司孝平「怪談黒田騒動」(130円)



「少壮剣士の滝村慎吾は兄、弥源太を捜して筑前を訪れる。
 兄は四年前、重大な幕府の使命を帯びて福岡に向かい、以来、消息を絶っていた。
 ある夜、慎吾が野宿をしていると、異様な気配を感じる。
 近くには人骨の散乱する刑場跡があり、火の玉と共に若い女性の幽霊が現れ、「福岡城は呪われた城」云々と告げ、姿を消す。
 慎吾は福岡城に向かうが、途中、背振山の古寺の外で中の会話を盗み聞きしている男を目にする。
 この寺には福岡城城主、黒田甲斐守にだまし討ちにされた岐井谷一門の生き残り(岐井谷友房の弟の法印和尚、友房の娘の久姫)が隠れ住んでいた。
 慎吾は男を問い詰めるも、相手に手傷を負わされ、寺で看病を受ける。
 そこへ盗み聞きをしていた男が現れるが、彼は慎吾の兄にそっくりであった。
 しかし、男はそれを否定し、相良佐平次と名乗る。
 佐平次がこの寺に戻ってきたのは、黒田甲斐守の追手が法印と久姫に迫っていることを教えるためで、二人は急いで寺を出る。
 慎吾は佐平次や法印たちと別れ、単身、福岡城へと向かう。
 そこで法印と久姫が捕まったことを聞き、慎吾は久姫を連れて逃げようとするが、銃で撃たれてしまう。
 久姫は再度捕まり、法印は凄惨な拷問を受けて死亡。
 一方、慎吾は黒田家家老の栗原大膳に匿われていた。
 彼は慎吾の父親に何か心当たりがあるようなのだが…。
 黒田家を巡る様々な陰謀が絡み合い、やがて慎吾は意外な事実を知ることとなる…」

 「三大お家騒動」の一つ、「黒田騒動」から題材を取った作品です。
 と言っても、かなりアレンジされており、栗山大膳は黒田氏を救う役回りで、史実とは全く異なるようです。
 「黒田騒動」は歌舞伎、森鴎外の小説、映画等で扱われているので、司孝平先生はそのどれかから影響を受けたのではないでしょうか?
 ちなみに、「怪談」と銘打っているだけあって、一応、幽霊は出来てきますが、さほど活躍(?)はしません。
 それよりは、黒田氏のお取り潰しを企む家老の倉橋重太夫とそれを阻止しようとする城代家老の栗原大膳の戦いがメインです。
 幽霊の存在感が薄いのは残念だけど、歴史ものとしてはなかなか面白いと思います。

・備考
 カバー欠。糸綴じあり。前後の遊び紙、欠損。読み癖がひどく、汚れ・切れ・裂け、多数。最終ページに貸出票の貼り付け。

2026年2月4日 ページ作成・執筆

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