坂上泰夫「夢枕の女」(1963年9月23日発行/190円)
「明暦年間。江戸。
貧乏旗本の次男坊、春日新三郎は小普請組の大野木甚左エ門の娘、佐登と恋仲であった。
ある夜、二人が町中を散策していると、助けを求める声が聞こえる。
見ると、若年寄の堀田備中守が赤ん坊を背負った男に追われていた。
新三郎は堀田備中を逃がして男を斬り、赤ん坊を佐登に預ける。
翌日、新三郎は堀田備中守の屋敷に呼ばれ、宮津藩に隠密として行くよう指示される。
帰り道、大野木家に向かうも、佐登も赤ん坊も姿はなく、二人の行方を決して教えてはくれない。
新三郎は宮津藩に行くべきかどうか悩むが、伊賀の忍者に見張られており、任務が終わるまで江戸に帰れない。
その夜、彼は宿屋に頼み込んで、ひどく汚れた部屋に泊まる。
この部屋は五年前に女が首を吊り、幽霊が出るという噂があった。
夜更け、現れた女幽霊を新三郎は斬るが、これは本物の人間で、ある泥棒夫婦が噂に乗じて客を脅していたのであった。
新三郎と泥棒男は女の死体を担いで、宿を出て、墓地に女の死体を埋める。
すると、赤ん坊の泣き声が聞こえ、彼が切った侍と見知らぬ女、そして、あの赤ん坊の幽霊が彼の目の前に現れる。
その後、宮津藩に入った新三郎は複数の刺客に闇討ちにあう。
彼を救ったのは大奥のお庭番、伊賀組の多門孫四郎であった。
生死の境目にいる彼は賽の河原で佐登と出会う。
彼岸からは赤ん坊の泣き声が聞こえ、侍と女、赤ん坊が彼を向こう岸に渡るように誘う。
だが、佐登は新三郎を引き留め、彼は此岸に残ることを決める。
目覚めた彼は多門孫四郎から意外な事実を知らされる。
それは大奥での陰謀にまつわるものであった…」
基本は次期将軍にまつわる陰謀譚です。
それに幽霊や生霊をちょっぴりまぶし、ラストは突然に「振袖火事」が出てきます。
原作はあると思うのですが、私は時代小説の知識が皆無に近く、わかりません。
・備考
ビニールカバー貼り付け。カバー痛みあり。糸綴じあり。上部に水濡れの痕あり、また、湿気によるらしき本体の歪みあり。
2024年5月10日 ページ作成・執筆