べるね「椿姫子」(1987年1月15日初版発行)

 収録作品

・「椿姫子」(1982年「ちゃお増刊」)
「季節は秋。
 伊都美は、失恋の傷心を癒すべく、母の生家を一人、訪れる。
 母の生家はもう人は住まず、休みの間だけの別荘となっていた。
 そこで、伊都美は、季節外れの椿の匂いに気付く。
 匂いをたどると、隠れ庭があり、大きな白椿が植えられている築山と古めかしい土蔵があった。
 伊都美が椿に近寄ると、枝が髪に絡みついて、離れなくなる。
 すると、土蔵から、青年が現れ、伊都美の髪をハサミで切り、出ていくよう指図する。
 とりあえず、伊都美が屋敷に一泊すると、夜、布団の上を日本人形が歩きまわる。
 目を覚ますと、横に昨日の青年がおり、伊都美に謝りがてら、自己紹介をする。
 彼は別荘番の清興(きよおき)という者で、土蔵に住み、庭の手入れを担当していた。
 伊都美は別荘に滞在するうちに、清興に徐々に想いを寄せていくのだが…」

・「黒バラの館」(1983年「ちゃお増刊」)
「咲坂奈子は写真同好会のメンバー。
 ある時、母方のおばの昔、住んでいた西洋館で写真撮影をすることになる。
 館の周囲には野生のバラが咲き乱れて、中はアンティークな雰囲気であった。
 早速、奈子は撮影にとりかかるが、心霊写真が撮れたり、鏡に別人が映ったりと、気味の悪いことばかりが起こる。
 そのうちに、奈子はバラの温室で、サヨコと名付けられた黒バラを目にする。
 バラの写真を撮っているうちに、雨が降り出し、奈子は温室にとどまらざるを得なくなる。
 すると、どこからか人の話し声が聞こえ、胸に黒バラを抱いた少女と、少女よりも背丈の大きいモヤのような幽霊が現れるのであった。
 この館に秘められた過去とは…?」

・「ジュリエットの悲劇」(1983年「ちゃお増刊」)
「転校生の神宮はるなは、演劇に目がない女の子。
 早速、演劇部に入部して、ジュリエット役(「ロミオとジュリエット」)の田中しのぶを喰ってしまう。
 はるなはしのぶのプロンプター(陰でセリフをこっそり教える人)となるが、総稽古の際、照明が落ちた間に、しのぶが城のバルコニーから転落する。
 この学校には「魔のバルコニー」の噂があり、「ロミオとジュリエット」を演ずると、必ず怪我人が出ると言われていた。
 しのぶは捻挫して、はるながジュリエットの代役となる。
 「魔のバルコニー」の噂が囁かれる中、やがて、はるなへの疑惑が産まれる…」

・「秋の花燈ろう」(1983年「ちゃお増刊」)
「両親を亡くし、姉の咲子と二人きりで暮らしてきた少女、みのり。
 その姉が、イギリスで働く広野という青年と結婚することとなる。
 夜、その彼が訪ねて来るが、みのりには彼の身体が透けているように見える。
 他にも奇怪な体験をし、みのりは姉に行かないようすがるのだが…」

・「すすり泣く影」(1984年「ちゃお増刊」)
「エッコの通う女子中学校は、木造校舎から、鉄筋の校舎に建て替える。
 以来、エッコの周囲に、おかっぱ頭の奇妙な少女が出没するようになる。
 エッコが、立花という女子生徒と共に、学校の過去を調べると…」

・「怪奇だぞ!!」(1984年「ちゃお増刊」)
「べるね先生や、そのご友人の心霊体験を漫画化したものです」

・「プリンスチャーミング」(1982年「プチコミック」)
「ロンドン、マーキークラブで熱演するロックバンド、KYARA(伽羅)。
 あるライブで、ボーカルのエヴァ・アダムにダイヤのネックレスが投げられる。
 それは、大金持ちのバローズ家の一人娘、ヴァイラのプロポ―ズで、エヴァ・アダムは彼女にぞっこん。
 早速、彼女の邸へと向かうが、彼の本当の相手は、ヴァイラの母親であった。
 一方、KYARAのメンバー達はエヴァの様子を探ろうとするも、邸の警備に彼はいないと追い返される。
 そこで、バローズ家について調べていくと、ある陰謀が明らかとなる…」

 「べるね」先生は「BELNE」先生の別名義であります。(巻末にその旨、断りがあります。)
 その別名義にて、1982〜1984年に、小学館の雑誌に発表された作品を収録した単行本です。
 「プリンスチャーミング」以外は怪奇マンガで、「ちゃお増刊」に掲載されたためか、少女漫画風の絵柄です(注1)。
 内容はどれも力が入ってますが、個人的なベストは「すすり泣く影」。
 これに出て来る、おかっぱ頭の少女はマジで気持ち悪いです。その顔で笑いながら、泣くのは、やめてくれ〜。

・注1
 BELNE先生は耽美な作品で有名らしいのですが、私、少女漫画に関しては全くわかりません。
 この単行本では、「プリンスチャーミング」が一番、本来の作風に近いのでしょうか?

2019年5月17日 ページ作成・執筆

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