北杜太郎「人だま系図」(1963年11月16日発行/190円)

「織部幻三郎は、無頼漢達から襲われた際に、ある浪人に助けられる。
幻三郎は、父親の仇討ちのために伊予から江戸に出てきた身であった。
自分の身の上を幻三郎が浪人に語ると、浪人はその仇を知っていると言う。
仇を谷中の蓮台寺におびき出してもいいが、それも銭次第。
幻三郎は、病に臥せっている兄と妹のもとに戻り、虎の子の十両を手に蓮台寺へ向かう。
しかし、その浪人が仇の桶川十兵エであった。
不意打ちされ、最期まですがりつくものの、幻三郎は惨殺されてしまう。
幻三郎の金を奪った桶川十兵エは、悠々自適な生活を送るが、幻三郎の怨霊がしつこくつきまとう。
それが原因で、近頃流行りの辻斬りと間違われる破目となる。
与力や同心達に追われ、桶川十兵エが逃げ込んだ長屋には、幻三郎の兄と妹が住む部屋であった…」
タイトルがワケわかりませんが、ストーリーとは全く関係がありません。
一応、「人だま」は最後の方にちょろっと出てきますが、「系図」は影も形もありません。
ストーリーは、仇に返り討ちにされた怨霊が仇を破滅に追い込むもので、よくある話であります。
とは言え、怨霊ができることは「幻覚」を見せることだけでして、そうこうしている間に、仇の十兵エに幻三郎の兄も妹も殺されてしまってます。
怨霊と言っても、実力行使ができないのであれば、「幻覚」だと割り切って、図太くしていたら、大丈夫ということなんですかね。
・備考
ビニールカバー貼り付け、それによる本体の歪み。糸綴じあり。前後の遊び紙に貸本店のスタンプあり。読み癖あり。pp111・112、下部に大きな欠損あり。裏表紙に折れあとあり。
平成27年12月9日 ページ作成・執筆