外薗昌也・原作/高港基資・漫画「闇異本@」(2021年7月15日第1刷発行)
・「その1 黒い家」
「ホラー月刊誌「呪」編集部。
編集長の野中修二は実話怪談提供者の「黒い人」に興味を持ち、連絡を取る。
直接会うことは無理かと思われたが、意外にもOKが出て、野中は彼の実家で会う。
ただ、「黒い人」は顔を見せることができない事情があるとかで、スケキヨ(犬神家の一族)のようなマスクをかぶっていた。
対談の最中、野中が「黒い人」に彼のもとに怪談が集まってくるようだと言うと、彼は「人の話して聞かせる」ためにはどうしても「怖い話が必要」だと答える。
そして、彼は面白いものを見せると言って、野中を地下室に案内しようとするのだが…。
「黒い人」の秘密とは…?」
・「その2 帰ってきた猫」
「ある一家(両親と息子と娘)にとって黒猫のモモは家族の一員同様であった。
ある年の夏、モモは猫エイズの合併症で急死する。
娘は水彩画が趣味で、モモを懐かしんでいると、突然、モモの絵を描きたくなる。
無我夢中で描いてできあがった絵は、ある一軒家の前にモモがたたずんでいるというものあった。
その絵を部屋に飾った夜、彼女は奇妙な夢を見る。
絵の中からモモが脱け出した後、彼女が絵を見つめると、一軒家のドアが開いており、その奥に女性がいる…という内容であった。
翌朝、家の中は取っ散らかっており、家族は皆、モモが帰ってきたと考える。
だが、娘は違和感を感じていた。
それからしばらく経った夜、彼女はまた奇妙な夢を見る。
それは壁の中から奇妙な女が出てくるというもので、彼女は奇妙な女が絵の中の女だと直感する。
絵に描かれた一軒家はモモを拾った場所だと彼女は気づくのだが…」
・「その3 観覧者」
「テレビのバラエティ番組が好きな青年。
ある夜、彼がいつものようにバラエティ番組を見ていると、観覧席に奇妙な女がいるのに気づく。
その女は地味な服装に長い黒髪で、俯いているか、顔を上げてもステージを一切見ておらず、そのまま最後までずっと観覧席にいた。
翌日、またバラエティ番組を見ていると、その女が相変わらず、観覧席にいる。
しかも、女は彼の方を向いて笑いかけてくる。
気味悪くなってテレビを消して寝るが、目覚めるといつの間にかテレビが付いている。
そして、観覧席にはあの女がいて、彼をじっと見つめているのであった。
以来、テレビでバラエティ番組があると、手が勝手にテレビをつけ、観覧席にはあの女がいるということが繰り返される。
彼は睡眠不足で意識朦朧となり、とにかくテレビを見ないようにとするのだが…」
・「その4 穢れ・前篇」
「漫画家のマユはヒット作を出したお陰で、富士の見える湖畔のロッジを購入する。
それは分譲された三棟の一番手前側であった。
マユは念願の田舎暮らしを楽しんでいるのかと思いきや、半年後、神経性胃炎で入院する。
理由は隣人トラブルであった。
彼女の隣人は穏やかそうな年寄り夫婦であったが、ある日突然、奇行が目立つようになり、彼女を脅迫するようになったという。
マユの友人のホラー漫画家とオカルト系ライターは、あの一帯がヤバい場所だと知り、ロッジに向かうのだが…」
・「その5 穢れ・後篇」
「二人は年寄り夫婦の夫の方から真相を聞く。
ホラー漫画家の方は危険なものを感じ、以来、この件には関わらないようにするが、オカルト系ライターは記事のネタにするつもりか調査を進める。
この土地のいわくとは…?」
・「その6 廃屋」
「社長と社員三人の小さな印刷工場。
工場の敷地の奥に長年放置された廃屋があり、三人の社員はそれに通じる敷地の草刈りをする。
三人のうち、二人は体調不良等で脱落し、一人だけが廃屋に入り、換気のため、雨戸を開ける。
すると、襖に大人の男性と少女の絵と名前・生年月日が書いてあり、その横に「どうか返してください」と付け加えられていた。
更に、その横の襖には全体に「返せ」と殴り書きがしてある。
その夜、彼は奇怪な夢を見る。
東北訛りのある女が彼の部屋に来て、寝ている彼の胸を踏みつけると、右腕を全力で引っ張るのであった。
翌朝、彼が目覚めると、右腕は脱臼しており、彼の同僚の二人も同じく脱臼していた。
彼は社長に忠告するも、社長は一人で廃屋の解体をして…」
・「その7 日本人形」
「ある青年がネット・オークションで骨董品を売る会社に仮採用される。
初出勤日、彼の最初の仕事は商品撮影の手伝いで、木箱に入っている日本人形をスクリーンの前に立てるように言われる。
この木箱がやけに大きく、しかも、「アケルナ」と耳元で声がする。
蓋を開けると、本当の子供のような大きさの日本人形で、かなり重い。
言われた通りにスクリーン前に立てたものの、いつの間にか倒れており、彼は人形のもとに慌てて駆け寄る。
人形は壊れてなく一安心するも、人形の着物の中に何かがおり…」
・「その8 呪いのマネキン」
「将也は肝試しで友人を驚かすため、女性のマネキンを右手、左腕、両足を壊し、両目を潰す。
肝試しでこのマネキンを見た友人はビビりまくって、将也の企みは大成功。
しかし、数日後、スクーターで町を走っていると、目の端に両足と片腕のない女性の姿が映る。
その直後、彼は交通事故に巻き込まれ、トラックから滑り落ちた鋼材が彼の右手と左腕を直撃する。
彼が必至に助けを求めていると、鋼材の上にあのマネキンがいた。
彼は病院に運び込まれるも、右手と左腕を失う。
一か月後、彼は病院の屋上にあのマネキンの姿を見て、マネキンの呪いがまだ終わってないことを察する。
彼は肝試しで驚かした友人に連絡をして、マネキンを捜し出しお祓いするよう頼むのだが…」
「〇異本」シリーズはいろいろな雑誌社で発表されておりますが、「LINEマンガ」では「闇異本」が掲載されました。
外薗昌也先生&高港基資先生のコンビは相変わらず絶好調で、この単行本では「日本人形」「呪いのマネキン」が突出していると思います。(やはり「人形もの」は怖い…。)
「廃屋」は怖いことは怖いのですが、イマイチ訳がわからず、そこが残念でした。
2024年6月29日 ページ作成・執筆