坂上泰夫「妖怪面」(200円/1964年2月11日発行)



「松平大介は赤岡一万一千一百石の次男。(注1)
 彼は町民に交じって暮らし、酒好きの暴れ者と噂されていた。
 そんな彼にある日、縁談が持ち込まれる。
 相手は石見五万六千石の姫君、鶴姫で、千年もの歴史を持つ家柄であった。
 翌日、早速出発するも、子分に持ち金を全て渡したため、途中で金が尽き、野宿しようとする。
 その時、飯びつを盗んだ女が男たちに袋叩きにされるのを目にして、彼女を助ける。
 女は石見城の指南役、深谷主馬の妻であった。
 深谷主馬は主命で奥御殿の女中を三人、斬るが、その後、命を狙われ、妻と共に逃亡しようとしたところを暗殺される。
 松平大介は奥御殿に関する陰謀を感じ、バカ婿のふりをして石見城へとやって来る。
 婚礼の後、重病だった鶴姫の父が亡くなる。
 その顔は蝋人形のようにきれいで、松平大介は不審に思う。
 更に、その夜、夫婦の寝室を鶴姫とよく似た女性が覗き見し、彼は追うも、逃げられる。
 翌日、彼が場内を見回ると、奥御殿に「開かずの間」というものがあった。
 ここは城ができて以来、ずっと開けられたことがないという話だが、明らかに使用された形跡がある。
 不審な女が抜け道として使うのはここしかない。
 夜、彼は手がかりを求めて、菩提寺の大仙寺にある城主の石室墓に忍び込む。
 ここには代々の城主の棺が納められており、彼は鶴姫の父の死体を確認しようとするのだが…。
 石見城に渦巻く陰謀の正体とは…?」

 タイトル画像で想像がつく通り、「顔の皮膚が崩れる業病」が出てきます。
 ただし、「顔のない眼」のような展開を見せず、基本的には御家騒動がベースにあるので、思ったよりは怪奇色はありません。
 それでも、幾つか印象的なショッキング・シーンもあり、ストーリーもまあまあ面白いので、坂上泰夫作品の中では良作の部類に入るように思います。

・注1
 ネットで調べたところ、一万石の大名は大名の中でも最底辺だったそ〜な。

・備考
 ビニールカバー貼り付けあり。糸綴じあり。前後の見返しのノドに紙テープで補強。前の遊び紙、下部に欠損あり。読み癖ひどし。後の遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2026年6月19日 ページ作成・執筆

太平洋文庫・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る