石川球太「白夢海流」(1978年6月1日初版発行)

 収録作品

・「白夢海流」
 ウィリアム・ホープ・ホジスン(英/1877〜1918)(注1)の「夜の声」を忠実に漫画化したものです。
 この作品を原作として、故・星新一と故・福島正実が脚色した映画が「マタンゴ」であります。
 映画ではグチャグチャドロドロな人間劇が展開しておりましたが、原作は文庫で20ページぐらいの短編で、映画と較べると、かなり地味な内容です。
 とは言え、キノコ人間の描写やキノコを食べて発狂するヒロインの描写等、「マタンゴ」の影響はやはり拭いきれなかった模様。
 ちなみに、飯沢耕太郎氏・編「きのこ漫画名作選」(Pヴァイン/2016年6月10日初版発行)に、故・白川まり奈先生の「侵略円盤キノコンガ」は収録されているのに、「白夢海流」が漏れているのは、ちと納得がいきません。
 「マタンゴ」の影響を受けて描かれたマンガは幾多とあれど、「夜の声」を漫画化したものは稀少のように思います。

・「黒ミサ幻想曲」
 サックス・ローマー「チェリアピン」(「怪奇小説傑作集A(創元推理文庫)収録)が原作です。
 主人公が音楽記事専門の女記者になっていたり、最後にどんでん返しがある等、いろいろとアレンジが施されております。
 個人的には、原作よりも漫画化した作品の方が面白いと思います。

・注1
 手持ちのW・H・ホジスンの作品は以下の通り。
・「夜の声」(創元推理文庫/1985年8月30日初版・1986年6月6日再版発行)
・「異次元を覗く家」(ハヤカワ文庫/1972年5月31日発行)
 本棚にず〜〜っとあるけど、未読。年を取ると、この手の翻訳文を読むと、すぐに眠気が…。
・「幽霊狩人カーナッキの事件簿」(創元推理文庫/2008年3月28日発行)
 ブラックウッドの「ジョン・サイレンス」と並ぶ心霊探偵(?)ものですが、これまた未読。昔、国書刊行会が出した「カーナッキ」は翻訳文がさっぱり理解できないところがあり、あまりいい印象を抱いていません。新訳の方はどうなのか確認しておかないといけませんね。

2017年8月5日 ページ作成・執筆

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