佐伊村司
「異骸@」(2014年8月1日初版・2015年2月25日3刷発行)
「異骸A」(2015年3月1日初版発行)
「異骸B」(2015年8月1日初版発行)
「異骸C」(2016年3月1日初版発行)
「異骸D」(2016年8月1日初版発行)
「異骸E」(2017年3月1日初版発行)
「異骸F」(2017年8月1日初版発行)
「異骸G」(2018年3月1日初版発行)
「異骸H」(2018年8月1日初版発行)




単行本@(「月刊COMICリュウ」2014年3月号〜7月号)
・「PHASE01 学園崩壊」
 弐階堂アキラはボクシング部の高校二年生。
 昼休み、彼は片想いをしている阿久津くるみに梅澤礼次を助けるよう頼まれる。
 梅澤礼次はアキラの大の親友で、ボクシング部のホープであった。
 彼は上級生と喧嘩しているらしく、二人は体育館裏に向かう。
 そこでは礼次が相手を激しく殴打していた。
 礼次は二人にここからすぐ離れるよう急かす。
 彼によると、二人が突然暴れ出し、一人を食べたという。
 くるみが倒れている生徒を介抱しようとすると、彼は突然、彼女を襲い、噛みつく。
 アキラはくるみを助けようとするが…。
 そして、アキラをかばって、礼次も…。
・「PHASE02 追跡者」
 ゾンビ・パニックは始まったと同時に急激に収まる。
 ゾンビ化した生徒達は突如、正気を取り戻したのであった。
 とりあえず、皆、校庭に集まるが、ゾンビだった生徒達が再びゾンビ化。
 阿鼻叫喚の中、アキラは古池円(ふるち・まどか/映画部部長)と共に第二校舎を目指す。
 しかし、一年の如月尊(手芸部)に締め出され、二人が逃げ込んだのは…。
・「PHASE03 ヘビー級」
 今回もゾンビ化した生徒達が一斉に我に返って、アキラと古池は難を逃れる。
 しかし、ゾンビ化したくるみを拘束していたことにより、アキラはゾンビ側の生徒達に非難の目を向けられる。
 その頃、人間側の生徒達は第二校舎に立てこもりつつあった…。
・「PHASE04 片思い」
 ゾンビ側の生徒達はラグビー部主将・五十嵐薫と副生徒会長の姫花沙良の指導の下、テニスコートの網の中に集まる。
 いつまた人を襲うかわからないと判断したからであった。
 アキラはくるみを心配して、テニスコートに向かうのだが…。
・「PHASE05 揺れるハート」
 ゾンビ化した生徒達が第二校舎に押し寄せ、バリケードを突破。
 アキラ、古池は如月尊と共に校内を逃げ回る。
 アキラは自分がゾンビを引き付け、古池にトイレに逃げるよう指示。
 彼は必死にゾンビと戦うが、その猛攻を前に力尽きそうになった時…。

単行本A(「月刊COMICリュウ」2014年9月号〜2015年1月号)
・「PHASE06 先導者」
 アキラはゾンビ化した礼次に助けられる。
 古池は礼次が正気に戻っているのを見て、ゾンビ化に周期性があることに気付く。
 どうやら「ゾンビタイム」と「セーフタイム」を約三十分おきに繰り返しているらしい。
 今は「セーフタイム」で、古池は互いに殺し合うのではなく、今のうちに互いに厳重に立てこもることを提案する…。
・「PHASE07 激突」
 生徒会長の宝条俊一、そして、ラグビー部の五十嵐薫の説得により、ゾンビ側の生徒達は体育館に隔離されることとなる。
 礼次も体育館に行き、アキラの頼みにより、くるみの行方を捜す。
 だが、彼らのあずかり知らぬところである計画が進められつつあった…。
・「PHASE08 憎悪」
 生徒会長による抹殺計画。
 運動部の面々もこれに参加し、ゾンビ側の生徒達は四面楚歌で、死を待つのみ。
 五十嵐薫は弓道部を説得しようとするも、パニックには歯止めがかからない。
 一方、アキラは礼次の様子を見に体育館に向かう…。
・「PHASE09 地獄の刻み」
 体育館に向かうアキラの脳裏に梅澤礼次の思い出が駆け巡る。
 しかし、体育館では宝条俊一より冷酷な現実を突きつけられただけであった。
 それでも、彼は礼次を救うことをあきらめず…。
・「PHASE10 哀しき獣達」
 五十嵐薫のタックルにより、体育館のバリケードが崩壊。
 体育館の中からゾンビ化した生徒達が溢れ出る。
 総崩れとなる中、弓道部や剣道部、彼らの決断は…?

単行本B(「月刊COMICリュウ」2015年2月号〜2015年7月号)
・「PHASE11 アフタースクール」
 アキラは礼次を連れ、第二校舎に避難する。
 安全な部屋の中で、アキラはゾンビ化した礼次に自分の本音を打ち明ける。
 アキラの訴えは礼次に届くのであろうか…?
・「PHASE12 怒りの矛先」
 そして迎えたセーフ・タイム。
 ゾンビ側の生徒達は我に返るも、自分達が受けた仕打ちに怒りと憎悪を爆発。
 彼らは第二校舎になだれ込み、ことの張本人である宝条俊一を血眼で捜す。
 古池と如月尊はゾンビ側の生徒達に取り囲まれ、生徒会長の居場所を詰問されるが…。
・「PHASE13 哀しき獣達」
 古池と如月を救おうと、アキラはゾンビ側の生徒達をなだめようとする。
 だが、味方かと思った礼次もやはり、生徒会長のしたことに怒りと恐怖を隠せなかった。
 このままではアキラは殺されると古池はゾンビ側の生徒達の注意を引き、ひとまずアキラはこの場から逃げ出す。
 一歩を踏み出せない礼次の代わりに、行動を起こしたのは如月尊であった…。
・「PHASE14 悪魔の贖罪」
 アキラは追手に逆襲するも、同じ人間同士という思いは拭えず、手を下すことはできない。
 その頃、宝条俊一はゾンビ側の生徒達に捕まり、中庭連絡通路でリンチを受けていた。
 その場に五十嵐薫が現れ、皆、とどめを刺しに来たのだと思う。
 五十嵐は宝条に「殺し合いになるのも計画のうちだったのか?」と問う。
 宝条の答えとは…?
・「PHASE15 神はいない」
 宝条俊一の奥の手。
 それは教師の車を使い、学園から脱出することであった。
 五十嵐薫は車に撥ねられ気絶し、ゾンビ側の生徒達はパニックを起こす。
 その最中、礼次は如月尊にバットで襲われる。
 だが、それを久保竜平が制止。
 竜平は、如月と共に逃げる途中、足止めとして使われ、ゾンビ化していた…。
・「PHASE16 不死身の男」
 副生徒会長の姫花沙良を助けたために、宝条俊一の脱出計画は失敗に終わる。
 ゾンビ側の生徒達に囲まれ、宝条は姫花沙良に食べられることとなるが…。
 彼女の取った行動とは…?
 一方、如月は礼次と竜平の二人を相手に戦うが、徐々にゾンビ時間が迫りつつあった…。

単行本C(「月刊COMICリュウ」2015年9月号〜2016年1月号)
・「PHASE17 天使を見た」
 宝条を失い、更に、校舎にゾンビの侵入を許し、人間側の生徒達はあちこちに立てこもる。
 アキラと古池も技術室に逃れ、そこのリーダー格の牧村忠信(バスケットボール部主将)と合流する。
 アキラはゾンビ側の生徒達との和解を求めるも、牧村は「甘い考え」と承知しない。
 一方、宝条に協力するも脱出に失敗した野田公誠は一人、校内を逃げ回っていた。
 図書室でゾンビに追われ、絶体絶命の時、如月尊が現れる…。
・「PHASE18 覚醒」
 牧村のもとに、同じクラブの江崎から連絡が入る。
 江崎は家庭科室に逃げ込むも、大量のゾンビが押し寄せ、助けを求めていた。
 状況は絶望的だが、アキラは、もしも自分が彼らを助けたら、自分の求めに乗ってくれと告げ、単身助けに行く。
 アキラに勝算はあるのか…?
・「PHASE19 止まない雨」
 アキラの誰も傷つけない行動は技術室の生徒達を感動させる。
 牧村もアキラの言葉に乗るが、問題はゾンビ側の生徒達をどう説得するかであった。
 古池は考えがあると、校内放送で演説をする。
 彼は人間側の生徒の非を認め、第一校舎は人間側の生徒、第二校舎にはゾンビ側の生徒とそれぞれ分かれるよう提案。
 そして、人間側が裏切らないよう自分が第二校舎に行くと宣言する…。
・「PHASE20 彷徨う制服」
 古池は第二校舎に行くために中庭に出る。
 中庭には人間側に憎悪を燃やすゾンビ側の生徒が集まっていた。
 宇佐定晴(軽音楽部)は強硬派の代表で、人間側を全く信用せず、古池を殺そうとする。
 それを止めたのが宝条俊一であった。
 彼は人間側は信用できないが、今争うのは得ではないと宇佐を説得。
 古池を受け入れる代わりに、こちらからも提案があると話す…。
・「PHASE21 兆し」
 午後六時九分、休戦協定が結ばれる。
 人間側の第一校舎にはゾンビ側から姫花沙良と阿久津くるみが送り込まれ、ゾンビ側の第二校舎の一室には古池と宝条が閉じ込められる。
 宝条はガムテープで拘束された後、古池に、自分がゾンビ化したら、話しかけてくれと頼む。
 そうやって、宝条は自分が意識を取り戻せるのかどうか知ろうとしたのであった。
 古池はゾンビ化した宝条に思いつくまま、質問を投げかけるが…。

単行本D(「月刊COMICリュウ」2016年3月号〜7月号)
・「PHASE22 揺れる恋心」
 宝条が反応した言葉…それは彼の最も大事な人であった。
 古池はゾンビ化していても意識はあると結論し、何故、このようなことが起こったのか考える。
 だが、人間側とゾンビ側の間の溝は深まるばかりであった。
 これは人間に下された審判なのであろうか…?
 一方、野田公誠は如月尊と行動を共にするうちに内なる凶暴性を発揮していく。
 天文部部室には三人組の男子生徒が拘束された女子高生のゾンビを犯そうとしていたが…。
・「PHASE23 闇の狩人」
 アキラは牧村たちと共に第ニ校舎に向かう。
 そこで、校舎のカーテンを全て取り外したことと凶器を準備してないことを姫花に報告してもらう。
 一応、交渉担当の宇佐は信用すると言うのだが…。
 その頃、古池は宝条からゾンビ化していた時のことを聞く。
 感情はそのままで、別の動物になったような感じらしい。
 そして、意識を保つのにある秘訣があった…。
・「PHASE24 暗黒の中で」
 第一校舎の天文部部室で発見された死体。
 牧村はゾンビ側の生徒に知られたら、休戦協定が破棄されると考え、隠蔽しようとする。
 ゾンビ時間が近づく中、礼次は五十嵐薫と久保竜平にアキラについて話す。
 礼次は荒み切った家庭環境で生きるためだけにボクシングをやってきた。
 そんな中、ひ弱なアキラは彼にとって目障りでしかなかった。
 しかし、自分が弱いことを自覚し、強くなろうと一心に努力する姿に礼次は…。
・「PHASE25 堕天使を見た」
 如月尊の指導の下、野田公誠は校庭でゾンビ狩りに興じる。
 一人ずつならゾンビを倒すのは簡単で、いじめられっ子だった彼は今、生まれかわったように感じる。
 しかし、二人にゾンビ達が気づき、集団で襲いかかってくる。
 校舎には間に合わず、二人は体育倉庫に逃げ込む。
 倉庫のドアはきちんと閉まらず、バスケットボールのカゴで押さえても、侵入は時間の問題。
 出口は向かいの小さな窓しかないが…。
・「PHASE26 帝王」
 第一校舎の人間側の生徒達に休戦協定が続くはずがないと動揺が広がる。
 牧村と同じバスケ部の江崎と岸はいざという時の準備を進めることを内密で決定。
 一方、第二校舎の屋上にいた見張りが弓矢で殺され、ゾンビ側の生徒達も大騒ぎになる。
 宇佐が五十嵐薫を詰問していると、宝条が現れる。
 彼は、人間は自分達を恐怖しており、必ず自分達を殺す選択をすると話す。
 だが、一度は人間側に立って、ゾンビ側を殲滅しようとしたのは彼自身であった。
 ゾンビ側の生徒の信用を得るために、宝条は…。

単行本E(「月刊COMICリュウ」2016年9月号〜2017年1月号)
・「PHASE27 危険な期待」
 休戦協定で決めた三時間まで何もなければ、古池は解放され、協定は継続される。
 アキラは皆に協力を求め、何事がないことを祈る。
 しかし、ゾンビ側の生徒に天文部での出来事が知られてしまう。
 しかも、天文部で拘束されていた女子生徒は久保竜平が想いを寄せていた相手であった。
 不信感が高まる中、五十嵐薫はそれでも話し合うことを主張する…。
・「PHASE28 不安の種」
 人間側とゾンビ側の生徒達は中庭で対峙する。
 同じ学校の仲間同士、争いなくうまくやっていくことを条件に、古池は無事に引き渡される。
 しかし、友好的な態度とは裏腹に、ゾンビ側には不穏な空気があった…。
・「PHASE29 甦る悪夢」
 教室では古池の歓迎ムードで賑わう。
 アキラは彼と腹を割って話し合い、未来に希望を持つ。
 しかし、アキラは古池にある異変を発見する。
 更に、急に起こった停電により、教室はパニック状態となる…。
・「PHASE30 RUN&RUN」
 ゾンビ化は瞬く間に進行。
 江崎と岸は牧村を助けに向かい、アキラは一人、失意のどん底に落ち込む。
 だが、古池の言葉を思い出し、彼は悲嘆に暮れる生徒達に校舎から出るよう声をかける。
 彼のアイデアは、セーフタイムまでゾンビから走って逃げ続けるというものであった…。
・「PHASE31 深い闇」
 アキラに片想いをしていた杉山夏帆が囮となり、アキラは窮地を逃れる。
 しかし、人間側の損害は甚大であった。
 江崎と岸はゾンビ化した生徒を殺していたが、最後の一人は牧村に止められる。
 アキラはそのゾンビの生死の判断を突きつけられるのだが…。

単行本F(「月刊COMICリュウ」2017年3月号〜7月号)
・「PHASE32 ダークスター」
 先程の混乱により、人間側はかなり数を減らしてしまう。
 それでも、アキラは話し合いを主張。
 だが、生き残った生徒達は彼を見捨て、山へと向かう。
 運動場に残されたのは、アキラと如月尊の二人だけ。
 その時、如月はあることを指摘し、アキラは誰の策略か察する。
 一方、ゾンビ側でも、礼次がことの真相に気付き、怒り狂っていた…。
・「PHASE33 一撃」
 礼次は強硬派のボス、宇佐を殴り殺そうとするも、五十嵐薫に止められる。
 五十嵐は身体を張って、礼次の怒りの拳を全て受け止める。
 一方、宝条はこの騒動に乗じて第二校舎を後にする。
 彼は姫花とひそかに連絡を取り合っており、彼が向かう先は…。
・「PHASE34 ブレイクダウン」
 五十嵐薫を狙う矢。
 それは亡き主将の遺志を叶えんとする弓道部の佐川政一郎より放たれた。
 五十嵐薫のとった行動は…?
 その頃、駐車場ではアキラと如月が宝条を待ち構えていた。
 アキラは古池に何をしたのかと宝条を問いただす…。
・「PHASE35 死の行列」
 宝条の告白から意外な事実が明らかになる。
 ゾンビ化した生徒達は意識を保てる時間が伸びているらしい。
 それが意味するところとは?
 それなのに、何故、宝条はあのような選択をしたのか?
 宝条の告白を聞き、アキラは争いを止める決意を固める…。
・「PHASE36 反撃の狼煙」
 姫花は宝条のもとに向かおうとするが、如月が前に立ちはだかり、襲いかかる。
 彼女をかばい、如月に立ち向かったのは、因縁のある久保良平であった。
 その頃、ゾンビ側の生徒達は山から松明の灯りが列を作って降りてくることに気付く。
 彼らは校舎に火を付けられるのではないかとパニックを起こしそうになるが、礼次たちは落ち着くようなだめる。
 すると、中の一人が、意識を取り戻すまで屋上に隠れたら良いと提案する。
 だが、その提案者は…?

単行本G(「月刊COMICリュウ」2017年9月号〜2018年1月号)
・「PHASE37 断崖」
 ゾンビ・タイムまであとわずか。
 ゾンビ側の生徒達は屋上に身を潜める。
 人間側の生徒に疑惑の目を向ける生徒達が多い中、新リーダーとなった日野英彰(サッカー部主将)や浅倉由紀恵(女子サッカー部主将)は五十嵐薫の遺志を継ぎ、人を襲わないよう自らを拘束する。
 その頃、第二校舎のバリケードで、礼次はゾンビ側に人間側のスパイが忍び込んでいることを知る。
 スパイは逃げつつ、仲間に連絡を取ろうとするが…。
 人間側の企みとは…?
・「PHASE38 青春の光と影」
 バスケ部を中心とした人間側によるゾンビ側の殲滅計画はうまく行くかに思えた。
 しかし、予想とは違い、校内にはまだ多数のゾンビ側の生徒達が残っている。
 そこで彼らはゾンビ・タイムの間に校舎内のゾンビ側の生徒を殺そうとするが…。
・「PHASE39 暴力と正義」
 ゾンビ・タイムが終わり、ゾンビ側の生徒達は人間側の企みを知る。
 アキラは日野英彰に争いを止めるべく、人間側の説得をすると申し出て、日野も了承。
 その頃、校庭ではバスケ部二年で不良の室谷正見がゾンビ側の生徒達を拘束し、一人ずつ撲殺しようとしていた。
 そして、ゾンビ側の生徒の中には阿久津くるみと杉山夏帆の姿が…。
・「PHASE40 震える目」
 礼次はアキラを守るため、大勢の人間側の生徒達を敵に回す。
 そこに久保竜平が参戦。
 遂には、日野英彰率いるゾンビ側の生徒達も出て来て、人間側に降伏を迫る。
 互いに向かい合い、一触即発の中、間に如月尊が現われ…。
・「PHASE41 天国と地獄」
 生徒達は小グループずつに分かれ、それぞれ身を潜める。
 ボクシング部の更衣室ではアキラがくるみの手当てをする。
 室谷正見の一味はゾンビ狩りに執念を燃やす。
 日野英彰の一派は礼次を救い出すが、彼は意識不明の状態であった。
 そして、校庭には久保竜平と如月尊が二人。
 久保竜平の頭の中には唯一の友人だった如月の思い出が駆け巡っていた…。

単行本H(「月刊COMICリュウ」2018年3月号〜7月号)
・「PHASE42 意志を継ぐ者」(目次では「意思を継ぐ者」になってるが誤植?)
 アキラは礼次を捜す。
 校庭で彼はゾンビ側の生徒達の襲撃を受けるが、彼は人間側とゾンビ側の共存をひたすら訴える。
 これが明日につながる唯一の道と信じて…。
 一方、校内では室谷率いる一味がゾンビ側の生徒を片端から殺害していた…。
・「PHASE43 何度でも立ち上がる」
 ゾンビ側の殲滅計画の一端を担った、バスケ部の岸。
 アキラは暴走する室谷を止めるよう彼に頼むが、彼は室谷と合流するつもりであった。
 その時、彼の携帯電話に妹から連絡が来る。
 彼の母親はゾンビ化しており、彼は妹に殺すよう話していたのだが…。
 そこに室谷の一味が現れる。
 彼らはゾンビ側の生徒を三人狙っていた。
 ゾンビ側の生徒を救うため、アキラが取った行動とは…?
・「PHASE44 人として」
 室谷たちはある一室に日野英彰の一派を発見する。
 日野たちは争いを避けるため、身を隠し、人を襲わないよう自らを拘束していた。
 岸は室谷を止めようとするも、室谷には容赦がない。
 彼は日野たちを殺すよう指示を出すが、その場に現れたのは…!!
 その頃、ゾンビ側の生徒を救ったアキラは一人校庭で力尽きていた。
 そのまま横たわる彼の前に古池の幻影が現れる…。
・「PHASE45 ファイナルラウンド」
 アキラと室谷の対立は如月尊によって火に油を注がれる。
 室谷は阿久津くるみを人質に取り、礼次は彼を追う。
 ゾンビ側の生徒達も室谷のもとに集まり、彼を殺そうとするが…。
 その時、突如、校内放送が流れ始める…。
・「FINAL PHASE Giant Leap Mankind」
 ゾンビ側の生徒は室谷を殺そうとするが、アキラは決して許さない。
 彼はこの不幸の連鎖をここで断ち切ることを皆に求める。
 そして、迎える夜明け…。
 人類の運命は…?

 「ゾンビもの」と「熱血な青春ドラマ」を融合させた意欲作です。
 この作品で面白いのはゾンビの設定で、ゾンビ化しても「ゾンビ・タイム」と「セーフ・タイム(正気を取り戻した状態)」があり、これにより、登場人物達は様々なジレンマを突き付けられることとなります。
 ゾンビ化したものも人間に戻る時間がある故に、人間側から殺されることを恐れ、それにより、独自のサバイバル・ホラーを作り出すことに成功しております。
 ただ、主人公達が皆「熱血!!」なので、そういうのが苦手な方には鬱陶しいかもしれません。(登場人物の幾人かは「北斗の拳」のキャラが入っているような…。)
 特に、アツい回想シーンがしばしば挿入されるので、人によってはシラケてしまうのではないでしょうか?
 それと、ゾンビ・パンデミックの原因がはっきりと説明されない点も痛いと思います。
 一応の説明があることはありますが、あれで納得できる人がどれだけいるのでしょうか?
 そのために、ラストが説得力にはかけるよう私は感じます。(いいラストなんですが、やっぱり、急すぎる…。)
 と気になる点を書きましたが、全体的に見ると、「ゾンビ・サバイバルもの」として最初から最後まで緊張感を維持しつつ、青春ドラマとしても実に読みごたえのある内容で、かなりの力作です。
 また、佐伊村司先生は「ゾンビ」の大ファンらしく、マニアには嬉しいセリフもちらほら。
 もっと評価されてもいい作品ではないでしょうか?

2023年8月21・22・24〜26・28・29・31日 ページ作成・執筆

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