石森章太郎「スカルマン」(1977年5月10日第1刷発行)

 収録作品

・「スカルマン」
「テレビの人気女優、花戸竜子の殺人事件。
 人民党代議士秘書の交通事故死。
 貨物列車転覆事故。
 三形KK電子研究所の爆破事件。
 これら全ての事件には「スカルマン」という謎の人物が関わっていた。
 スカルマンの両親は「危険な狂人」で、彼が三歳の時に両親は亡くなり、彼も姿を消す。
 ある興信所ではスカルマンの行方を十五年もの間追い続けるが、その行方は杳としてわからないままであった。
 ある日、興信所に探偵の一人が死体となって運び込まれる。
 死体を運んできたのは、神楽組の若親分、神楽達男で、彼の家のそばに倒れていたのを若い衆が見つけたのであった。
 これをきっかけに達男はスカルマンを追う手助けをすることとなる。
 スカルマンの正体とは…?
 そして、その目的とは…?」

・「衛」(「プレイコミック」1970年4月11日号)
「ある会社の一行が山奥にやって来る。
 ここには自然が手つかずで残されており、様々な動物達がたくさん棲息していた。
 彼らの目的は、ここに「大自然ホテル」を建設すること。
 早速、テントを張り、測量にとりかかる。
 だが、茂みの陰から彼らを見つめる無数の目が…」

・「雪男」
「ヒマラヤ山脈に棲む雪男(妻と子供あり)。
 彼はこの凍てついた世界が好きであった。
 彼が苦手なのは「ニンゲン」という生き物で、なるべく接触したくない。
 ニンゲンはいろいろな病気を持っているが、特にあの悲しい「心の病気」は…」

・「だまし絵」(「プレイコミック」1969年10月25日号)
「小学校低学年の頃、彼は、女の子と山の中の池で泳ぎ、裸を見せっこする。
 中学生(?)の頃、彼と娘はにわか雨に襲われ、山小屋に避難し、焚火で服を乾かす。彼女の裸に劣情をもよおし、彼は少女に乱暴を働く。彼女は外にとび出し、雷雨の下、彼は彼女を追う。
 時は流れ、瓦礫と化した都市で、彼は一人の女性と出会う。二人は洞窟や地下にいたため、難を逃れたのであった。夜、二人が抱き合おうとした時、夜空にUFOが…。
 そして、彼が目覚めると…」

・「海の部屋」(「プレイコミック」1969年8月25日号)
「夏。風がそよとも吹かない昼間。
 ある部屋に浪人生の青年が横になっていた。
 勉強は手につかず、貝の灰皿の中にはタバコの吸い殻がいっぱい。
 その貝は先日、友人達と海に行った時に拾って来たものであった。
 その部屋を見知らぬ娘が訪れる。
 二人は向かい合って座るが、娘は全く言葉を発しない。
 青年は、場をつなごうと、途切れ途切れに思いついたことを話す。
 すると、何故か、たまに娘が母親や別れた恋人に見える瞬間がある。
 そのうちに、娘の態度の変化は、灰皿代わりの貝と関係があることに気づくのだが…」

・「カラーン・コローン」(「プレイコミック」1970年5月9日号)
「露子が死んで一年。
 新三郎には女がいたが、結婚に踏み切る気はなかった。
 ある夜、下駄の音がどこからか聞こえてくると、家の外に露子が立っている。
 新三郎は女を押し入れに隠し、露を中に招き入れる。
 露子は、病死したのは嘘で、父親が結婚を許さず、家に監禁されていたと話す。
 それがようやく父親の許しが出て、彼のもとに来たのであった。
 女が押し入れの隙間から様子を見ると、露子は骸骨の亡霊であった。
 彼女は慌ててお巡りさんを呼ぶが、彼には普通の人間にしか見えない。
 この話を聞いた精神科医は誰も嘘を言っていないと判断し、女、警察官と共に新三郎のもとに向かう。
 その頃、彼は露子に連れられ、安見寺へと来る。
 露子の正体は…?」

 表題作の「スカルマン」は実に救いようのない話で、あまり感銘を受けませんでした。(関係のない人、死に過ぎ…。)
 それよりも、「プレイコミック」に掲載された「石森章太郎読切劇場」が四編収録されていることが嬉しい。(注1)
 どの作品も怪奇・幻想・SF・一つまみの感傷がブレンドされ、独特な作風になっております。

・注1
 「石森章太郎読切劇場」ば、石ノ森章太郎「歯車 〜石ノ森章太郎プレミアムコレクション〜」(角川ホラー文庫)にて完全収録されております。

2023年11月7日 ページ作成・執筆

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