磐秋ハル
「屍町アンデッド@」(2016年6月29日初版発行)
「屍町アンデッドA」(2017年1月29日初版発行)
「屍町アンデッドB」(2017年8月27日初版発行)
「屍町アンデッドC」(2018年5月29日初版発行)



単行本@(「Webコミック Beat's」2015年11月/「MAGCOMI」2016年2月〜4月配信分)
・「EPISODE 1」
 x県東鹿羽町。
 町の横には巨大な黒い箱があり、町が一区画すっぽりと覆われていた。
 その中にあるのは「地獄」だと言う。
 ある日、東鹿羽町薊ヶ丘第一高校の化学教師、葛城柘榴(かつらぎ・ざくろ)は体育教師の谷村渡から声をかけられる。
 用件は、生配信のサイトに、葛城のクラスの東条と、谷村のクラスの南が映っている映像についてであった。
 二人は下水道を通って、黒い箱の中を見に行こうとしていたが、配信は途中、悲鳴で終わる。
 授業の後、葛城は東条に職員室に行くよう指示を出す。
 だが、彼の身体には異変が起きつつあった。
 「屍体」化した東条は前の席の生徒を襲い、学校はパニックになる。
 葛城は一人「屍体」達を倒しに行くが、彼には目的があった。
 葛城柘榴の秘密とは…?
・「EPISODE 2」
 山中広樹は最近、この町に転校してきた。
 ある日、帰宅すると、母親が、黒い背広に色眼鏡の、チャラい感じの男性と会っていた。
 母親は「仕事の人」と言うが、「屍体化の兆候が出た際は…必ず自殺してくださいねぇ」という男の言葉が引っかかる。
 しかも、母親は得体の知れない内服薬と銃を渡されていた。
 翌日、彼は担任の葛城に あの黒い箱の中身は何なのか質問をする。
 そして、彼は母親が会った怪しい男について話す。
 その日遅く、山中が帰宅すると…。
・「EPISODE 3」
 東鹿羽町の薊ヶ丘で「屍体殺しのニワトリ男」の噂が立つ。
 このニワトリ男は夜中に「屍体」を殺しまわるが、生きた人間も平気で巻き込んでいた。
 ニワトリ男は、「箱」(「屍体」の調査・研究をする組織)の人間にも目を付けられ、特に、この地区担当のエージェントである波金は異常な興味を示す。
 ある夜、葛城は「那由多組」で「屍体」が出たとの情報を得る。
 彼が現場に向かうと、そこはまさに「バケモノ屋敷」と化していた。
 そして、ここでニワトリ男と出くわす。
 ニワトリ男の正体とは…?
・「EPISODE 4」
 薊ヶ丘4丁目は「屍体」による被害が顕著なため、廃棄が決定される。
 学校は閉鎖となり、葛城は家を捨てることになる。
 最大の問題は、妹の小桃であった。
 武器を置くために借りた、山中の小屋に、どうにかして連れ出さなければならない。
 彼は小桃を鎖で拘束してから、麻酔を打ち、大きなスーツケースに入れる。
 そのスーツケースを持ち、彼は避難民の受付所へと出向くが、雑踏の中、突如「屍体」が現れ…。

単行本A(「MAGCOMI」2016年6月〜11月配信分)
・「EPISODE 5」
 薊ヶ丘4丁目が二つ目の箱に入れられて一週間。
 葛城は山小屋に小桃を匿っていた。
 小桃は昏睡状態で栄養が必要だが、山の中で「食料」があるのかどうかわからない。
 とりあえず、食料を探しに出るが、留守の間、小桃がさらわれる。
 小屋にいた男に聞くと、ガスマスクを付けた巨大なバケモノが少女を連れ去ったという。
 男の名は漆原織也で、下巣テレビのディレクターであった。
 彼と仕事仲間の綿貫は取材のため、鹿羽町の千田病院に潜入するも、バケモノに追われ、逃げてきたと言う。
 千田病院は「箱」の隔離実験施設だったらしく、一見、廃墟のようだが、今でも研究施設として稼働していた。
 葛城は漆原と協力することにして、千田病院へ入って行くと…。
・「EPISODE 6」
 二人はある少女によってピンチを救われる。
 この少女はバケモノに連れてこられたが、何とか逃げて、天井裏で息を潜めていたらしい。
 少女は他に捕まっている人がいると言い、葛城と漆原がその部屋に入ると、実験に使われた「屍体」が幾つもあった。
 その先の部屋に牢屋があり、小桃と綿貫が拘束されていた。
 葛城と漆原が牢屋を開けようとした時、部屋の入口が閉まり、監禁されてしまう。
 スピーカーから流れる声は、二人に殺し合うよう命令。
 そして、生き残った方は血を採られるが、部屋から出ることができ、また、モルモットからの解放、そして、屍体抗体を得ることができると話す。
 屍体抗体のため、葛城は漆原にナイフで襲いかかるが…。
・「EPISODE 7」
 部屋を脱出した漆原は四階の中央管理室で、鹿羽町の映像を全世界に流そうとする。
 しかし、もしも世界中で混乱が起きれば、小桃の治療どころの騒ぎでなく、漆原を止めようと、葛城が中央管理室に向かう。
 すると、漆原は気絶していて、USB等の記憶媒体は破壊されていた。
 その場にあの少女が現れ、スタンガンで葛城を襲う。
 この少女はこの病院の院長の娘のようなのだが…。
・「EPISODE EX」
 箱の外にいる「箱」(「屍体」の調査・研究をする組織)の人間の仕事は大きく三つに分けられる。
@前線で死体を鎮圧する係
A諜報や連絡を行う仕事
B被験体を選びデータを得る仕事
 このBの仕事は、ワクチンと称して、屍体細胞を普通の人間に飲ませ、その「屍体」化を観察・分析し、いずれは治癒につながる抗体を発見するというものであった。
 エージェントの名取は良心の呵責に耐えかね、上司の有見に辞める旨を伝える。
 彼の後釜でやって来たのは、波金という男であった。
 名取は波金を嫌悪しながらも、引継ぎを済まし、恋人と共に新しい人生を歩もうとするのだが…。

単行本B(「MAGCOMI」2017年1月〜6月配信分)
・「EPISODE 8」
 漆原の起こした爆発から葛城を救ったのは、あのバケモノであった。
 バケモノは実はこの病院の院長、千田鶴の息子、福朗で、千田鶴は息子の病気を治すために、この病院で研究を続けていたのである。
 福朗は小桃と同じコデン病で、この病気のお陰で、完全な屍体化を免れていた。
 葛城は千田鶴の研究に「希望」を見出す…。
・「EPISODE 9」
 突如、移動を開始した小桃と屍体達。
 彼らは、病院の地下道を通って、鹿羽町へと向かっていた。
 「箱」が屍体を呼び寄せる実験をしているのかもしれないが、千田鶴はそんなことは聞いていない。
 葛城と千田鶴は屍体の後を追い、「箱」の監視門まで到達するのだが…。
 一方、漆原織也は、葛城とも関係の深い女性と会っていた。
 そして、二人を監視する女性が一人…。
・「EPISODE 10」
 「箱」の駐屯地で、葛城は波金と対面する。
 波金は葛城のことを何から何まで、妹の小桃のことまで調べ上げていた。
 葛城は、妹を実験体にされないよう、とっさに千田鶴を妹だと言う。
 波金に施設を案内され、葛城と千田鶴は、廃線となった地下鉄鹿羽線の電車に乗るのだが…。
・「EPISODE 11」
 後ろの貨物車両に載せられていた変異種個体10体が融合し、先頭車両に向かって前進する。
 この変異種は危険性が高いため、内部へ送る途中で、どうやら屍体を動かしている「声」が関係しているらしい。
 見張りの特殊隊員達は次々と変異種に取り込まれ、火炎放射器で応戦するも、先頭に到着するのも時間の問題であった。
 この状況で波金が出した解決策は二つ。
 一つ目は乗客ごと車両を爆弾で吹っ飛ばすというもの。
 二つ目は…?
・「EPISODE 12」
 葛城は「屍体細胞を異常増殖させ、破裂させる新兵器」を託され、地下鉄の屋根を這っていく。
 最後尾の車両には波金の部下が生き残っているようなのだが…。
 波金の作戦とは…?
・「EPISODE 13」
 地下鉄が着いた先は、鹿羽町駅で、そこは「屍の町」であった。
 「箱」の中心、鹿羽町はほぼ以前のままで、葛城は衝撃を受ける。
 その時、波金の上司である有見という男が葛城に会いに来る。
 本部で有見は葛城に忠告をするのだが…。
 その後、有見はある老人と一緒に奥に行く。
 老人は千田鶴の夫、千田灰がいた。
 千田鶴は彼に呼び掛けるのだが…。
・「EPISODE EX」(描き下ろし)
 エージェント「有見」と「小原」のある記録

単行本C(「MAGCOMI」2017年8月〜2018年3月配信分)
・「EPISODE 14」
 鹿羽町には見覚えのある景色が広がってきた。
 波金の部下に送られて、葛城は我が家へと帰る。
 我が家には小桃が待っていた。
 その頃、本部では反「箱」の人間の尋問が執り行われていた…。
・「EPISODE 15」
 葛城は小桃との平穏な日々を取り戻したように見えた。
 しかし、それも束の間、小桃が直立して叫び出すと、屍体達が葛城の家に集まって来る。
 一方、「箱」研究所では、千田鶴が「屍体ウイルス」に関するレポートを読んでいた。
 「屍体ウイルス」は再生医療の研究の過程で生まれたものであった。
 彼女は波金に何のためにこの仕事をしているのか問うと…。
・「EPISODE 16」
 鹿羽町で、屍体達に異変が起こる。
 「箱」内部でも被験屍体やサンプル細胞が暴走して、大騒動。
 葛城は家に侵入しようとする屍体を片端から殺していたが、屍体達の中から白い、人間の手が突き出ているのを不審に思う。
 小桃はその手に引き寄せられていた。
 一方、「箱」内部では、千田鶴が混乱に乗じて、夫の千田灰の研究室に忍び込む…。
・「EPISODE 17」
 小桃を連れて逃げようとするも、葛城は屍体に囲まれる。
 その時、有見が大型トラックで駆けつける。
 これで助かったのかと思いきや、そうは問屋が卸さない。
 これらは全て、千田灰の計画によるもので、その計画に小桃が必要であった。
 千田灰の計画とは…?
 その頃、灰の研究室で、千田鶴は何人もの同じ顔の男が立っているのを目にする。
 この男達には見覚えがあるのだが…。
・「EPISODE 18」
 葛城は千田灰と対峙する。
 葛城は小桃を渡すことを絶対に拒否するが、町では地面に異変が起こりつつあった。
 千田灰は説明するために、眼帯を外すが、そこにあったものは…?
・「EPISODE 19」
 肉塊が地面を広がり、屍体を取り込んでいく。
 それは町中を覆いつつあった。
 肉塊に飲み込まれた葛城は病院のようなところで目覚める。
 そこで出会った人物とは…?
・「EPISODE 20」
 葛城は小桃と共に肉塊の奥を目指す。
 奥には、小桃を待っている「あの子」がいるらしいのだが…。
 その少女の正体とは…?
・「EPISODE FINAL」
 「門」を目前にして、千田灰が立ちふさがる。
 彼は、小桃は「鍵」だと言い、小桃は葛城を助けるために千田灰のもとへと向かう。
 「門」の先にあるものは…?
 葛城は小桃を連れ戻すことができるのであろうか…?
・「EPILOGUE」
 生き残った登場人物(一部、生死不明)のその後。

 ゾンビ漫画の力作です。
 多少、説明不足な点や釈然としない点があるのですが、C巻のダイナミックかつ予想外な展開はなかなかのものです。(どうやって文章にまとめたらいいのか途方に暮れましたが…)
 この手のサービス精神旺盛な作品はやはり、好感が持てますね。(カバーを外したら、本体におまけ漫画が載っているのも嬉しい。)
 あと、「屍の町」の描写は小池一夫・原作・平野仁・作画「少年の町ZF」に影響を受けているのでしょうか?
 仮に受けていたとしても、ちゃんと「血肉」にしているのは流石だと思います。

2022年11月6〜8・15・16日 ページ作成・執筆

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