坂上泰夫「墓場山奇談」(220円)

「飛騨山中。
 暗門滝の上流三里ほどにある荒れ屋敷。
 この屋敷に、裕四郎と勘十郎の二人の侍が、孫兵エの妻子を人質にして、待機していた。
 孫兵エは、千両箱を盗んだ疑いをかけらており、二人の侍は彼を上意討ちにすべく、ここまで追ってきたのであった。
 だが、小心者の孫兵エは、妻子を助けることもできず、野で首を吊る。
 これで役目も終わりかと思いきや、夜中、勘十郎が何者かに殺害される。
 孫兵エの妻は、孫兵エの幽霊が殺したと話す。
 裕四郎は、孫兵エは実はまだ生きており、次に狙うのは自分だと考え、庭で彼を待つ。
 すると、屋敷から悲鳴があがる。
 裕四郎が駆け付けると、壁に孫兵エの死体が槍で張りつけになっていた。
 壁はどんでん返しになっており、裕四郎は壁の向こう側に抜けると、そこは穴になっており、転落。
 彼が真っ暗闇の中で目を覚ますと、そこは、壁中、頭蓋骨が積み上げられた墓場であった。
 脱出を図ろうとするも、失敗した彼の前に、若い娘の幽霊が現れる。
 彼女は、高山五万石、金守長門守の娘、月姫であった。
 月姫は、一本の毒矢が彼女の命を奪ったことが、兄弟の家督争いに発展し、高山藩が滅亡する話をする。
 彼女は裕四郎に、毒矢を放った下手人に復讐することを求めるのだが…」

・備考
 ビニールカバー貼り付け。水濡れによる歪みやシミあり。前後の見返しのノド、紙テープで補強。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2019年11月28日 ページ作成・執筆

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