日野日出志「妖女ダーラ」
(1987年8月12日初版発行/カバー表紙・上画像)
(1988年8月16日2刷発行/カバー表紙・下画像)



 収録作品
・「妖女ダーラ 第一話」(1986年「ホラーハウス」12月号)
「妖女ダーラ。
 彼女は、一見したところ、長髪の、コート姿の美人にしか見えない。
 しかし、髪で隠された左の顔を見たが最後、人は恐ろしい地獄に踏み出すこととなる。
 今回、彼女の顔を見てしまったのは、吉田つとむという少年。
 彼は鳩を飼っていたが、何かの動物に皆殺しにされてしまう。
 この辺りをうろついている猫の仕業と決めつけ、彼は猫を空き地に生き埋めにする。
 だが、犯人は猫ではなく、黒犬らしいことが後になってわかり、罪悪感を覚える。
 彼が猫を埋めたところに花をそなえようとするが、穴から猫の死体が消えていた。
 以来、彼の前に、殺された猫の化け物が度々現れ、復讐しようとする…」

・「妖女ダーラ 第二話」(1987年「ホラーハウス」1月号)
「妖女ダーラ。
 彼女は、一見したところ、長髪の、コート姿の美人にしか見えない。
 しかし、髪で隠された左の顔を見たが最後、人は恐ろしい地獄に踏み出すこととなる。
 今回、彼女の顔を見てしまったのは、マキという女子高生。
 彼女は、親友のサチが屋上から突き落とされる場面に遭遇する。
 サチを殺したのは、世にも醜い女子生徒であった。
 マキは身の危険を感じ、その女子生徒のことは秘密にする。
 彼女はマキの身辺に出没するが、その正体は全くわからない。
 耐え切れず、マキはダーラにサチを殺した犯人を教えるよう頼むのだが…」

・「妖女ダーラ 第三話」(1987年「ホラーハウス」2月号)
「妖女ダーラ。
 彼女は、一見したところ、長髪の、コート姿の美人にしか見えない。
 しかし、髪で隠された左の顔を見たが最後、人は恐ろしい地獄に踏み出すこととなる。
 今回、彼女の顔を見てしまったのは、デザイナーの卵の娘。
 彼女がダーラと出会ったのは、最終電車の中であった。
 酒に酔っていた彼女はダーラに自殺をするつもりだと話す。
 彼女は、何年も才能の芽が出ず、彼氏にはふられ、人生に絶望していた。
 彼女が電車を降りようとすると、電車は駅を素通りしてしまう。
 更に、今までいた乗客がかき消すようにいなくなっていた。
 ようやく電車は停車し、多数の乗客が乗り込んでくるが、彼らは…」

・「血ぬられた小包」(1987年「ホラーハウス」4月号)
「新海ゆきのもとに届いた、差出人不明の小包。
 その中には、人の左手小指が入っていた。
 母親も同じ部分を欠損していたが、家族は小指をおもちゃと言って、いたずら扱いする。
 翌日、またもや届いた小包の中には、人の左耳。
 更に、帰宅した父親は、左耳の部分にガーゼを当てていたが、できものができたと説明する。
 その翌日、眼球の入った小包が届く。
 そして、妹は左の目に眼帯を当てていた。
 小包の目的とは…?」

・「首」(1987年「ホラーハウス」6月号)
「金子サチ子は、美術の時間、粘土の頭像がどうしても、藤田まゆみの顔になる。
 藤田まゆみは、サチ子の親友で、行方不明になっていた。
 頭像を作り直し、モデル通りにするが、翌日、美術室に入った時、像は藤田まゆみの顔に変わっていた。
 像は苦悶の表情を浮かべ、サチ子と美術教師に向かって話し始める…」

・「Oh!ナイスバーディ」(1981年「スポコミ」6月号)
「ある蒸し暑い日、田島は、A氏の立ち合いのもと、K氏と賭けゴルフをやっていた。
 賭け金は一万円であったが、K氏・A氏・キャディーにはめられ、賭け金を一千万円に書き換える。
 詐欺にあったことを知り、田島は何とかして勝負に勝とうと奮闘するが…」

・「肉の怪物」(1986年「特集漫画トピックス」12月号)
「女房に逃げられて一か月。
 男はすっかり自堕落になり、部屋はぐちゃぐちゃ、冷蔵庫で肉が腐る始末。
 その肉をゴミ箱に捨てると、突如、肉が襲いかかってくる。
 包丁で応戦して、めった刺しにした上に、ガスコンロで燃やすのだが、次から次へと腐肉が現れ…」

 個人的なお気に入りは、奇妙な味の「血塗られた小包」。
 不安をそそるラストが絶品だと私は考えております。
 「Oh!ナイスバーディ」は、日野日出志先生には珍しいゴルフ漫画です。
 結末に賛否が分かれると思いますが、私はイマイチに感じました。後味悪すぎです。

2019年6月27日 ページ作成・執筆

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