佐伯かよの「黄泉からの声」(1981年3月10日初版発行)

 収録作品

・「黄泉からの声」(1980年「ポップティーン」12月号)
「淳一郎、高村真紀子、裕介の三人は、予備校に通う仲良し三人組。
 彼らの住む町で、自殺者が頻発する。
 それはその地域だけの問題ではなく、日本、いや、世界的な現象であった。
 更に、自殺者は「進め…」「進め…」という声に従って、否応なく自殺へと駆り立てられたらしい。
 天才肌の裕介は、この現象にある仮説を立てるのだが…。
 一方で、母親の期待に押し潰されそうな真紀子は、徐々にその声の虜になっていく…」

・「マルチ・インセクト」(1980年「少年/少女SFマンガ競作大全集PART.9」)
「宇宙空間でトラブルを起こした輸送船。
 製水機の故障により、荷物の豆トウモロコシが発芽し、重量オーバーになってしまったのであった。
 修理のため、ジャックとラルフは、地球型の惑星を探し、そこへ着陸する。
 そこには、人類に極めてよく似た生物が生活を営んでおり、二人は、ローナという生物と知り合いにある。
 この惑星は食物が貧弱なため、彼は栄養不良で、非常に飢えていた。
 ローナの紹介で、ジャックたちは、惑星の女王に会う。
 ここでは、蜂と同じく、女王と、彼女の子供達で構成され、子供達は皆、美形であったが、雄であった。
 彼らには知られざる生態とは…?」

・「わたしを愛したコンピューター」(未発表)
「1999年、全てがコンピューター化された社会。
 その頂点には総合情報処理センターがあり、第一区は経済処理、第二区は医療処理、第三区は国務処理に割り当てられ、それら全てを管轄する中心がゼロ区であった。
 ある日、ゼロ区のコンピューター・ルームに最新型コンピューター、DG3号が搬入される。
 このコンピューターは「人間の脳細胞に匹敵する記憶回路ユニットを組み込んで」あり、コンピューター自身も「最も人間に近い」と自負する。
 コンピューターの管理者、フレッド・リードはコンピューターに「女性」を感じ取り、「ディジー」と命名。
 だが、フレッドと女職員、サンドラとの仲が深まるにつれ、ディジーの様子がおかしくなっていく…」

・「おおマイホーム」(1975年「りぼん」11月号)
「ジェフ・ロードは足の不自由な娘、セリアと愛し合っていた。
 セリアの父は彼女のために、全てがコンピューター化された家を作り、二人はそこで幸せに暮らす。
 だが、セリアが交通事故で急逝してしまう。
 落ち込むジェフを慰める…というよりは、玉の輿に乗る魂胆で、イルゼという娘が彼の家にやって来る。
 彼女は、彼のハートを得るべく、あの手この手で迫るのだが、いろいろと家が邪魔して、失敗ばかり。
 この家の秘密とは…?」

・「割れたカップ」(1974年「りぼん」4月号)
「秀才ばかりが集まる青蘭学園。
 一年生の的場美也子は、美人であったが、成績はどん底で、クラスの孤立する。
 彼女は優秀な父親や兄姉と同じように、エリートコースを進むべく、この学園に裏口入学させられたのであった。
 ただ一人トップクラスの成績の片岡葉子だけは、美也子に関心を持ち、親切にする。
 ある夜、散歩に出かけた美也子は、事故か自殺か、歩道橋の上から転落する。
 走行中の車のボンネットに落ち、頭からフロントガスに突っ込んだものの、幸い、傷は軽く、脳波にも異常は見られない。
 この事故以来、美也子は記憶力や思考力は冴え始め、成績はぐんぐん上昇する。
 だが、美也子は、原因不明の頭痛に度々襲われるようになり…」

・「佐伯かよの全調書」
・「Q&A」
・「漫画と私」〜エッセイ。新谷かおる先生(頭には鉢巻きが…)とのツーショット写真あり。
・「全作品リスト」
・解説・いがらしゆみこ「いい女・最前線」

・備考
 割れ気味。本の腰巻に折れ痕にテープ補修あり。

2020年9月9日 ページ作成・執筆

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