浅丘ルリ「少女魔術師」(190円)
「昌子とその兄は天涯孤独の身で、養護施設に暮らす。
二年前、兄は北海道の家に引き取られ、昌子もまたお金持ちの女性に引き取られる。
その女性の家は林道を延々と歩いた先にある赤い屋根の西洋館であった。
しかし、昌子が館を訪れても、誰も出迎えてはくれず、暗闇から女主人の声がして、彼女の部屋を教えてくれる。
訝しみながらも、昼の疲れがあり、ぐっすり寝ていると、夜中の二時に目が覚める。
すると、どこからか悲鳴が聞こえてきて、また、静かになる。
おかしなことはこれだけにとどまらず、女主人は全く姿を見せず、昌子の世話をするのは聾唖の家政婦のみ。
更に、館の庭にある底なし沼の畔で昌子は頭がおかしい少女と出会う。
その少女が立ち去った後、また別の少女が現れ、昌子に謎めいたことを言うが、すぐに姿を消してしまう。
その夜、昼の少女が昌子の部屋を訪れ、この館には秘密がいっぱいだと打ち明ける。
彼女は以前、昌子と同じように素敵な暮らしを送っていたが、いまはみじめで、身体も衰え、近いうちに死んでしまうかもしれないと言う。
それから、数日後の雷の夜、その少女が再び昌子の部屋にやって来る。
少女はひどく怯えていて、この家の地下室は地獄で、ここの奥様は悪魔だと話す。
彼女は殺されるぐらいならと底なし沼に我が身を沈める。
昌子が助けを求めて、家に入ると、館の女主人がいた。
女主人は、自殺した少女はきちがいだったと説明するが、昌子にはそうは思えない。
彼女はこの館に恐ろしい秘密があると考え、ここから出ようとするが、幽閉されてしまう。
この館の秘密とは…?」
浅丘ルリ先生の初期のスリラーではないでしょうか?
んで、初期から浅丘先生の欠点がもろに出ております。
それは構成のまずさで、ラストの数ページで取ってつけたような説明を一気にすること。
本作品でもラストの強引な謎解きはかなり無理がありますが、それ以上にタイトルの「少女魔術師」の説明は納得できる人はいるんでしょうか?
でも、まあ、絵がかなり可愛く、雰囲気も悪くないので、極端につまらないこともない…というのが実に困りものです。
・備考
カバー欠。糸綴じあり。
2024年2月17・19日 ページ作成・執筆