司孝平「妖蛇三万石」(130円/発行年月日不明)



「美濃(岐阜県)の犬山三万石。
 犬山城には徳川宗長とその娘、葵姫が住んでいた。
 宗長は本来、尾張五十五万石を継ぐはずであったが、兄の秀長にはめられ、狂人として犬山へと追いやられる。
 彼は兄の秀長を憎んでも憎みきれなかったが、さりとて、狂人扱いされているため、どうすることもできなかった。
 これに目をつけたのが犬山城の家老、河村玄蕃と名古屋城の家老、江口主水。
 二人は宗長と秀長を始末した後、二人の弟である義親をでっちあげ、尾張家を支配しようと企んでいた。
 宗長の忠実な家来、生田源八郎はこの陰謀を阻止しようとするものの、宗長は自刃に追い込まれ、仇の河村玄蕃を斬ろうとしたところを討ち取られる。
 また、宗長の娘、葵姫はペットの蛇に自分を噛ませて自殺。
 生田源八郎の息子、兵馬も父親の仇を討とうとするも、罠にかかり捕らわれる。
 そうして、犬山城は河村玄蕃のもととなるが、彼の前に葵姫の亡霊が現れる。
 亡霊に悩まされながらも、玄蕃は江口主水から徳川義親(秀長・宗長の父親)のお墨付を盗みだし、尾張家乗っ取りの企みを進める。
 そんな彼の前に、妙鬼斉と名乗る妖術使いが現れ…」

 なかなか面白いです。
 ストーリーはこの時期の太平洋文庫でおなじみの「お家騒動」なのですが、「蛇めずる姫君」の葵姫の怨霊描写が大々的にフィーチャーされ、これが実に素晴らしい。
 この葵姫、普段から錦蛇のような太さの蛇を首に巻いているというエキセントリックな姫様で、復讐も当然、蛇尽くし。
 しかも、ラストには大蛇と幻術使いのバトルまであり、作者のサービス精神には感嘆せざるを得ません。
 太平洋文庫は表紙は迫力あるけど、中身はしょぼしょぼ…というパターンが非常に多いのですが、この作品は表紙負けしておらず、良作だと思います。

・備考
 カバーに痛みやヨレ、多し。本体、割れまくり。所々、剥げあり。奥付、剥がしあり。

2026年5月1日 ページ作成・執筆

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