫を守ろうとするが、三河軍からも攻撃を受け…」
・「第三十一葬」(単行本D)
「多田新蔵は三河軍と死闘を繰り広げる。
騎馬武者から馬を奪い、紗羽姫と共に逃げようとした時、昌恒が現れる。
姫は昌恒に任せ、多田新蔵は三河軍と対峙するが、またしても「白鬼」が…」
・「第三十二葬」(単行本D)
「紗羽姫たちの一行に刻怨軍の一隊が次々と襲いかかる。
逃げる途中、紗羽姫は「鬼」に噛まれるが、それでも、昌恒たちは希望を捨てない。
昌恒が盾となり、正直と紗羽姫は前へと進む…」
・「最終葬」(単行本D)
「紗羽姫と正直は海岸にまでたどり着くも、刻怨軍の生き残りに追いつめられる。
昌恒は八つ裂きにされており、正直は刻怨軍と対決するも、力量不足は明らか。
それでも、最後の最後まで彼は紗羽姫を守ろうとしたその時…。
武田と三河、雌雄を決すのはどちらであろうか…?」
様々な国や時代でゾンビは暴れておりますが、この漫画では「戦国時代」の「甲州征伐」が舞台です。
私は戦国時代に興味がなく、詳しいことはさっぱりわかりませんが、実在の武将や地名を登場させて、日本史のファンなら4割増しぐらいに楽しめるのではないでしょうか?(私もこの度、いろいろと調べて、かなり勉強になりました。)
作品としてはエンターテインメント性、グロ度共に高く、ゾンビものとしてはかなりの出来と思います。
ただ、後半になるにつれて、荒唐無稽さが加速度的に増してくるのが好き嫌いが分かれるところかも…。
4巻のカルト村(エロ度高し(注1))や5巻ラスト付近の主人公の常軌の逸し方はちょっと入り込めませんでした。
あと、個人的には、本多忠勝に引っかかりました。
バトルものには剣を一振りするだけで敵が大量に死ぬ描写がよくありますが、こういうのを見ると、私、シラケちゃうんですよね。(注2)
んで、そんな奴が片腕かつ傷だらけの主人公を手加減せず瀕死のダメージを与えて、大人げないと私は感じました。
まあ、アツい御人ではありますが、やはり、フェアであってほしいものです。
・注1
エロ度が高いのはいいけれど、「アイドル雀士スーチーパイspecial」(セガサターン)みたいなマネはせず、ちゃんと乳輪を描いてほしい。
でも、後で裸の女性たちがゾンビにかじられる描写があるので、良しとしましょう。
・注2
大学生の頃、スペインの古典文学「エル・シッドの唄」を読みましたが、記憶によるとキリスト教徒の英雄が劍を振ると、イスラム教徒がバタバタ死んでました。
こういう描写って昔からあるの?(確認はしてませんが、「三国志」や「水滸伝」にはありそう。)
2024年5月21〜25・28日 ページ作成・執筆