外薗昌也・原作/高港基資・漫画「闇異本A」(2022年7月15日第1刷発行)
・「その9 手鏡」
「老人ホームでヘルパーとして働く男性。
ある日、彼は老人が手の甲をじっと見つめることに気付く。
所長はそれを見て、その老人は今夜あたりに亡くなると言い、その言葉の通りとなる。
この業界では手の甲を見る仕草を「手鏡を見る」と表現し、その仕草をする人は死期が近いのであった。
男性はその話を聞き、自分の父親のことを思い出す。
彼の父は大学の柔道部でコーチをしており、曲がったことが大嫌いで、ひどく厳しかった。
子供の頃の彼はそんな父親がただただ怖かったが、ある日、父親が縁側に座り、手の甲を凝視しているのを目にする。
その夜、父親は彼を見晴らしのよい高台に連れて行き、今まで厳しくしたのは彼が間違った方向に行かないようにするためで、彼がこの世の何よりも大切だと涙を流しながら話す。
翌朝、父親は心臓発作で急死。
しかし、子供の彼には父親の本心は伝わらず、彼の中ではいまだに「怖い父」のままであったが…」
・「その10 怨霊と戦う男」
「田渕は人の心を持ち合わせてないろくでなし。
妻が不審な事故死をした後、愛人を家に引き入れるも、殴る蹴るの暴力沙汰で愛人は逃走。
家では老いた父親と二人暮らしになるが、年金目当てだったらしく、ろくな世話をしない。
父親の死後、彼は自分で棺桶を作るが、父親の背丈とサイズが合わなかったため…」
・「その11 覗く子」
「主婦中心のバトミントン・サークルがT県に三泊四日の合宿に来る。
皆、家事から解放されて活き活きとプレイする中、一人の女性がある子供に気付く。
その子供は顔の上半分だけを覗かせて、窓の外から彼女たちの練習を日中ずっと見ていた。
奇妙なことに彼女以外の誰もがその子供の存在に気付いていない。
夜、彼女が体育館にスマホの充電器を取りに行くと、その男の子はまだ窓の外から覗いている。
彼女は男の子が生きているものではないと気づき、部屋へと逃げ帰る。
翌日、男の子は現れず、彼女はほっとするが、合宿最後の夜…」
・「その12 秘密結社」
「画家志望のフリーター、矢野と山本は一日限定の遺跡発掘のアルバイトをする。
場所は弥生時代の墳墓で、彼らの仕事の目的は甕棺を探すことであった。
発掘の最中、矢野は勾玉を発見し、それをネコババする。
とても気に入り、いつも身につけていたが、ある日、彼が似顔絵描きをしていると、美人が裸の全身像を描いてほしいと頼みに来る。
彼女とホテルに行き、セックスするが、彼女の背中には奇妙な紋様の刺青が彫られていた。
その後、彼女は彼に「会うべき人」に必ず会うよう約束させるのだが…」
・「その13 魔術の効力」
「野村という女性は中学の時のいじめをきっかけに七年間、引きこもりの生活を送る。
その後、意を決して社会に出始め、地元の書店で働くことができるまでになる。
しかし、そこで変態の男性客に目を付けられ、様々な嫌がらせを受ける。
ネットの掲示板で相談してみると、他人事な回答の中、「呪いをかけなさい。方法は教える。まじない師」という回答が目につく。
その「まじない師」に直接会うが、「まじない師」は痩せ型の女性で、呪いの手順を書いた紙だけを手渡し、去っていく。
その紙に書かれた通りに実行すると、変態男には呪いが降りかかり、撃退に成功。
だが、彼女を狙う悪魔はそいつだけでなく、彼女は再び呪いをかけようとするが、その時、まじない師がまた現れる。
まじない師はもっと強力な呪いを教える代わりに、これが最後だと誓わせるのだが…」
・「その14 怪トンネル」
「樋口はある工務店に勤める男性。
仕事でよく通るトンネルがあるが、そこは同じ速度で走っているのに、何故か毎回、通過する時間が違う。
しかも、長く時間がかかる時にはいろいろと怪現象が起きるのであった。
噂によると、ここでは昔、ひき逃げされた女性がトンネル内に置き去りにされ、何十台もの後続車に轢かれるという事故が起こったらしい。
樋口が友人でオカルト・マニアの内田にその話をすると、内田はとても興味を持ち、二人でトンネルに行く。
内田は大喜びで、トンネルを十往復して、テンション上がりっぱなし。
樋口が生理現象で車を降りた後、内田は一人でまたトンネルへと入っていくのだが…」
・「その15 さがして」
「智明は夜のオフィス街で奇妙な男の子を目にする。
男の子は無人の道路に何かよくわからないものの絵を描いていたが、智明は男の子が普通のものではないと感じる。
翌朝、飛び降り自殺があり、少年が絵を描いた中に死体が収まっていた。
同僚たちに話を聞くと、その少年は「死神少年」と呼ばれ、このオフィス街の鵺丸通りにだけ昔から現れるという。
帰宅の際、彼が鵺丸通りを通ると、古びた看板が目に入る。
それは二十年前のひき逃げ事故の情報を求める看板で、その犠牲者はあの男の子であった。
しかも、いつの間にか、彼の周囲の地面には「さがして」という言葉がびっしり書き込まれていた。
智明は帰宅後、寺の住職をしている父親に相談する。
父親は智明がひき逃げ事故と何らかの関りがあるのではないか?と推測するのだが…」
・「その16 猫ちゃん」
「ある猫好きの男性が交差点で信号待ちをしていた時、猫が軽トラックに轢かれるのを目にする。
彼は猫のもとに駆け寄るが、猫はもう虫の息であった。
そこに中年女性が現れ、彼が轢いたのだからどうにかするようネチネチ言ってくる。
彼は猫を動物病院に連れていくが、獣医は手の施しようがなく、後は病院で処置をするという。
男性ががっかりしていると、先程の中年女性が現れ、猫の安否を尋ねてくる。
男性がここで看てくれると答えると、中年女性は喜びながら、その場を立ち去る。
それから、一週間後…」
「手鏡」「魔術の効力」「さがして」が良い出来だと思います。
あと、「猫ちゃん」は非常に不快な内容で、読んだら猫嫌いになる人が増えるのではないでしょうか?
こんなおばはん、本当にいそうで怖い…。
2025年9月22・24日 ページ作成・執筆