いけうち誠一・劇画「怪異を積む船」
(原作・フレデリック・デービス(注1)/1978年8月1日初版発行)

「太平洋に航海に出た豪華ヨット。
 乗員は、
 船の持ち主で検事総長のペングトン氏とその妻、シシリー。そして、娘のリンダ。
 ペングトン氏の友人で政治家のカーター。
 ピットマン医師。
 ハムスン船長に、副船長のエバンス航海士、その他の船員達であった。
 彼らがいる海域には「白い海の幽霊」が船員達に信じられており、ある夜、ペングトン夫人がその幽霊らしきものに襲われる。
 翌日、エバンスは他にも幾つか奇妙なことに気付く。
 ペングトン夫人の腕輪が行方不明になったこと。
 双眼鏡でずっと海を見張っているペングトン氏。
 彼が無線技士に発信させた「2」という数字の無線。
 夜中に無断で船を止める船長。
 その夜、エバンスはペングトン氏の船室から物音を聞き、窓外に「白い海の幽霊」を目にする。
 船室に駆け付けると、ペングトン氏は顔を切り刻まれて死んでいた。
 凶器のナイフは船長の部屋にあったにもかかわらず、船長は港に引き返そうとはしないばかりか、証言も拒否。
 船長代理となったエバンスは謎を突き止めようとするが、謎が謎を呼んでいく。
 そんな中、死んだのは、ペングトン氏ではないと判明する。
 では、死体は一体、誰のもの…?
 そして、「白い船の亡霊」の正体は…?」

 大昔の、すっかり忘れ去られた推理小説のコミカライズですが、いけうち誠一先生が作画を担当されてますので、怪奇色はたっぷりです。
 というわけで、「スリラー」としてはいい感じなのですが、「推理もの」としては、ボロ多過ぎで、「白い船の亡霊」の正体なんか「ふざけるな!!」と本を投げつけたくなるヒドさです。
 まあ、後ろの袖で、若かりし頃のいけうち先生のお写真を拝見できましたので、読んで損はありませんでした。

・注1
 表紙等で原作者はフレデリック・デービスとなっているのに、加納一朗氏による解説では「ヘンリー・デービス」となっております。(どっちやねん?!)
 あと、作者については、さっぱりわからない模様です。

・備考
 スリップ付。

2021年6月20日 ページ作成・執筆

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