北杜太郎「骸骨ばなし」(1962年12月25日発行/170円)
「影京介は、夜道、怪しい小男と出会う。
襲いかかってきた小男を撃退し、男が落とした包みを調べると、中には医者の道庵の首が入っていた。
翌日、京介は小男から手紙の手紙を受け取り、夜、待ち合わせ場所の材木置き場を訪れる。
京介は小男の罠を見抜き、小男を返り討ちにする。
小男は、今わの際に、金の仏像を懐から出し、甲武信岳(こぶしがだけ)の奥に住む、穴塚軍十郎に渡してくれるよう京介に頼む。
義理堅い京介は、小男の遺言通りにしようとして、甲武信岳の奥地に分け入る。
そこは木こりさえも訪れない秘境であり、天嶮をおかし、ようやく一軒家を見つける。
そこで、唖の男に案内され、地底深くに続く階段を降りたところに、穴塚軍十郎を頭とする、穴塚一族が控えていた。
彼らは二百年も前から、武田家の隠し財宝を守るために、近親婚を繰り返してきた一族であった。
軍十郎に金の仏像を返した京介は、軍十郎からことのいきさつを聞く。
半年前、医者の道庵と名張宗十郎は遭難したところを、穴塚一族に拉致される。
その頃、軍十郎の母親が危篤に陥り、道庵と宗十郎はいけにえにされそうになる。
道庵は自分が医者であることを説いて、軍十郎の母親の命を救うために全力を尽くす。
薬草が効き、母親は奇蹟的に回復、道庵と宗十郎は死を免れる。
しかし、道庵と宗十郎は、一族の守り神の金の仏像や財宝に目が眩み、軍十郎の母親を斬殺して、金の仏像を奪って遁走。
その復讐のために、軍十郎は道庵を襲わせたのであった。
軍十郎の説明に納得した京介は山を降りるが、相前後して、宗十郎の一味が財宝を奪うために、穴塚一族を皆殺しにしようとしていた…」
推測ですが、橋本将次先生の北杜太郎先生名義の作品としては、かなり初期の作品なのでありましょうか?
このあたり、資料がないので、さっぱりわかりません。
ちなみに、橋本将次先生のことについてもっと知りたい方は、「続・官能劇画大全2 橋本将次作品集 縄のカーニバル」(ソフトマジック/2001年4月25日初版発行)を読んでくださいませ。
ご本人と夫人を交えたインタビューまで載っていて、非常に参考になるのですが、紹介される貸本は、今となっては(六桁台の大枚をはたかないと)入手不可能なブツばかりでして、羨ましくて、羨ましくて、心が痛い…。
空っぽな魂を抱えて、死ぬまで(下手すると、死んでからも)色界を彷徨うであろう私に、悟りというものは訪れるのでありましょうか?
・備考
下部に少しだけ糸綴じあり。貸本に利用されたのかどうか謎。経年の痛みや汚れはありものの、半世紀前の物としては状態はまあまあよし。
2016年1月1日 ページ作成・執筆