岡村えり子「歪んだ絆」(1993年11月9日第1刷発行)

・「歪んだ絆」(1992年「Sakura Mystery」Vol.16)
「田代牧子は裕樹という男児を持つシングルマザー。
 彼女の前夫は佐久間透という男で、二人は不幸な家庭環境から幸せな家庭を作るべく結婚する。
 しかし、夫の束縛は常軌を逸するようになり、牧子は裕樹を連れて家を出て、去年、家庭裁判所を通じて正式に離婚が成立する。
 彼女は河北建築設計事務所に勤め、所長にも優遇してもらうが、彼女を諦めきれない前夫の陰に常に怯えていた。
 ある晩の銭湯帰り、彼女はアパートの部屋の前に前夫がいるのに気づき、裕樹と共に事務所に身を寄せ、所長にことの経緯を話す。
 所長は仕事のし過ぎで妻に逃げられた過去があり、彼女に同情して、自分のアパートに身を隠すよう勧める。
 翌日、牧子と所長はアパートから必要な荷物を運び出すのだが…」

・「女ともだち」(1992年「Sakura Mystery」Vol.21)
「北見加奈の友達の新庄美那子は「欲しいと思ったらもう我慢できないの。どんなことをしても自分のものにしたいの」という性格で、人のものを盗んでも平気の平左で、何の罪悪感も感じず、平気で嘘をつく。
 小学校の頃から加奈は彼女とは腐れ縁で、高校で再会。
 美那子は修学旅行中の盗難がばれ、退学になり、これで縁が切れたと思ったが、六年後、彼女の職場にパートとして現れる。
 悪い予感通りに、会社で憧れていた田所を美那子に奪われ、加奈はショックで退職するが、一年後、彼女は田所を再会する。
 彼は美那子と結婚したが、二人の仲は冷え切っていた。
 加奈は彼と結ばれる希望を抱くのだが…」

・「熱帯雨林の客」(1990年「Sakura EX」Vol.3)
「純子は学生時代から付き合っていた小宮山喬と結婚し、新婚旅行でバリア島(正しくはバリ島だと思う)を訪れる。
 バリア島には純子の親友、奈津子が美大を卒業後、絵を描くために渡っていた。
 奈津子は小宮山喬と美大の同級生で、純子が美大の学園祭に行った際、喬と出会ったので、純子は奈津子を「縁結びの神」として非常に感謝していた。
 だが、五年ぶりの再会なのに、奈津子はどこかよそよそしい。
 それもそのはずで、喬と奈津子は過去に付き合っており、彼女は彼をまだあきらめきれていなかった。
 純子はそれに気が付かなかったが、旅行最後の日に奈津子の想いに気が付いてしまう。
 帰国後、純子は原因不明の高熱を出し…」

・「死は夜に囁く」(1990年「Sakura Mystery」Vol.5)
「早川理子(27歳)は雑誌社の記者。
 彼女は近所に住んでいた7歳年上の伏見紘の面影をいまだに抱いていたが、ひょんなことから彼と再会する。
 彼は銀座に事務所を構える敏腕弁護士で、魅力ある男性であったが、美しい妻がいた。
 理子は彼のことは忘れようと考えるが、数週間後、彼の妻が殺されたとニュースで報じられる。
 犯人も捕まるが、彼は三週間おきに三人の女性を扼殺した異常者であった。
 その裁判の過程で伏見紘の家庭の内情が暴露される。
 伏見紘の妻を殺したのは…?」

 「ミステリー・サスペンス」と「ホラー」は同じ「スリラー」として重なり合う部分は多いのですが、作品によってはこのサイトで紹介しづらいものが幾つもあります。
 この単行本もレディース・コミックですので、女性の繊細な心情に重点を置いており、怪奇色は薄めです。
 それでも紹介してみようと思ったのは、「女ともだち」を読んで、故・川島のりかず先生の異色作「首を切られたいじめっ子」を彷彿してしまったからなのです。(ただし、幾つかの部分が共通しているだけで、全体的に見ると、異なる話です。)
 岡本えり子先生が川島のりかず作品をまさか読んでいたとか…と妄想を逞しくしてしまいましたが、恐らくは単なる偶然の一致か、両作品の発想のもとになったものが一緒だったということではないでしょうか?
 それでも、どこか似た雰囲気を感じて、気になる作品です。(あくまで個人の感想です。)
 ちなみに、この単行本で最も怪奇色が強いのは「熱帯雨林の客」ですが、折角、バリ島が舞台なのに薄味です。
 もっと雰囲気を出してほしかったなあ…。

2026年3月16日 ページ作成・執筆

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