好美のぼる「魚眼少女」(220円)



「潮来(いたこ)の水郷。
 静江は病気の母と二人暮らし。
 彼女は他の子供とも遊ばず、船乗りの兄妹に船で送ってもらい、医者のもとへ喘息の薬を取りに行っていた。
 ある日、彼女が薬をもらっての帰り道、川の中からガータロー(河童)が現れ、薬を奪う。
 静江は薬を取り戻そうとするも、船頭はガータローを恐れ、その場から急いで立ち去る。
 とりあえず、船頭から咳止めをもらうものの、医者からもらった薬でないと母親の病気には効かない。
 もう一度医者を訪ねようと思っていると、川にたらいが浮いており、彼女が乗ると、すいすい進んでいく。
 お陰で薬を手に入れることができたが、船着き場に行くと、たらいがなく、ガータローたちに襲われる。
 彼女と仲良くなった子犬がガータローを退散させるも、結局、静江はガータローによって水に沈められ、行方不明となる。
 数日後、ガータローにさらわれたと思われた静江が家に帰って来る。
 彼女は母親のために薬を作るのだが…。
 ガータローの仲間になった静江の運命は…?」

 タイトル表紙からわかるように「河童」を扱った作品です。
 推測ですが、「河童の三平」に何らかの影響を受けて描かれたのではないでしょうか?
 ただし、「河童の三平」にあったユーモアやヒューマニズムは微塵も存在せず、河童は凶暴凶悪なモンスターとして描かれており、犠牲者はかなりの数にのぼります。
 北杜太郎「水血魔」もですが、今、こういう河童の扱い方をしているマンガを読むと、逆に新鮮に感じます。(個人の感想です。)
 にしても、謎なのは、最初の方に登場する子犬。
 ヒロインと仲良くなって、河童から彼女を守るのかと思いきや、意味不明な行動に出た挙句、ヒロインをガータローにさらわれてしまい、その後、登場しなくなります。
 一体何がしたかったのか…?

・備考
 ある親切な方から貴重な御本をお借りしました。本当にありがとうございます。借りたものですので、問い合わせをされましても、答えられないことが多いと思います。ご了承ください。

2024年7月19・21日 ページ作成・執筆

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