北杜太郎「腐臭の侍」(1964年2月15日発行/200円)
「金沢の城下町。
諸木織之進のもとに届けられた、匿名の荷物。
その中に入っていた印籠には、毒蛇が仕込まれていた。
織之進の息子、新一郎が噛まれた腕をいち早く切断したため、織之進は一命を取り留めたものの、重体となる。
印籠の中には「修林寺にて待つ」とだけ書かれた手紙があった。
手がかりを求め、早速新一郎は、町はずれの荒寺の修林寺に出向く。
そこに住む僧侶はあっさり自分の犯行を認めるが、別に恨みがあったわけではなかった。
僧侶は夜ごと、諸木織之進を殺すように迫る、死霊の声に苦しめられてきたと話す。
その声に従い、毒蛇を仕込んだ印籠を織之進のもとに送り、失敗した場合は相手を寺に呼び出して、殺そうとしていたのであった。
が、僧侶は返り討ちにされ、新一郎は寺から去ろうとする。
その時、新一郎の耳にも死霊の声が聞こえるようになる。
巨大な手があちこちから新一郎に掴みかかろうとし、新一郎は刀を振り回して応戦する。
浮かび上がった怪しい人影を新一郎が斬りつけると、そこは壁で、崩れた壁の中から青年の古びた死体が出てくる。
その死体は起き上がり、新一郎は妖怪の仕業と寺から逃げ出し、屋敷に戻る。
ところが、新一郎の部屋には、寺の壁に塗りこめられていた青年の亡霊が新一郎を待っていた。
九之助と名乗る亡霊は新一郎に、彼の父親の織之進とその友人の柴木の悪事について語る。
そして、二人にはめられて、殺された九之助は二人に復讐すべく戻ってきたのであった…」
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。小口を緑色に着色、その緑色がビニールカバーにかかっているらしい。上の小口に数字のスタンプあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
平成27年12月15日 ページ作成・執筆