成毛厚子「《梨田家の受難》シリーズ@ 北の封印」(1995年8月18日第1刷発行)

 梨田家は夫婦(パパとママの朋美)と二人の娘(?/小学二年生の由衣と赤ん坊の夢)の四人家族。(第三話より犬のゴンも加わる)
 一見、普通な家族であったが、鈍感なくせに霊を呼びやすい夫のせいで、一家はしばしば霊的トラブルに巻き込まれることに…。

・「第1話 北の封印」(1994年「Sakura Mystery」Vol.39)
「梨田家は東京湾近くのマンションに引っ越す。
 部屋は11階にあり、北の窓からは東京湾の絶景が見渡せる。
 ただ、この北側の窓は開け放しにはせず、夜には絶対に鍵を閉めるよう決まりがあった。
 地主の老婆が言うには、南北の窓を開けると、霊の通り道になるかららしい。
 そんなことは迷信と誰も信じてはいなかったが、朋美は北側の窓ガラスの外側に何者かの手形があるのに気づく。
 海からやってくるのものとは…?」

・「第2話 死者の跫音」(1994年「Sakura Mystery」Vol.40)
「朋美は盲腸の手術のため、入院する。
 手術を無事終え、経過も順調であったが、関という入院患者には閉口。
 彼女はあちらこちらに霊が視えると常に主張し、煙たがられていた。
 朋美は病室を出て、屋上へ風に当たりに行くと、急に入院患者の男に抱きつかれる。
 彼は別の入院患者と付き合っており、朋美をその人物と間違えたのであった。
 朋美が病室に戻ると、相部屋の吉本という中年女性が「つれていかないで」とうわ言を言いつつ、うなされていた。
 吉本のそばにはロングヘアで私服の娘が見えたが、カーテンを開け吉本を起こすと、その娘の姿がない。
 朋美が訝っていると、窓の外で先程の入院患者の男性が飛び降り自殺をするのが目に入る。
 病気を苦にしてと思われたが、関は彼が失恋して飛び降り自殺をしたとの考えを述べる。
 また、数年前にも失恋で飛び降り自殺をした女性の入院患者がいたというのだが…」

・「第3話 凶相の館」(1994年「Sakura Mystery」Vol.41)
「梨田家はパパの学生時代の友人が所有する軽井沢の別荘を訪れる。
 と言っても、友人が来るのは明後日で、梨田家は掃除係であった。
 この別荘はかなり立派な建物で、二階には豪華な婦人用の部屋がある。
 家族は別荘での生活を楽しむが、朋美は二階から視線を感じ、どうも落ち着かない。
 しかも、二階の部屋で心霊体験をし、その際、片足を挫いてしまう。
 翌日、家族は軽井沢観光に出かけ、朋美は別荘で一人きりになるのだが…」

・「第4話 骨の泣く声」(1994年「Sakura Mystery」Vol.44)
「軽井沢で拾った野良犬、ゴンを散歩されるのは朋美の役目。
 ゴンは非常に元気で、ゴンに引きずり回されるうちに、朋美は細い路地の奥の空き地に入り込む。
 そこには廃屋らしきものがあり、荒れ放題の庭には動物のお墓が幾つもあった。
 ゴンが墓の一つを掘ると、中から少女用のネックレスが出てくる。
 それを見ていると、廃屋から中年ぐらいの女性が現れる。
 彼女は薫という子供とここに住んでいるらしく、この墓はその子の作ったものであった。
 帰宅後、朋美はゴンがネックレスを持ってきたことに気付く。
 翌日、彼女はネックレスを帰しに行こうとするが、知り合いの婦人から意外な事実を知らされ…」

・「第5話 ゆがんだ檻」(1994年「Sakura Mystery」Vol.45)
「朋美は洋菓子店で熊谷という夫人と知り合う。
 彼女は夫との仲は冷え切り、一人息子の博行はいじめが原因で引きこもりとなり、非常に心痛が多かった。
 話すうちに、朋美は熊谷の一人息子と由衣が同学年であることを知り、由衣を彼と遊ばせてみてはと提案する。
 熊谷はその提案にとびつき、朋美・由衣・ゴンは熊谷の家を訪ねる。
 熊谷の家は立派な邸宅で、熊谷家はかなりの金持ちらしい。
 朋美は由衣とゴンを熊谷家に預け、由衣は博行の部屋に行くのだが…」

 成毛厚子先生の人気シリーズ「梨田家の受難」シリーズの第一弾です。
 やはり、このシリーズの魅力は梨田一家のキャラクターによるものが大きいでしょう。
 各々性格はバラバラながら、意外にもカバーし合って、家族で毎回危機を乗り切っていくのが、なかなか楽しめます。
 一部、釈然としないところがあったりはするものの、ベテランらしく、手堅くまとまっており、安心して読めるのは非常にありがたいことです。

2025年12月8日 ページ作成・執筆

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