川本修一「狐情ばなし」(1962年6月15日発行/170円)

「江戸時代のある地方。
銀之助と新次郎の兄弟はタロウとジロウという名の二匹の狐を非常に可愛がっていた。
ある日、銀之助は、悪代官である鬼塚典膳の息子、十助により捕らえられ、嬲り殺しにされる。
理由は、十助が、銀之助の飼っている狐、タロウを試し切りにしようとするのを断ったからであった。
その夜、銀之助の霊が新次郎と母親の枕元に立ち、事情を話し、仇を取るよう乞う。
兄の葬式を済ました後、新次郎は寺の和尚から父親の死の真相を知らされる。
新次郎の父、左近は、典膳の悪政をお上に訴えようとして、四年前に謀殺されていたのであった。
復讐の念に燃える新次郎の前に、ある夜、若い侍が現れ、「きつねの森」へと案内する。
ジロウから話を聞いた、きつねの精は、その森で、新次郎が、狐を相手に剣術と妖術を学ぶよう取り計らう。
一月後、修行を終えた新次郎は、ジロウ狐と共に兄と父親の仇討ちを果たそうとする…」
表紙はカッコいいのですが、中身はポンチ絵ちっくで、ひっくり返ります。(太平洋文庫の大半の漫画がこんな感じですが…。)
でも、ストーリーは時代劇では定番の仇討ちものですので、それなりに読ませます。
仇討ちに狐を取り入れているのがミソですが、「猫屋敷」のような描写(祖母が動物のように振る舞い始めるが、実はすでに殺されており、入れ替わっていた)もあったりします。
そして、ラストは、悪人が、幽霊の幻影を苦しめられながら破滅…というベタなものです。
・備考
カバー貼り付け。カバー表紙、痛み。読み癖あり。後ろの袖に鉛筆での書き込みあり。
2018年4月17日 ページ作成・執筆