佐伊村司
「惨劇領域 シャークパニック@」(2020年8月1日初版発行)
「惨劇領域 シャークパニックA」(2020年9月1日初版発行)

 単行本@
・「chapter.1 仲間」
 午前五時の千丞海岸。
 そこに六人の若者が集まる。
 彼らは高校時代の仲間で、卒業して六年後に同窓会に集まったのであった。
 メンバーは以下の通り。
 海人〜元・皆のリーダー。今はフリーター。
 真帆〜海人の彼女。
 竜三〜地元で漁師をやっている。同窓会会場となる中古のレジャーボートを都合した。
 夏菜子〜地元で働いている。
 アユミ〜福岡のホテルでパティシエとて働く。
 瑛太〜眼鏡野郎。クールそうに見えて、意外とテンパる。
 早速、海へと出た彼らは、一艘のボートを見かける。
 アユミと夏菜子はボートに泳いでいくのだが…。
・「chapter.2 孤立」
 彼らの前に突如、現れた巨大な鮫。
 竜三は餌食となり、海人は右足のふくらはぎを喰いちぎられる。
 更に、夏菜子とアユミはボートに取り残される。
 瑛太は救助を呼ぼうと船を動かすが、スクリューにロープが絡まってしまい…。
・「chapter.3 戦慄」
 ボートの夏菜子とアユミは、鮫がいないかどうかを調べつつ、櫂で漕いでレジャーボートに近づいて行く。
 あともう少しというところで、鮫に襲われ、二人は投げ出される。
 夏菜子は、負傷したアユミをボートに上げるのだが…。
・「chapter.4 亀裂」
 夏菜子は、鮫のいる中、レジャーボートに向かって泳ぐ。
 海人は、彼女を助けようと手を伸ばすが…。
・「chapter.5 不撓」
 ボートに一人取り残されたアユミ。
 彼女を救うため、海人は、ナイフを手にして、スクリューに絡みついたロープを切りに単身、海に潜る。
 彼が海中で見たものとは…。
・「chapter.6 歯牙」
 クルーズ船に戻った海人はある決断をしていた。
 戦後、千丞湾の鮫を退治した方法で、彼は鮫とさしちがえようとする。
 だが、彼の決断を聞いた瑛太は…。
・「chapter.7 逆襲」
 すっかり《「ジョーズ」のラスト》状態のクルーズ船。
 アドレナリンMAXの海人は、自分の命を賭けて、鮫との一騎打ちに臨む。
 夏菜子はボートへ泳ぐよう言われるが…。
・「chapter.8 孤立」
 鮫と共に海に沈む海人。
 彼は生き延びることができるのか…?

 単行本A
・「chapter.9 暗闇」
 生き残った三人は夜の海を、壊れたボートで漂流する。
 だが、アユミの傷から流れ出る血で、ボートの周りには鮫が集まり始め…。
 一方、港町では、海に鮫が出たとパニックになっていた。
 そんな中、竜三の兄、竜二が、中古艇ショップを訪れる。
 竜三は、勤める中古艇ショップのボートを無断で借りたのであった。
 竜二の漁船、竜神丸に、竜三の同僚の仁、中古艇ショップの女店長、そして、数十年前に巨大鮫と戦った竜二の祖父が乗り込み、彼らは竜三を捜しに海へと出る…。
・「chapter.10 救助」
 イタチザメに襲われ、絶体絶命の海人達。
 そこに竜神丸が通りかかり、救いの手を差し伸べる。
 助かったかと思いきや、海底に沈んだはずの鮫がまだ生きていた!!
・「chapter.11 復讐」
 竜二の祖父は、この鮫が竜三の仇と竜二に伝える。
 竜二は銛を片手に海に飛び込み、弟の仇をとる。
 だが、祖父は、この鮫は「千丞湾の鮫」ではないと言う…。
・「chapter.12 再来」
 鮫の死体と共に、竜神丸は港へと向かう。
 その船を驚異的なスピードで追うものがソナーに映る。
 竜二は、船の運転を仁に任せて、その鮫を待ち構えるのだが…。
・「chapter.13 飛翔」
 鮫に銛を打ち込んだものの、鮫は海中に潜る。
 竜二は、鮫が船を引っぱり続け、体力が尽き、海面に上がったところでブチ殺そうと考える。
 舵をとる祖父以外は銛を手に待ち構えるのだが…。
・「chapter.14 騒乱」
 巨大鮫の体当たりを喰らって、沈没寸前の竜神丸。
 海人と竜二は竜神丸の船体に上がり、あるだけの銛を鮫に打ち込もうとする。
 しかし、鮫の進路に、気絶して海に浮かぶ夏菜子の姿があった…。
・「chapter.15 老獪」
 銛を幾つも打ち込まれながらも、鮫は死なない。
 そこで、海人は網を利用することを思い付く。
 鮫を網にかけるために、海人は自ら囮となるのだが…。
・「chapter.16 暁光」
 網を張った方向に鮫を引き寄せる役目。
 海人はそれを引き受けて、海へと潜る。
 海中で彼が対峙したものとは…。

 スピルバーグの「ジョーズ」以降、海のホラーと言えば、「鮫」でキマリなのであります。
 ただ、映画は腐るほど、あるものの、怪奇マンガでは、鮫を題材にした作品はほとんどないように思います。(注1)
 どうしても「ジョーズ」の二番煎じになりますし、船や海の資料を集めるのも大変だからでしょう。
 そんな条件にもかかわらず、佐伊村司先生は「ジョーズもの」に果敢に挑戦いたしました。
 内容的には「鮫もの」のパターンを大きく逸脱するものではありませんが、いろいろと工夫を凝らしており、面白いです。
 更に、二巻目では「復讐に燃える海の漢達(見るからに怪しい爺様含む) vs 人喰い鮫」の壮絶なバトルが描かれ、アツいです!!(現実感には若干、欠けるとは思いますが…)
 ともあれ、B級ホラー好きには充分、お勧めできる作品だと思います。
 ただ、「chapter.4 亀裂」にて、夏菜子が何故助かったのか、説明がないところがひっかかります…。

・注1
 個人的に思いつくものは、忠サクマ・劇画/一条明・シナリオ「劇画JAWS」だけです。
 まあ、これに関しては、映画を観た方が有意義だと思いますが…。
 余談ですが、「午前十時の映画祭」で「ジョーズ」をやっていた時、観に行きたかったなあ…。(やはり、スクリーンで観たい!!)

2021年9月5〜7日 ページ作成・執筆

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