松林頂
「ゾンビバット@」(2018年9月20日初版第1刷発行)
「ゾンビバットA」(2019年2月20日初版第1刷発行)
「ゾンビバットB」(2019年11月20日初版第1刷発行)


単行本@(「COMICメテオ」2018年2〜7月掲載)
・「第1話 殴打日和」
 パンデミックから四か月。
 バリケードを築き、封鎖された町内で、ヒミコはひたすらバットでゾンビを殴り殺す。
 町内には自衛隊(?)の隊長と部下のオギの二人組がいるが、彼らとはほとんど関わらず、一匹狼を貫く。
 ある日、彼女は見知らぬ若い娘がゾンビに襲われているのを助ける。
 娘の名は立島ワンコで、ヒミコは「拠点」に来るよう誘うも、ワンコは拒否。
 ワンコは家に何かを隠しているようなのだが…。
・「第2話 真創開転」
 ヒミコは食料調達のため、隊長達とコンビニを訪れる。
 彼女は客のゾンビを受け持つが、母子のゾンビを見て、ある記憶が脳裏をよぎる。
 隊長が様子を見に行くと、ヒミコはゾンビを血祭りにあげていた。
 その後、ヒミコはワンコの家に行き…。
・「第3話 餌箱の中」
 家には、拘束されたワンコとその横に母親のゾンビ。
 ゾンビを匿ったことをなじるヒミコに対し、ワンコは見逃してくれるよう頼む。
 ワンコは、母は家族だから自分を襲わないと断言。
 それに対して、ヒミコが取った行動は…?
・「第4話 荒地信仰」
 バリケードが突破され、大量のゾンビがなだれ込んでくる。
 突発的な出来事に、オギはゾンビの行動が「生前の記憶」に基づくのでは?と推測する。
 その後、彼がヒミコの安否を確かめに行くと、彼女は大量のゾンビを倒して、満足感を味わっていた。
 彼は彼女に「生前の記憶」説を話し、ゾンビでもきっかけがあれば元に戻るかも…と想像を広げる。
 だが、ヒミコにとっては「今が守るべき現実」であった…。
・「第5話 春光咀嚼」
 ゾンビをバットで倒しながら、ヒミコは隊長のいる基地に向かう。
 そこで、二人は食事をすることとなる。
 彼女のこの世界が好きかどうか?、また、世界を元に戻したいか?という問いに、隊長は戸惑いながらも、自分なりの答えを言う。
 そして、自分達には「他の道」があったはずだと付け加えた時、玄関で何やら物音が…。
・「第6話 偶像崇拝」
 ワンコの家。
 首輪で壁につながれたワンコは、食べられないよう、また、母親を傷つけないようにするため、母親のゾンビと抱き合っていた。
 「希望は捨てたくない」と言うワンコにヒミコは銃を渡し、自由に使うよう言う。
 そして、、ワンコの母親の頭めがけて、バットを振りかぶるが…。
 銃声を聞いた隊長とオギがワンコの家に向かうと…。
・「報復と拝跪」(おまけ)

単行本A(「COMICメテオ」2018年9月、10月、12月/2019年1月、2月掲載)
・「第7話 真夏の死」
 切断されたヒミコの右手。
 それを見ながら、彼女は自分の子供時代を思い出す。
 父親が死んだ後、家庭は狂い、優しかった母親はすっかり変わってしまった。
 ヒミコはネグレクトされ、家庭に居場所はない。
 それでも、かつての母親の面影にすがり続ける。
 「まだ私を愛しているの?」
 その問いに答える前に、母親は…。
 そして、ヒミコはその母親を…。
・「第8話 瓦礫に花」
 隊長はヒミコに応急処置をする。
 ワンコは、母親を撃った隊長に銃を向けるが、ヒミコは自分を撃つよう言う。
 幸か不幸か、母親のゾンビはまだ息(?)があった。
 母親を抱くワンコにヒミコは「何故そんな物を守り続けられる」のか問いかける。
 ワンコがヒミコに放った言葉とは…。
・「第9話 さらば光」
 この悪意と混沌が秩序の世界。
 ワンコは自由に生き、この世界の全てを愛すと言う。
 ワンコの前で、ヒミコは彼女の前で急に笑い出す。
 ヒミコはワンコの「世界」を肯定し、それを貫くよう願う。
 その頃、銃声を聞きつけて、ワンコの家の前にゾンビが集まりつつあった…。
・「第10話 鬼待つ道」
 意識を失ったワンコはキャンプに運び込まれ、手当てを受ける。
 母親のゾンビも同じように治療を受けていた。
 ワンコが目覚めた後、隊長は「感染の治療法」について彼女に話す。
 もしかすると、母親を救うことができるかもしれない。
 きっかけはポケットラジオから流れてくる放送で、国連所属の研究者を名乗る人物が「感染の答えに辿り着いたかもしれない」と話していた。
 その人物は多石町の清水総合病院にいるらしく、彼らはそこに向かうことを決める…。
・「隊長とオギ」〜ある食事時の一コマ。

単行本B(「COMICメテオ」2019年3月、4月、7月/8月、10月、11月掲載)
・「第11話 銀雪遊戯」
 ワンコ、隊長、オギは、途中、ヤクザに絡まれたりしながらも、病院を目指す。
 ある朝、拷問されて惨殺された男の死体を発見する。
 それは、二人の女子高生、雪子(眼鏡/ナイフで武装)と銀子(日本刀で武装)の仕業であった…。
・「第12話 蠱毒の娘」
 隊長は雪子と銀子と戦うも、温和な性格が災いし、負傷。
 オギもまた左手の指を切断され、ワンコは二人に連れ去られる。
 ワンコが目を覚ますと、そこは学校の教室であった。
 そこで出会ったのは、雪子、銀子の他に、御山王子(みやま・きみこ)と硝子。
 彼女達はヒミコの友達かつ崇拝者であった。
 ヒミコはこの学校にいるらしいのだが…。
・「第13話 初恋心中」
 パンデミックが起きる前。英彩女子高等学校。
 御山王子は学園きっての秀才であった。
 彼女は周囲の期待にこたえ続けてきたが、胸に開いた暗い穴は満たされることはない。
 逃げ出したい一心で、彼女は屋上に向かう。
 屋上の金網の外側には女子生徒の姿があり、彼女はヒミコであった。
 ヒミコは王子を「鳥」と呼び、「私と一緒に飛んでみる?」と聞いてくる。
 「飛び方」を教えてと乞う王子にヒミコがかけた言葉とは…?
・「第14話 夢覚める」
 ワンコは王子によって教室に一体のゾンビと共に閉じ込められる。
 目・鼻・耳を潰されたゾンビはわずかな気配を頼りに餌を探す。
 ワンコが助かるには、ニッパーやメスで身体の部位を切断して、ゾンビに餌をやるしかない。
 一方、硝子は、王子のやり方に疑問を感じていた。
 彼女はワンコが治療法を探していることを知り、ある決断をする。
 また、その時、隊長がワンコを助けに学園にやって来る…。
・「第15話 光よあれ」
 ワンコは一人で清水総合病院へと着く。
 そこの地下二階で、葛木という名の科学者と出会う。
 彼は、今はゾンビ化している所長と共に「浄化ウイルス」を開発していた。
 これは世界を救うことができるのだが…。
 そして、「決断」はワンコに託される…。

 う〜ん、困りました…ファンの方には申し訳ないのですが、酷評せざるを得ません。
 雰囲気は嫌いではないのですが、空虚な内容を思わせぶりな会話で糊塗しているような印象を抱いてます。
 それでも、A巻までは悪くはないと思います。
 でも、B巻の「ヒミコを崇拝する女子高生軍団」の展開が絶望的にヒドい!!
 これがあまりに説明不足で、何回読んでも、よく理解できません。(硝子って一体どういうキャラなの?)
 それがために、ただでさえ把握しづらい内容をますます混乱させてしまいました。
 んで、混乱したまま、あっさりラストを迎え、読後感は「唖然」です…。
 とは言え、まあ、この手の白昼夢的な作品が好きな人もいることでしょう。
 ただ、個人的には、雪子と銀子がブチ殺されたのかどうか、明らかにされなかったことが不満でした。(あの二人、嫌いです。)

2022年10月28・29・31日/11月1日 ページ作成・執筆

その他の出版社・リストに戻る

メインページに戻る