北杜太郎「怪奇往来」(1963年5月24日発行/170円)
「美濃の国。郡上八幡(こおりかみはちまん)の城下。
ある夜、若月勝馬は庭の祠に祀ってあった孤身が三体、炎とともに空へ消え去る様を目撃する。
うち二匹は祠に戻り、もとの孤身に返ったが、父狐の一体は行方不明のまま。
翌日、父親の菩提寺の和尚のもとへ勝馬は昨夜の件を相談しに行くが、寺でも異変が起こっていた。
勝馬の父親の墓が崩され、その中に死体の首に食らいついている狐の姿があった。
狐は旋風を巻き起こすと、死体と共に姿を消してしまう。
訝る勝馬に和尚は、勝馬の屋敷の庭に祀られている狐塚の由来について語るのであった。
勝馬の父、半九郎が若かりし頃、江戸の師匠のもとで免許皆伝を得て、故郷に帰る途中でのこと。
日暮れに、半九郎は風魔山の麓へさしかかるが、その山には殺生仙人というものが住み着き、山に入る者をことごとく殺していた。
村人が止めるのを聞かずに、半九郎は山に登ると、生首からある廃寺に案内される。
半九郎はそこで殺生仙人の正体を見抜き、これを斬る。
殺生仙人はその場から逃げ出すが、この正体は雄の大狐であった。
この狐の妻の狐と娘の狐は、復讐のために、半九郎の後を追うのだが…」
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。小口研磨により一回りサイズ小さし。読み癖あり。コマにかかる切れ多し。pp33・34、下部に折れあとあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
平成27年12月13日 ページ作成・執筆