好美のぼる「呪いの忍笛」(1968年5月20日初版発行)
「新潟の奥山にある山新田という部落。
そこに、奈保美という少女と病気の母が貧しく暮らしていた。
ある日、奈保美の家を薬売りが訪ね、母親の発作を鎮める薬を与える。
薬売りは、奈保美に証文に印を押すよう迫り、証文に強引に拇印を押させる。
奈保美が騙されたことを知った時にはすでに遅く、薬売りは姿を消していた。
母親の病状は悪化し、母親は奈保美に、亡き父親との愛の証である笛を悲しい時、苦しい時は吹くよう告げて、息絶える。
その昔、身分の違いから、結婚を反対された、奈保美の両親は、笛の音で合図をし合っていた。
父親は笛を壊される度に、作り直していたが、根を詰めすぎたため、病の床に就き、死亡。
だが、二人がいつも会っていたモミの木で、母親は父親の霊と再会し、その笛が遺されたのであった。
母親の死後、村の娘が五人、行方不明となる。
その娘達の家には×印がしてあり、奈保美の家にも印があった。
実は、薬売りは地獄から派遣された妖怪であり、人間をだましては、魂を奪っていたのである。
その夜、地獄からの使者が奈保美のもとにやって来る。
しかし、奈保美は魂を渡すことを断固拒否。
薬売りと、その仲間の妖怪達は、奈保美が魂を手放すよう、あの手この手で苛むのだが…」
曙コミックスの好美のぼる作品の中では、かなり面白い部類に入ると思います。
特に、ヒロインの少女が、B級テイスト溢れる妖怪達から、バッド・トリップめいした責め苦を(時には全裸で!)受ける前半は快調!!
こんな感じで行くのかと思いきや、後半、逃亡中のヒロインが山窩の父娘に拾われ、忍術(?)を身に付けて、妖怪達と対決するという展開に唖然です。
んで、予想が付くように、笛を吹いたら、妖怪は片端からやられけちゃうのでした…って、何なんだよ、ソレ…。
ちなみに、袖には、好美先生の写真の下に、「少しでも哀愁がともない悲しいがゆえに恐ろしい結果になった」ようなスリラーが好きだと述べ、タイトル・ページにも「少女ペーソス妖談」と記されております。
でも、ちっとも「哀愁」も「ペーソス」も伴っていないように感じるのは、私だけでしょうか?
・備考
貸本。カバー貼り付け。糸綴じあり。前後の見開きのノド、補強。
2018年9月24日 ページ作成・執筆