古賀新一「死霊の手毬唄」(1991年3月25日第1刷発行)

 収録作品

・「妖子」
「健二とマリ子の夫婦は十年ぶりに故郷に帰る。
 二人は小学生の時から大の仲良しであった。
 故郷で、二人は、同級生の千代と再会し、彼女の家で昔話に花を咲かせる。
 話が小学五年生の時のことに及ぶと、マリ子は自分が執拗ないじめを受けていたことを思い出す。
 それは恐らく、健二の近所に住んでいた、陰気な少女、滝妖子の仕業で、妖子は健二に想いを寄せていたらしい。
 気が付くと、もう晩の七時に近かったが、千代の娘、優子がまだ帰宅していない。
 どこに遊びに行ったかわからないので、彼女の日記を調べると、妖子という友人ができた経緯が書かれていた…」

・「仏壇の女」
「ラブホテルで男の首なし死体が発見される。
 刑事達が目をつけたのが、川田美加(20歳)であった。
 彼女は、三年前、その男にレイプされ、その際に、顔にナイフによる切り傷の痕が残る。
 また、その後も、男に付きまとわれては、肉体関係を強制されていたらしい。
 刑事達が張り込む前で、彼女は日課の薬草採集をし、それを乾燥させたものを丹念に粉末にする。
 その後、たっぷり時間をかけて、お化粧をした後、彼女は、殺された男の家に向かう。
 そして、彼女は男の仏壇の前に座り、夕方まで焼香をあげる。
 彼女はこれを七日続けるのだが…」

・「養殖」
「ナマコが大好物の中年男。特に、コノワタ(卵巣)が病みつき。
 とは言え、毎日食べ続ける程の金もないので、彼は家でナマコの養殖を試みる。
 自宅の池での養殖は成功し、彼はナマコに様々な動物を与えてみる。
 ある日、彼は、嘘の電話をかけ、妻が間男を連れ込んでいる家にこっそり戻り…」

・「黒バラの会にようこそ」(1989年「Newパンチ ザウルス 7月4日号」)
「ある団地に越してきた、26歳のOL。
 彼女は、団地の女性達から「黒バラの会」に誘われる。
 それは宗教団体らしく、夜更けに、黒装束の女性達が怪しい呪文を唱えているところを目にしたことがあった。
 彼女は入会を断った数日後、彼女が夜中に裸で踊り狂っていたというニュースが広がる…」

・「身代わり」
「河由理は人を呪ってばかりの生涯であった。
 幼い頃、DVな父親に捨てられ、中学の頃には、母親も彼女から去り、祖母との二人、暗い日々を送る。
 二十歳の誕生日に整形手術を決断し、陰気な顔から、明るい顔になる。
 そうして身も心も明るくなった時、彼女は太田良一という資産家の息子と知り合い、結婚を申し込まれる。
 ようやく幸せを得ると思ったのも束の間、彼には、彼女とそっくりな婚約者がおり、由理は単なる代用品であったことが判明。
 良一に復讐する為、彼女は丑の刻参りに精を出すが、彼女の恨みはちっとも彼に届いた気配がなく…」

・「死霊の手毬唄」
「奈保と姉は二人だけの姉妹。
 姉の結婚を契機に、二人は、島根県K市に移る。
 姉の嫁ぎ先は、大河原家という旧家で、地元では資産家として有名であった。
 一方で、大河原家の人々は「女腹(女ばかり産む女性)」の迷信に憑りつかれ、姉が産む子供の性別をひどく気にする。
 大河原家での生活を始めた最初の夜、奈保の寝室の床下から、赤ん坊を抱いた女性の幽霊が現れる。
 奈保と姉は、お寺で大河原家の歴史について聞くと、大河原家では男児に恵まれず、多くの女児を「コサシ(依頼を受けて、赤ん坊を殺す老婆)」に殺させていた。
 そして、数か月後、奈保の姉はみごもるが、彼女の周辺で奇怪なことが次々と起こる…」

2019年9月22日・11月13日 ページ作成・執筆

その他の出版社・リストに戻る

メインページに戻る