坂上泰夫「黒髪灯篭」(1964年1月4日発行/190円)
「片岡多十郎の妻、お美津は、夫の留守に急遽、城に呼び出される。
その用件とは、殿様がお美津を御所望とのこと。
女の操は女の命とお美津は自害しようとするが、家老とその取り巻き二人に、髪を剃り落とすよう勧められる。
尼であれば、殿も手を出さないだろうと、お美津は髪を剃る。
しかし、それは家老達の企みだった。
結局、操を破られたお美津は、家に送り届けられた直後に舌を噛んで自害。
真相を確かめようと、城に向かおうとした多十郎も斬殺されてしまう。
そして…」
・「第一話 呪いの穴」
「毎夜、髪がみんな抜け落ちるという悪夢に悩まされるお品。
遂には床に伏せるようになったお品は、彼女の恋人、新三郎に自分が呪われているのではないかと話す。
そして、お品を呪っているのは、新三郎の許婚であるお兼であると。
新三郎は寺の住職に相談すると、住職に明日の夜に寺の裏に来るよう言われる。
言葉に従い、寺の裏に行き、待っていると、白装束の女が現れる…」
・「第二話 返り討ちの女」
「水木桂四郎は、酒の席で恥をかかせてしまった侍に、勝負を挑まれる。
ひたすら許しを請うが、切りかかってきた侍を逆に斬殺。
仇討ちを恐れ、妻のお秋と逃亡、江戸に向かう。
追っ手の影に怯える桂四郎の前に、遂に侍の弟が現れる。
妻も放って、逃げようとする桂四郎に、浪人が助太刀を申し出る。
その場は何とか収まって、勝負は後日ということになるが、桂四郎はその時が怖くて仕方がない。
そんな桂四郎に、浪人は追っ手を殺してしまってはどうかと提案する。
その代わりの代償として、浪人が望んだものは、桂四郎の妻、お秋であった…」
・「第三話 黒髪殺し」
「身体が弱く、心も捻くれた兄に、あらぬ謀反の疑いをかけられた弟の上総介(かずさのすけ)。
自身の館で討手と一戦交えるつもりの上総介は、妻の千鶴を逃がす。
男の入られぬ縁切り寺ならば安全とそこへ向かうが、そこには討手が待ち構えていた…」
「黒髪」にまつわる因縁譚なのでありますが、話が非常にわかりにくいです。
坂上泰夫先生の貸本マンガに共通して言えることだと思うのですが、キャラクターが皆、同じ顔なので、区別がつかないのであります。
(でも、それは言ったら、横山光輝先生のマンガも皆、似たような面していたような気が…)
加えて、説明不足なところがありますので、一読しただけでは、はっきり内容がわからないと思います。
しかし、恐らく、原作となるものがあるのでしょう、内容自体はしっかりしております。
第二話の「返り討ちの女」は、見方によっては、ブラック・ユーモアの冴える一品であります。
ただ、残念なのは、ラストがいまいちワケがわからないことですかね。
・備考
ビニールカバー貼り付け。背表紙色褪せ。糸綴じあり。見開きに補修あり。
平成27年8月17日 ページ作成・執筆