望月みさお「学園の白猫少女」(220円)



「成績優秀のため、山奥の分校から、町中の本校に通うことになった中学生の石塚こずえ。
 学校から帰宅後、彼女はもう一人の自分の姿を見る。
 母親にこのことを話すと、母親は暗い顔をするばかり。
 また、学校でも、こずえを目の敵にする野村美代が彼女の分身を目撃し、パニックを起こす。
 そんな時、偶然、こずえは母親の日記を発見。
 それには、こずえの家では代々女の子がもう一人の自分を見ると死んでしまうと書かれてあった。
 死期が近いことにショックを受け、茫然自失のこずえの前に、こずえの分身が現れ、更にこずえを攪乱する。
 混乱した状態で、こずえは登校するが、野村美代が再びこずえの分身を見て、こずえは学校をとび出してしまう。
 こずえを心配するクラスメート、宮原康夫は、こずえの後を追う。
 こずえは、分身に誘われて、下が滝壺の、狭い崖路を歩いていた…」

 望月みさお先生の作品の中では面白い部類に入ると、私は思います。
 怪奇マンガですが、ベースは「学園もの」です。
 田舎からの転入生(それなりに可愛いです。表紙絵も頑張ってます)、彼女とお付き合いしたい男子生徒連中、嫉妬の炎を燃やす高慢ちきな女生徒、ハンサムで理解力のある男子生徒、そして、お約束の熱血教師…ベタ過ぎる〜。
 望月みさお先生は少女マンガ出身ですので、学園マンガは水に合っていたのではないでしょうか、なかなか溌剌と描いている印象があります。
 セリフまわし等、半世紀前のマンガなので、今現在ではかえって味わい深いかも。(「H」って、あの当時から言っていたのですね。)
 また、怪奇マンガとしても、ドッペルゲンガーを扱ったもので、最後までタネを明かさず、読ませます。
 ただ、ラストに明かされる「学園の白猫少女」の正体が、かなり取って付けた感があるのが、ちと残念…。
 とにもかくにも、怪奇マンガとしても学園マンガとしても楽しめる、「二度おいしい」マンガであります。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。湿気により、本体ベコべコ。本文に水濡れの痕ひどし。糸綴じあり。本文の下部に茶色のシミあり、特にpp5〜14がひどし。pp16・17、何かが挟まって、ページが剥げた部分が二か所あり。pp28・29、何かが挟まって、ページが剥げた部分が一か所あり。pp27。28、ページ裂け。前の遊び紙に折れあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とボールペンによる書き込みあり。

2017年2月2・3日 ページ作成・執筆

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