宮月新・原作/近藤しぐれ・作画
「シグナル100@」(2016年3月5日第1刷・2019年12月21日第4刷発行)
「シグナル100A」(2016年6月5日第1刷・2019年12月21日第3刷発行)
「シグナル100B」(2016年11月5日第1刷・2019年12月21日第3刷発行)
「シグナル100B」(2016年12月5日第1刷・2019年12月21日第3刷発行)





単行本@
・「第1シグナル 奪われた日常」(「ヤングアニマル」2015年15号)
 私立聖新高等学校。
 下部先生のクラス、2年C組は崩壊していた。
 クラスは和田隼人という生徒に乗っ取られ、下部は言葉通り「下僕」扱い。
 ある日、下部は五時限目の数学は視聴覚教室で行うと黒板に記す。
 五時限目、生徒達が視聴覚教室で下部を待っていると、急に大音量が鳴り、スクリーンに奇妙な映像が映し出される。
 気が付くと、音楽も映像も消え、生徒達は呆然とその場に突っ立っていた。
 いつの間にかその場に下部がおり、生徒達に「後催眠」をかけたと告げる。
 生徒達の深層意識には「自殺催眠」が刷り込まれ、催眠発動の合図となっている行動を取った瞬間、死んでしまうというのだが…。
・「第2シグナル 弄ばれる恐怖」(「ヤングアニマル」2015年16号)
 自殺発動の合図は100。
 他の先生達が視聴覚教室に駆けつけるが、生徒達は恐怖のあまり、身動き一つできない。
 そんな彼らを導いたのが、学級崩壊の元凶である和田隼人であった。
 彼らは彼の後をついて教室に戻るのだが…。
・「第3シグナル 狂った結束」(「ヤングアニマル」2015年17号)
 井沢学はこっそり教室を脱け出し、人気のない階段の踊り場でスマホをチェックする。
 彼は「盗撮師」で、仮の女子更衣室になっていた視聴覚教室にカメラを仕掛けていた。
 そのカメラには下部の流した催眠ビデオが映っており、自殺合図さえわかれば、クラスメート達は彼の思い通りとなる。
 だが、和田にそのことを勘づかれてしまい…。
・「第4シグナル 隠された殺意」(「ヤングアニマル」2015年18号)
 生徒達は刑事に呼ばれて、事情聴取を受ける。
 しかし、自殺発動の合図であるために、真相について話せない。
 午後六時になり、彼らは帰宅しなければならなくなるが、誰も家に帰る勇気はない。
 和田は先生に送迎用のバスを用意するよう命令し、自殺発動のシグナルかどうか確かめるため、樫村怜奈に最初にバスに乗るよう指名する。
 樫村怜奈はクラスメイト達とは距離を置き、和田に反発していたが、それにより、「結束」を乱す異分子として糾弾されたのであった。
 教室から逃げ出した怜奈は玄関で榊蒼汰と出会う。
 榊蒼汰は以前のクラスのまとめ役で、怜奈が体育教師にレイプされそうになったところを助けてくれたが、このことを秘密にしたために、停学処分を受けていた。
 彼は今日呼び出されていたというのだが…。
・「第5シグナル 最悪なボーナス」(「ヤングアニマル」2015年20号)
 怜奈は榊蒼汰にことの次第を打ち明ける。
 榊は和田の企みを見抜き、それを直前で阻止する。
 また彼は教師達を説得し、生徒達以外を学校から退避させることに成功。
 和田たちを排除して、彼の下で、クラスは再びまとまりを取り戻す。
 だが、六時半、下部の幻が生徒達の目前に現れ、これから30分「ボーナスタイム」があると告げる。
 この間に「クラスメイト4人の『死の瞬間』を目撃」すれば、自殺催眠から解放されるというのだが…。
・「第6シグナル 繋がる憎悪」(「ヤングアニマル」2015年21号)
 教室では「死んでもいい人間」を決めようという意見が出る。
 そして、その人間を殺す役目を榊蒼汰に押し付けようとする。
 怜奈はその流れを変えようと、井沢学が視聴覚室に仕掛けたカメラを回収しようと提案。
 スマホのデータは和田に消されたが、カメラにはビデオ・データがちゃんとした形で残っているかもしれない。
 彼女、榊蒼汰、関、森の四人は視聴覚室に向かう。
 一方、蒼汰に主導権を奪われた和田は再びクラスメート達を支配しようとする…。

単行本A
・「第7シグナル 崩れ始める信頼」(「ヤングアニマル」2015年22号)
 和田は自殺発動のシグナルを33番目まで握っていた。
 それを利用すれば、確実に四人を自殺させることができる。
 彼はクラスメート達の心を掴み、宿敵である蒼汰の最も大切なものの抹殺を目論む…。
・「第8シグナル 新しい地獄」(「ヤングアニマル」2015年24号)
 和田の計画は失敗に終わるが、教室は再び混乱に陥る。
 榊蒼汰も結局は「部外者」でしかなく、この場を諫めることはできない。
 しかも、彼は和田が持っているはずのビデオ・カメラを持っており、皆の疑惑を招いてしまう。
 羽柴健太の提案で、蒼汰が教室に持ってきたパソコンで、そのビデオカメラを再生する。
 それには下部がクラスメートらしい誰かと話す様子が映っていた。
 どうやらクラスメートの中に下部の仲間がいるらしい…。
・「第9シグナル 悪夢の再来」(「ヤングアニマル」2016年1号)
 小宮山澪織のポケットに入っていた一枚の紙。
 それには「20時より研修棟1Fホールにてボーナスタイム開始」と書かれていた。
 生徒達はホールに集まると、スクリーン前の机に『謝れクズ』と書かれた封筒が置かれてある。
 八時になると、ホールの鍵が閉まり、様子を見に出ていた蒼汰は締め出される。
 生徒達の前に現れた下部の幻はルールについて説明。
 二時間以内に自殺発動のシグナルの51番から70番まで解き明かせばクリアであった。
 ヒントは、研修棟に隠されているカードで、カードにはシグナルの番号と二つの選択肢が書かれてある。
 二つの選択肢のうち、どちらかは自殺発動のシグナルであった。
 カードを手にした者は「指名者」となり、「実験台」を選ぶことができる。
 「実験台」になった者はカードの選択肢のどちらかを実行しなければならないが…。
・「第10シグナル よみがえる記憶」(「ヤングアニマル」2016年2号)
 隠されているカードは20枚で、一度も指名しなかった者には死が待っている。
 最低五人の死が確実で、生徒達は皆、カード捜しに血眼になる。
 蒼汰はそれよりも「裏切者」を捜すのが先と主張。
 もしかしたら「裏切者」はボーナスタイムの答えを知っているかもしれない。
 彼はクラスメート達をホールに連れ戻そうとするのだが…。
・「第11シグナル それぞれの正義」(「ヤングアニマル」2016年3号)
 封筒に書かれている言葉、そして、カードの選択肢から生徒達はあることに気づく。
 それは園田樹里たちのグループがある女子生徒にしたいじめを彷彿させる内容であった。
 一方、怜奈は人を殺すぐらいなら、自分の意志で自殺した方がましと考え、屋上へ行く。
 そこで目にしたものとは…。
・「第12シグナル 許されざる犠牲」(「ヤングアニマル」2016年4号)
 蒼汰は「裏切者」からスタンガンを奪い、拘束する。
 彼はカードの答えを教えるよう命令し、彼女は園田を「実験台」にすることを条件に了承。
 次々と解答は埋まり、残るは、最後のカードとなるが…。
・「第13シグナル 見せかけの希望」(「ヤングアニマル」2016年5号)
 蒼汰は最後のカードを怜奈に拾うよう言うが、怜奈は拒否。
 だが、今は全員の命がかかっていて、涙ながらにカードの「指名者」となる。
 最後の解答を打ち込む前に、蒼汰は「裏切者」にあることを尋ねる。
 この質問にはこの場の全員が助かるヒントが隠されていた。
 蒼汰の機転により、皆、助かったかと喜ぶが…。

単行本B
・「第14シグナル 託された責任」(「ヤングアニマル」2016年6号)
 自殺催眠だけでなく、五人の教師(校長、体育の西川、篠田、竹中、養護教諭の八代)までもが生徒達の脅威となる。
 教師達とその家族は教職員親睦会の際、下部により後催眠をかけられ、午後九時にその催眠が発動したのであった。
 家族には自殺催眠がかけられ、家族を救うには2年C組の生徒を皆殺しにせねばならない。
 教師達は分担して、校舎内の生徒達を捜し始める…。
・「第15シグナル 試される勇気」(「ヤングアニマル」2016年7号)
 蒼汰は下部のアパートに手掛かりを探しに行き、怜奈がリーダーの役を担うこととなる。
 教師に対抗するには「裏切者」の手を借りるしかない。
 怜奈の説得は功を奏すのか…。
・「第16シグナル 未来への決断」(「ヤングアニマル」2016年8号)
 西川と篠田の二人の教師をやっつけるものの、「裏切者」は右脇腹に重傷を負う。
 怜奈たちは彼女を保健室に連れて行くが、そこには八代先生がいた。
 彼女は敵か味方か…?
 一方、蒼汰は下部のアパートで解催眠の手掛かりを探すのだが…。
・「第17シグナル 一縷の望み」(「ヤングアニマル」2016年9号)
 斧を持った校長が迫り、生徒達は薬品庫に逃げ込む。
 しかし、このままでは袋のネズミ。
 彼らは校長の不意を突き、出口へと走るのだが…。
 その頃、蒼汰は下部のアパートの部屋で途方に暮れていた。
 ここには解催眠の手掛かりは見つからない。
 そこに来客が訪れる。
 彼は宗教法人Mのメンバーで…。
・「第18シグナル 善悪の彼岸」(「ヤングアニマル」2016年10号)
 Mのメンバーから蒼汰は解催眠の薬を手に入れ、学校に戻る。
 この薬は「催眠に関する記憶にアクセス出来なく」するものであった。
 しかし、薬は試作段階で効果についてははっきりせず、更に、たったの五錠しかない。
 この薬を試すのに名乗りを上げたのは…」
・「第19シグナル 新たな標的」(「ヤングアニマル」2016年11号)
 クラスメートの数が半分を切った時、再び下部の幻が現れる。
 彼は最後の「ボーナスチャンス」を提示する。
 これを知り、怜奈は蒼汰を連れて逃げようとする。
 そして、残りのクラスメートの決断は…?
・「第20シグナル 剥がれる仮面」(「ヤングアニマル」2016年12号)
 生徒達に襲いかかる篠田先生。
 この機会を活かし、和田は他のクラスメートを救い、もう一度主導権を握る。
 更に、彼には「ボーナスチャンス」をクリアする、あるアイデアがあった。
 羽柴をはじめとする少数の生徒達は和田のやり方に反対するのだが…。

単行本C
・「第21シグナル 壊れた人々」(「ヤングアニマル」2016年14号)
 和田は井沢のカメラを取り出す。
 その中には「岩崎先生」という動画ファイルがあった。
 岩崎は女子生徒へのセクハラで悪名高い体育教師で、怜奈をレイプしようとした彼を蒼汰がボコボコにして、退職に追い込んだのである。
 皆がその話をしている時、怜奈が皆を説得するため、教室にやって来る。
 再生された動画ファイルに映っていたのは…?
・「第22シグナル 固まる決意」(「ヤングアニマル」2016年15号)
 崩れ去った信頼…。
 和田たちは手分けして、蒼汰を捜す。
 一方、柴田たちの小グループも、和田に先んじるため、蒼汰を匿う。
 柴田たちは音楽室に隠れるが、園田樹里のせいで、居場所を突き止められ…。
・「第23シグナル 静かな復讐」(「ヤングアニマル」2016年16号)
 復讐心に燃える藤田陽太郎が蒼汰の首を絞める。
 あと少しという時、箕輪紀子が真実を打ち明ける。
 藤田がジレンマに心乱されている時、ある人物が正体を現す。
 この人物の登場で話は新たな展開に…。
・「第24シグナル 最後の団結」(「ヤングアニマル」2016年17号)
 午前四時、催眠から覚めた生徒達が目にしたのは、黒板の「1時間後の午前5時 生き残った人の合図が全員のものになる」という文字であった。
 生徒達の背中には三つ自殺合図が書かれてあり、その合図の行動をしただけでなく、相手にこの行動を教えただけで、自殺してしまう。
 他人の自殺合図はわかるものの、自分の自殺合図はわからず、皆は新たな疑心暗鬼の渦の中に…。
・「第25シグナル 最良の選択」(「ヤングアニマル」2016年18号)
 樫村怜奈の自殺合図は他の生徒達にとって致命的な内容であった。
 村瀬俊は痴呆状態の園田を使って、怜奈を自殺に追い込もうとする。
 怜奈をかばう者がいても、和田により自殺させられ、「殺し合いの流れ」は止められない。
 怜奈が窮地に陥った時…。
・「第26シグナル 本当の答え」(「ヤングアニマル」2016年19号)
 蒼汰が怜奈を守るために下した決断…。
 生き残った者それぞれの思惑は…?
 そして、生き残るのは誰…?
・「最終シグナル 生きる意味」(「ヤングアニマル」2016年20号)
 最後に生き残った者の前に下部の幻が現れる。
 下部が最後に告げたこととは…?
 そして、時は流れ…。

 「バトル・ロワイヤル」の流れを汲む作品ですが、単なる亜流ではありません。
 手垢のついた『催眠術』を巧みにストーリーに絡め、異色のサバイバル・ホラーになっております。
 この自殺発動の催眠術を如何に用いて、生き残りを図るかが本作の要でありまして、信頼と疑心暗鬼の狭間で揺れ動く生徒達の心理を克明に描写し、ラストまでノン・ストップで突き進みます。
 あと、自殺のバラエティーの豊富さも特筆すべきかも。(これで死ねるかどうか疑問な方法も多いのですが、インパクトで勝負!!)
 ちなみに、個人的にお気に入りのキャラは最後の最後まで粘る、クラスの「良心」とも言える羽柴健太。
 愛に殉ずる最期は漢らしく、一気にファンになりました。

 ちなみに、2020年に実写映画化されました。
 コミックス画像の下の画像は映画公開時に単行本に付けられた帯です。
 私は未見ですが、映画版の評判はあまり芳しくないようです。
 近場の映画館でやっていたのですが、コロナの真っ最中だったので、うまく調整できないうちに、速攻で上映が打ち切られてしまいました。
 まあ、これも運命…。

2023年4月15・17・19日/5月3・4・11日 ページ作成・執筆

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