好美のぼる「妖怪七変化」(1972年9月18日初版発行)
「近未来。
人類が生き延びるには、公害に汚染された地球から脱出するほかない。
そのためのロケットに搭載する重力場エンジンを日本の稲垣博士が開発する。
しかし、自国の利益を図る、様々な国がそのエンジンをが狙い、怪獣やロボット、妖怪といった方法で研究所を襲う。
研究所を守るため、稲垣博士は孫娘のミチを薬でセブンマンに変える。
人類の命運を左右する、セブンマンの活躍に皆様、ご期待ください…」
故・好美のぼる先生を代表する一冊です。曙コミックスでは「妖怪屋敷」と並び、話題に上がることが多い作品です。
ありがたいことに、唐沢俊一・編「好美のぼる傑作選 あっ!生命線が切れている」(二見書房/1998年4月25日初版発行)にて、単行本がまるまる復刻されておりまして、割と容易に読めます。(巻頭のイラスト・ページが多少削られてはおりますが、些細なことです。上中央と右上に未掲載の画像を一部載せました。)
何はともあれ、当時はやっていた「レインボーマン」(注1)の要素を何の考えもなく、泥臭い妖怪マンガに取り入れる、安直さが素晴らしい!!
しかも、如何にもバッタものオーラがムンムンの「セブンマン」の変身の際の掛け声は「七変化GO!」
如何なるセンスの下に描かれたのか、さっぱり想像がつかないという、凄いマンガです。
あと、本書を読まれたことのない方のために、復刻されたマンガを読む前の予備知識です。
「セブンマン」は七つのものに変身できます。
「一変化GO」→少女からりりしい青年になります。
「二変化GO」→ヒトデのような頭をした竜。(左上画像の竜みたいなやつが、それです。)
「三変化GO」→何でも溶かす粘液を放つ化け物。
「四変化GO」→「岩男もどき」もしくは「分身」。(作者が混乱していたためか、四変化は二種類あります。)
「五変化GO」→「鼻の穴が額についている、巨大なモンスター」。
「六変化GO」→「三対の翼を持つ鷹もどきのモンスター」。
「七変化GO」→「セブンマン」。
「ミッチーGO」→もとの少女の姿に戻ります。
これを頭に入れておけば、多少は読みやすくはなるかもしれません。(こんなことに脳の容積を使うことに意義があるかどうかは疑問ですが…。)
ちなみに、曙コミックスの帯で、好美のぼる先生、この作品は「S.F.もの」だと書いております。
一応、「SF」の要素はありますが、決して「SF」ではないですよね、これって…。
この点に関しては、機会があれば、貸本時代の作品「霊獣」にて触れたいと思っております。
・注1
「妖怪七変化」は(そのスジで)有名なマンガですので、念のために、グーグルで検索してみました。
他の方の文章によると、このマンガに影響を与えたのは「レインボーマン」ということです。
ただ、私は特撮に興味のない人間ですので、「レインボーマン」は主題歌を知るのみで、観たことはありません。あしからず…。
2016年9月23日 ページ作成・執筆