北杜太郎「卆塔婆岳伝奇」(1964年5月27日発行/200円)



「仇討ちの助太刀のために江戸に向かう、越後高田の柴田織之進。
 誤解から追剥の汚名を着せられ、遂には、関所破りとして、追われる身となる。
 山中に逃げ込み、どうにか追手をまき、日が暮れてからは、運よく山寺を見つける。
 その荒れ果てた山寺には、病に臥せる住職と、世話役の若い娘、お甲が住んでいた。
 織之進は一晩泊めてもらうが、どうも様子がおかしい。
 庭にある井戸には、蓋の上に石を山と積んでおり、井戸の中に何かを閉じ込めているようだった。
 夜更け、織之進の枕元に、白装束の女性が現れ、井戸の蓋に積まれている石をのけてくれるよう頼み込む。
 織之進は言われた通りにするが、井戸の中には、卆塔婆岳の妖木の変化である魔女が封印されていたのだった。
 解放された魔女は住職の喉笛を喰いちぎって殺害。
 うろたえる織之進にお甲は復讐を誓い、「蛇の化身」であることを明らかにすると、姿を消す。
 織之進は寺を後にするが、今度は山賊の一味に命を狙われる。
 しびれ薬の奸計は見破ったものの、斬り合いの最中、目潰しを喰らい、山賊達に追い詰められそうになる。
 その急場を救ったのが、卆塔婆岳の魔女であった。
 魔女の手引きもあり、織之進はどうにか江戸に辿り着くが…」

 いろいろな要素がゴチャゴチャ詰め込まれ、まとまりに欠く作品です。
 だからと言って、つまらないというワケでなく、妙な出来事が次々に降りかかってくる不条理さが、分裂的と言えば分裂的と言えるかも…。(デタラメとも言います)
 まあ、こういうノリが好きな人もいるんじゃないでしょうか?
 ちなみに、蛇の化身が娘に憑りつくシーンが妙にエロチックでしたので、上右側に画像を載せておきました。
 蛇が襟元から入り、胸元から出たら、憑依完了なのであります。そういうものだったとは初めて知りました。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。後は大きく目立った欠点はなし。

2016年1月1日 ページ作成・執筆

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