大内清子「やきもち幽霊さん」(220円)



「幹夫のガールフレンド、梅宮美沙子はトラックに轢き逃げされ、病院で死亡。
 彼女のことが忘れられない幹夫の前に、ある夜、美沙子の幽霊が現れる。
 美沙子の幽霊は幹夫に恨みを晴らしてもらいたいと訴えるが、事情が多少込み入っていた。
 彼女を轢き逃げした車は、実は、リナという少女を標的としていた。
 リナの両親は早くに亡くなり、兄とその嫁(義姉)と共に暮らしていたが、その兄も病死する。
 義姉はリナの財産を手に入れるべく、彼女の命を狙っているのであった。
 幹夫は、美沙子の幽霊にリナのボディガードをするよう懇願される。
 美沙子の幽霊は、幹夫の親友の竹志も仲間に入れ、彼らはリナの邸を訪れる。
 病弱で、学校にも通えなかったリナは、友達ができたと大喜び。
 また、幹夫と竹志も、リナの可愛さに有頂天。
 面白くないのは、美沙子で、幹夫にやきもちを焼きまくる。
 ゴタゴタしながらも、三人はリナを義姉の魔手からどうにかこうにか守る。
 義姉は、リナの彼女を心から慕う心に打たれ、改心するが、義兄はリナを亡きものにするために強硬手段に訴えようとしていた…」

 貸本らしい「テキト〜」な作品ですので、あまりお勧めはできません。
 ただ、「幽霊とコンビを組んで、人を守ろうとする」という設定はなかなか面白いと思います。
 内容を膨らませる余地がまだまだあるのではないでしょうか?
 ネタばれですが、ラストは「美沙子の幽霊がリナに憑依して、また、幹夫と仲良くなりました」というもので、それってハッピー・エンドとは言い難いかも…。
 というのも、これから先、幹夫が別の女性が好きになっても、その女性に美沙子の幽霊が憑りつくワケでして、ヘタしたら死ぬまで、美沙子の幽霊と一緒ってことになります。
 「生きている人間が一番怖い」とは巷で言いますが、こっちの方が始末に負えないような気がします。(これ以上、死にませんしね。それに加えて、日中でも平気で出現してましたので、お経なんかも平気かも。手に負えねェ〜。)

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。小口の下部にゾッキ線あり。糸綴じあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とスタンプ押印。

2017年11月1日 ページ作成・執筆

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