森由岐子「怪談まぼろしの妖花」(220円)

「加賀(石川県)、白山の頂上にある白山比めの神社。
そこに不知雄という青年が訪れる。
彼の父親は神社の神官と親しく、療養に来たのであった。
ある日、神官の娘、美代は彼をとっておきの場所に連れて行く。
そこは美しい湖であったが、土地の人々は「魔性の湖」と呼び近寄らない場所であった。
不知雄が湖の美しさに感動していると、一瞬、水面に美しい娘の顔が映る。
美代はその話を聞き、不知雄を連れて帰るが、その夜、その娘が不知雄に会いに来る。
娘を追うと、不知雄はいつの間にか湖に来ていた。
娘は自分の名は真魚子(まなこ)だと明かし、自分についてはそのうちわかるので何も聞かないよう懇願する。
二人はお互いに恋心を打ち明け、毎夜、逢瀬を重ねる。
ある夜、不知雄は真魚子に結婚をせがまれ、承諾する。
翌朝、神官と美代は彼を湖に見つけ、神官は彼が「魔性の物」にとり憑かれていることを知る。
神官は彼をお札を貼った部屋に閉じ込めるのだが、彼の体には異変が起こりつつあった…。
真魚子の正体とは…?」
「牡丹灯籠」と楳図かずお「半魚人」をミックスしたような内容です。(注1)
森由岐子の怪奇作品は「純愛」をテーマにしたものが多く、相手が魔性のものでも物の怪でも大抵、結ばれますが、この作品では主人公は相手が魔性のものと知って、あっさり心変わり。
でも、その頃には体が魔性のものに変化しつつあり、後半はこのショック描写が見所です。
しかも、ラストに明かされる事実にはガクゼン…。(注2)
結末は、感動的なのかそうでないのか人によって評価が分かれそうですが、個人的には、魔性のものを妊娠させるような奴があの程度で済んで幸運だったと思います。
ちなみに、稀に見るナイス誤植がありましたので、味わってくださいませ。(私は二十年以上前に自動車学校の合宿で移されました。合宿所はサティアンだし、教師もロクな奴がいなかったし、O県のS自動車学校、滅べ!!)
・注1
森由岐子先生の「半魚人もの」には「奇怪な恋の物語」(貸本/ひばり書房)という佳作もあります。
・注2
「火の鳥 宇宙編」のトラウマが蘇りました。
・備考
ビニールカバー貼り付け、また、それによる歪みあり。糸綴じあり。後ろの遊び紙にスタンプと書き込みあり。
2025年8月6日 ページ作成・執筆