わたなべまさこ「ふたご座生まれ」(1975年1月20日第2刷・1977年1月15日第6版発行)
収録作品
・「ふたご座生まれ」
「英国、ロンドン。
エンドリック学院の寄宿生である、マリア=キングスロード。
彼女には右肩下から脇腹にかけての大きな傷痕があった。
彼女は孤児であったが、毎月大金が振り込まれ、生活には一切苦労はなかった。
マリアが18歳になった頃、彼女に言い寄る青年が相次いで変死する。
更に、その際には、彼女を呼ぶ声が必ず聞こえるのであった。
神経衰弱気味のマリアを、ルームメイトのアン=グリーンは家族と過ごす別荘へ誘う。
そこで、マリアは、医者の卵であるアンの兄、チャールズと運命的な出会いをする。
チャールズに不幸をもたらすことを恐れ、マリアは一時は身を引こうとするが、チャールズに押しとどめられ、二人は結婚。
二人のハネムーン先は、マリアは無意識のうちに口に出したスコットランドのダンカンズビー岬となる。
向かった先で、マリアは見知らぬ土地なのに、既視感が襲われる。
また、滞在先のホテルには、二人に当てた招待状がダンカンズビー館から届いていた。
そのダンカンズビー館で、マリアとチャールズはマリアの過去を知ることとなる。
マリアの傷痕の秘密とは…?」
ブライアン・デ・パルマの「悪魔のシスター」(1973)にインスパイアされたものと思いますが、映画のようなサイコ・スリラーではなく、わたなべまさこ先生お得意の「幽霊譚」に料理されております。
ちなみに、もし、わたなべまさこ先生が「バスケットケース」を観たら、どんなマンガを描いたのか、気になるところです。(勝手に独り、妄想してます。)
・「這ってくる髪」(週刊マーガレット)
「ニューヨークのブロードウェイ。
弱小劇団のダンサー、マイラは純真で心優しい女性。
しかし、マイラが同棲している相手は、プライドばかりが高いクズ男、グレンであった。
マイラは彼に甲斐甲斐しく尽くすものの、冷たくあしらわれるばかり。
ある夜、車に轢かれそうになるグレンを助けて、マイラは片足を失う重傷を負う。
事故を起こした運転手はブロードウェイの星と言われるバーバラ・マクネアーであった。
グレンはこれを機にバーバラと仲を深めて、出世のチャンスにしようとする。
マイラが邪魔になったグレンは彼女を殺そうとするが、その前にマイラは首にナイフを突き立てて自殺。
グレンは恐怖のあまり、バーバラのアパートに駆けこむと、そこに紙袋が届けられる…」
小品ながら、グロ描写がきつく、非常にトラウマ度の高い一品です。
また、男を殺すだけでなく、相手の女まで復讐が及ぶところが、年頃の少女達に「大人の世界」を垣間見させたかもしれません。
ちなみに、ニューヨークでも幽霊は「両手を垂らす」スタイルとは知りませんでした…。
講談社のコミック・ロマン・ミステリーにて、ほぼ同内容で再録されております。
ただ、若木書房の単行本の方には、サングラスで粋に決めている、わたなべまさこ先生の写真が拝めまして、ありがたや〜。
2017年1月10日 ページ作成・執筆
2017年9月17日 加筆訂正・画像追加