三田京子「恐れ島の美女」(220円)



「松宮島(しょうぐうじま)には、寺があり、連生尼(れんしょうに)という初老の尼が住んでいた。
 付近に灯台はなく、船舶の航行の安全のため、尼は寺の鐘を鳴らすことになっていた。
 だが、あるシケの夜、何故か鐘が鳴らされなかったため、多数の漁民が犠牲となる。
 仕返しのため、連生尼が航行の手段を持たないことを知りつつ、ある村人がわざと彼女の前で食料を廃棄。
 数日後、また鐘が鳴らなかったために、大勢の人が命を失う。
 怒り心頭の村人達は寺を破壊し、鐘を海に沈め、島に一人取り残された連生尼は程なくして島から姿を消す。
 だが、以来、松宮島の周辺では異変が起こるようになる。
 海に沈めたはずの鐘の音が鳴ると、穏やかだった海は急に荒れ、船はことごとく波に呑まれてしまうのであった。
 さて、見目麗しい青年、秀一は、松宮島の怪に関心を抱く。
 謎を解き明かすため、秀一は、彼にぞっこんの女子高生・トリオ(右側の画像を参照のこと)と共に小舟で島へ渡る。
 島に上陸した彼らは、破壊されたはずの寺が元通りになっているのを目にする。
 更に、天女のように気高く美しい少女の姿が、彼らの前に影のように現れては消える。
 そして、彼女が鐘を突くと、海が急に荒れ始めるのであった。
 とりあえず、彼らは寺で一夜を過ごすことになる。
 秀一は、天音姫という名の少女から島の秘密を聞き出そうとするのだが…。
 天音姫の正体とは…?」

 若干、わかりにくいところもあるのですが(後記で一気に説明するパターン)、まあまあ、面白いです。
 個人的には、美少年と謎の美女のロマンスよりも、脇役の女子高生・トリオのドタバタの方が楽しめました。(完全にギャグ・タッチで、緊張感を削ぎまくりです。)
 あと、揚げ足取りのようですが、巨大な木魚が印象的でした。(経机(きょうづくえ)も大きいので、女性のサイズが小さい可能性もありますが、秀一と対面した時はそこまで身長に差はありませんでした。)

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり(袖にビニールカバー残り)。前の遊び紙、浅丘ルリのイラストを鉛筆でなぞり。糸綴じの穴あり。前後の見返し部分のノド、テープ補修の痕あり。全体的に、多くはないが、シミや食べカス挟みあり。pp122・123、下部にページ同士がくっついて、剥げた痕あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と鉛筆での書き込みあり。

2018年1月8日 ページ作成・執筆

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