古賀新一「黒髪の呪い」(1987年7月13日初版発行)



 収録作品

・「黒髪の呪い」(ファニー/1968年発行)
「バレエ団のスターの花園美佐は見通しの悪い山道で人身事故を起こす。
 女性をはね、車は崖下に転落、炎上するが、美佐はかすり傷一つせずに済む。
 しかし、轢かれた女性は死亡、その女性は片足が義足であった。
 美佐は近くの旅館に事故を知らせるが、そういう事故はなかったと旅館の主人は話す。
 更に不可解なことに、美佐の車の残骸も消えていた。
 わけがわからないまま、美佐は帰宅するが、急に歩けなくなる。
 その夜、美佐の前に、片足の幽霊が現れる…」
 片足だけ立っている描写がなかなか不気味です。
 「ペーパーハウス 霊少女」(タイトルうろ覚え)という映画をちょっぴり思い出しました。
 古賀新一「わたしの葬式」(ひばり書房黒枠)からの再録です。

・「狼少女マリ」(マーガレット/1966年発行)
「利奈とマリはこの世でたった二人きりの姉妹。
 マリは赤ん坊の頃、野良犬に噛まれ、手足の不自由な身体であった。
 利奈はできる限り、マリの世話をするが、マリはひがみっぽく、陰気で、正常人のマリに敵意を抱いていた。
 マリはテレビで観た狼少女に感化され、利奈を狼の真似をして脅す。
 我慢の限界に達した利奈はマリを犬の首輪でつなぐのだが…」
 身障者を扱ったマンガです。
 深読みできるような、できないような、幻想的なところが、古賀新一先生らしいです。
 古賀新一「呪われたふたつ顔」(ひばり書房黒枠)からの再録です。

・「わたしの葬式」(原作者の記銘なし)(少女フレンド/1967年発行)
「私立和泉学園に転校してきた伊藤初美。
 黒衣に身を包んだ彼女はある決意を秘めていた。
 それは、恋人の吉本武彦の視力を奪った真犯人を探し、同じ目に合わせるということ。
 一月前、修学旅行中の生徒が乗ったバスから投げ捨てられたウィスキー瓶が武彦の顔を直撃して、視力を失うという事故があった。
 初美はそのバスに乗っていた番長グループに近づく。
 番長グループの主だった連中は四人、番長の矢野、林、石川、大木。
 委員長の沢田の心配をよそに、初美は恐るべき執念で彼らを一人一人問い詰めていく…」
 「少女フレンド」に連載されたものらしいです。
 古賀新一先生の描く「陰のある美少女」って素晴らしい!! クールなようでいて、内に秘めた熱情は臨界点寸前…目力がハンパないです。
 古賀新一「わたしの葬式」(ひばり書房黒枠)からの再録です。

・「血、血がほしい!」(マーガレット/1966年発行)
「自然豊かな郊外の屋敷。
 そこに、肺病を患う英子と、孤児院からもらわれた由紀が、優しい両親と共に暮らしていた。
 ある日、英子と由紀が野原で散歩していると、由紀が蛇に噛まれてしまう。
 とっさに英子が傷口に吸い付いて、毒を吐き出すが、その時に、英子は由紀の血を飲んでしまう。
 その日以来、英子はめきめきと丈夫になり、反対に、由紀は衰弱していく。
 実は、英子はこっそり由紀の傷口から血を飲んでいたのだった。
 由紀は家から出る決心をするのだが…」
 タイトルからわかるように、「吸血鬼」ものです。
 血に飢え、就寝中に歯ぎしりの音を立てる少女の描写は、唯一無二なのではないでしょうか?(なにもあれだけ歯を剥き出しにしなくても…。)
 あと、マンガとは全然関係がないのですが、個人的な思い出話を一つ。
 二十年ぐらい前に大阪に住んでいた時のこと、深夜に放送していた「シーバース 人喰い生物の島」(1975年)をビデオに録画しました。
 デビッド・クローネンバーグの劇場映画のデビュー作として名高い、カルト映画であります。個人的には、クローネンバーグの映画で一番好きです。
(とてもテレビで放送できるような内容ではないのですが、まだまだ当時はおおらかだったのでありましょうか。)
 ともあれ、観てみたら、マジ凄い内容で圧倒されたものです。
 ラスト、主人公が脱出を試みるものの、高台の向こうからシーバースに寄生された人々の群れが「血が欲しい〜」「血が欲しい〜」と呻きながら、ぞろぞろ歩いてくるシーンが印象的でありました。
 んで、後年、DVDを購入して、観返してみたらですね、このシーン、「血が欲しい〜」なんて一言も言ってませんでした。無言で歩いて来ているのであります。
 どうも吹き替えをした時に、オリジナルには存在しない「血が欲しい〜」というセリフを勝手に加えた模様。
 でも、オリジナル版よりも、私にとっては、この吹き替え版こそ、私にとっての「シーバース」なのであります!!
 もし、ブルー・レイ等で豪華版が出るのなら、是非とも日本語吹き替え版を収録してくださいますよう、お願いいたします。
 プールのシーンでの「やめろ、フォーサイス!! うわ〜」…もう一度、聞きたいなあ〜。

 1960年代後半の作品を寄せ集めた単行本です。
 この本の売りはヒバリ・ヒット・コミックスには収録されなかった「わたしの葬式」と「狼少女マリ」が読めることです。
 ひばり書房黒枠の単行本は軒並み高価ですので、読んでみたい方はこちらをどうぞ。

2016年5月3・4日 ページ作成・執筆

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