北杜太郎「妖雲鉢形城」(1964年5月1日発行/200円)



「戦国時代。秩父(埼玉県の西部)の鉢形城。
 鉢形城主、北条氏邦は大病にかかった際、両神山神権社から来た叔母、お妖の祈祷により命をとりとめる。
 以来、氏邦はお妖の言いなりとなり、遂には、神権社の七匹の犬を神犬とし、他の犬を領内より追放する。
 更には、神犬に危害を働いた者は、理由の如何を問わず、石子詰(いしこづめ)にするという法度を作る。
 その為、人々は神犬に手が出せず、神犬に乱暴を働き、石子詰にされた領民は十数人に達する。
 ある時、領民の憤懣を代弁するかのように、「武甲太郎」と名乗る武士がどこからか現れ、神犬を次々と斬殺しては、その首をさらしものにする。
 お妖は役人に命じて、武甲太郎を追わせるが、相手は神出鬼没かつ剣の達人で、毎度逃げられてしまう。
 そこで、お妖は、恐山より弟子のお竜を呼び寄せ、武甲太郎と対決させるのだが…。
 武甲太郎の正体とは…?」

 北杜太郎(aka 橋本将次)先生の好きな「石子詰」をフィーチャーした作品です。
 ただし、ストーリーは専ら「悪法に対する、たった一人のレジスタンス」で、残酷描写等、大したことないです。また、話もご都合主義で薄味です。
 それよりも、北条氏邦や鉢形城といった、歴史上実在する人物や城が出てくるのが新鮮でした。
 私は日本史の知識が乏しいので、詳しいことはわかりませんが、本当にこういう史実があるのでしょうか?(絶対、フィクションだとは思うけど…。)

・備考
 ビニールカバー貼り付けあり。糸綴じあり。袖を留めているセロテープが跡になっている。本文、多々、貸本店のスタンプ押印。所々、シミ、汚れ、裂けあり。

2019年1月8日 ページ作成・執筆

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