谷ゆきお「雪わり変化草」(220円)

「満彦の一家は父親亡き後、ある猟銃会社の社長の世話になっていた。
 社長は満彦を大学にまで入れ、社長の娘、郁子とは愛し合い、婚約する仲。
 しかし、一流射手である満彦がアメリカのライフル会社の性能を試すための試射員に選ばれたことで、運命の歯車が狂いだす。
 社長はある会社から賄賂をもらい、満彦に試射の際、ライバル会社の製品の的をわざと外すように頼む。
 だが、根が真面目な満彦は社長の逆鱗に触れても、断固拒否。
 そして、迎えた試射会の日、ライバル会社のライフルが暴発、満彦は重傷を負う。(これが偶然の事故か、社長の工作かは不明。)
 この事故で、満彦は両手の指を各二本ずつ失い、顔にも醜い傷痕が残る。
 顔が見えないように包帯を巻き、内に引きこもる満彦に、郁子は「人間は心が大切」と励ますが、包帯を取った満彦の姿を見て、あっさり前言撤回。
「そりゃ人間は外側より心が大切だけど程度が問題よ」と、それからは満彦を忌み嫌い、他の男といちゃつく日々を送る。
 また、不具者となった満彦を社長も冷たくあしらい、満彦の一家はどの底の生活を送ることとなる。
 そんな不幸な連鎖の中、遂に、満彦は郁子から一方的に婚約を解消されてしまう…」

 ストーリーは陰鬱の一言。
 不具者になったとたん、周囲の態度が百八十度変わってしまうのが、妙にリアルで怖いです。
 主人公は一流射手ですので、「八つ墓村」ばりに猟銃を手に大暴れするのかと思いきや、リリカルなタイトル通り、感傷的な終わり方をします。(日本が銃社会でなくて、本当に良かったですね。)
 しかし、ストーリーの構成にちょっと無理があるため、感動には程遠く、読後感はただただ、どんよりするだけなのであります。

・備考
 ビニールカバー貼り付き、また、何かにひっついて剥がれた痕あり。表紙の部分から本体から取れかけ。pp3〜10、ページの下隅に小欠損。pp11〜14、ひどいシミあり(p13はシミのせいで、コマの一部が剥げ)。pp91・92、下隅にコマにかかる欠損あり。pp131・132、上隅にコマにかかる欠損あり。前の遊び紙、欠損。後ろの遊び紙に書き込みと、貸出票の剥がし痕あり。

2016年7月21日 ページ作成・執筆

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