千之ナイフ「うわさの死太郎くん・リターンズ」(2007年4月24日初版発行)

 収録作品

・「ガンバレ二宮くん」(「サスペリア」1999年10〜11月)
「高校ではもうじき体育祭。
 四条美智のクラスは二宮という男子生徒がいるために、ほぼ最下位は決定していた。
 二宮は小児ぜんそくで長い間、体育に出ておらず、病気は治ったものの、全く運動がダメであった。
 クラスの筋肉ブラザーズは二宮に猛特訓を課し、夜遅くまで校庭でうさぎ跳びをさせる。
 その時、夜の校庭で二宮は二宮金次郎の銅像がトラックを走っているのを目撃する。
 だが、誰も信じてはくれず、彼は特訓をさせられ、体育祭を迎えるが…」

・「ピーターパンごっこ」(「サスペリア」1999年12月)
「さて、今度は学園祭。
 四条美智のクラスでは『ピーターパン』劇をすることとなるが、肝心のピーターパンが二宮くん。
 彼は高所恐怖症で、旧体育館でワイヤーアクションの練習するも、怯えてばかりで練習どころでない。
 ある夜、彼は幽体離脱をする。
 彼の幽体が外にさまよい出ると、同じ劇に出る森下(ウェンディの弟のジョン役)と林(ウェンディの弟のマイケル役)と出会う。
 彼らも二宮と同じく、幽体離脱していた。
 三人がウェンディ役の美智の家に向かうと、彼女の額から糸らしきものが伸びている。
 辿っていくと、旧体育館に続いていた。
 旧体育館は墓地を潰して建てられたもので、美智は亡霊達に囚われており…」

・「砂場の女王」(「サスペリア」2000年5月)
「団地の真ん中にある公園。
 そこの砂場を三人の中学生(勇介、真一、沙樹)が占拠する。
 彼らは子供の頃、宝物をこの砂場に埋めたことを理由に、ここを勝手に私物化し、よその子供達が遊ぶのを許さない。
 今日も見慣れぬ男児が立派なお城を砂で作っていたが、追い払い、三人だけでまったりする。
 すると、突然、強風が吹き、砂が目に入る。
 ようやく視界を取り戻すと、あたりは一面、砂漠になっていた。
 砂漠をさまよっていると、勇介はアリジゴクに捕まり、砂の中に引きずり込まれる。
 どうしようもなく、砂漠を進むと、砂でできた巨大なお城が目の前にそびえていた。
 真一が助けを求めて近寄ると、落とし穴に落ちてしまう。
 沙樹は城の中に入るも、通路で罠に引っかかり、囚われの身となる。
 この城はネズミによって支配されていた。
 沙樹は丸裸にされ、女王の前に引き出されるが…」

・「たのしい遊園地」(「サスペリア」1998年6月)
「学校の代休日、静香はある女子生徒に遊園地に誘われる。
 静香は大人しく、絶叫マシン等は苦手であったが、彼女をパシリや荷物持ちに使おうという魂胆だったのである。
 溜息をつきながらの下校途中、彼女は、男児が橋梁の下の壁に遊園地の絵を描いているのを目にする。
 彼女は男児からチョークを借りて、観覧車やお城の絵を描き足すと、男児は大喜び。
 男児の名は死太郎といい、彼女は彼に今度、遊園地に行く約束をする。
 翌日、遊園地は休園日で、一堂は解散する。
 静香が公園で時間を潰していると、死太郎が彼女に、この町に今日「おたのしみランド」という遊園地がオープンしたと話しかけてくる。
 訝りながらチラシの地図の場所に行くと、本当に遊園地があった。
 しかも、オープン記念で入場料はただ。
 静香は死太郎と共に楽しい時を過ごす。
 一方、静香を遊園地に誘った連中もここに来ていたが…」

・「河童スイミングスクール」(「サスペリア」1999年8月)
「瞳、紀子(ちょっと虚弱)、千春(おデブ)は夏になると、気分は憂鬱。
 と言うのも、三人とも、泳げないからであった。
 ただ、瞳に関しては、少し事情が違い、泳げないというよりも水恐怖症であった。
 これは彼女が小学校四年の夏休み、田舎の親戚の家に遊びに行った時に、川で河童に出会ったことが原因であった。
 下校途中、三人は電柱の貼り紙を目にする。
 貼り紙には「スイミングスクールかならず泳げる(一回50円)」と書かれていた。
 その晩、千春から瞳と紀子は連絡を受ける。
 千春がそのスイミングスクールに電話したところ、水着を持ってすぐ来いとのことなので、二人を誘ったのである。
 三人がそのスイミングスクールを訪れると、どう見ても銭湯。
 脱衣所で水着に着替え、浴室の奥にあるマンホールを降りると、そこにプールがあった。
 三人はコーチに言われ、まずバタ足の練習を始める。
 コーチは「そんなんじゃスグに追いつかれて食われちまうぞ」と言って、プールに飛び込むと、河童に変身。
 しかも、あちこちから河童が現れて…」

・「おサル電車が来た」(「サスペリア」1999年7月)
「夜の街中を線路もないのに走るという「おサル電車」の噂。
 これに乗ると、「サル人間」にされて、「サルの国」に連れて行かれると言う。
 飛山という青年は動物園からの帰り、その「おサル電車」に遭遇する。
 電車には死太郎という男児も乗っており、飛山は意地になって電車に乗る。
 だが、電車から降りらなくなり、電車は崖から転落。
 気が付くと、彼は自分の家の前で倒れいていた。
 家の中に入ると…」

・「ドナドナ食堂」(「サスペリア」2000年6月)
「鴨井がすきっ腹を抱えて街を歩いていると、「ドナドナ食堂オープン記念」のチケットをもらう。
 チケットを配る係は、このチケットを提示すれば、何人でもフルコースが無料で食べられると教える。
 彼は先輩、亜子を誘い、ついでに、死太郎も一緒に、ドナドナ食堂を訪れる。
 ドナドナ食堂は陸橋の下にあり、外見はどう見ても改造したコンテナ。
 中には、くせっ毛のウェイター、骨太なウェイトレス、そして、脂の乗ったコックの三人。
 四人がフルコースを頼むと、ゲテモノ料理ばかりが出てくる。
 ウェイターに文句を言うと、「スペシャルメニュー」を用意するので、誰か一人に手伝った欲しいと頼まれる。
 誘った手前、鴨井が厨房に行くのだが…」

・「クラゲ人間」(「サスペリア」1999年5〜6月)
「『クラゲ人間』の噂。
 それは昼は普通なのに、夜になると、クラゲに人格を乗っ取られ、口から触手を伸ばして、仲間を増やすという。
 麻上由美はある晩、クラゲ人間を見たことから、その騒動に巻き込まれることとなる。
 どうもその発端はあるコンビニでバイトをする佐野という青年が関係しているようであった。
 だが、気が付いた時には、町はクラゲ人間によって占拠されようとしていた。
 クラゲ人間を倒す方法はあるのだろうか…?」

 お気に入りは、「ピーターパンごっこ」と「クラゲ人間」。
 特に「クラゲ人間」は「侵略もの」を愛する私のハートにクリティカル・ヒット!!(注1)
 伊藤潤二先生の「相部屋」(「布製教師」収録)への千之先生からの回答…だったりするのでしょうか?(誇大妄想)
 とりあえず、私はこういうマンガが好きなんだ!!

・注1
 ちなみに、私が一番好きな「侵略もの」は昔懐かしの「カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ」の「スイカ人間」のエピソードです。

2023年3月28・29日/4月8日 ページ作成・執筆

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