しきはるみ「怪談狂恋猫」(230円)



「東大生の花田竜治は、兄に頼まれ、社長令嬢、滝田菊子(高校三年生)の家庭教師をすることとなる。
 彼は、飼い猫を非常に大切にしており、アルバイトの時も常に連れていた。
 竜治は菊子のもとに通い続け、いつしか二人は愛し合うようになる。
 しかし、菊子の両親に、二人の仲を勘付かれ、竜治はお払い箱になる。
 そして、菊子の両親は菊子を軽井沢の別荘に行かせ、竜治のことを忘れさせようとする。
 ところが、菊子に会いに、竜治が毎夜、軽井沢の別荘に通ってくる。
 二人の愛はますます燃え上がるが、同時に、菊子は憔悴していく。
 ある夜、婆やが二人の逢瀬を目撃し、両親に連絡。
 竜治は二度と会わないよう釘を刺されるが、彼には全く身に覚えがなく、また、アリバイがあった。
 おかしいと思い、竜治や菊子の両親はこっそり軽井沢に赴き、菊子の様子を窺うのだが…」

 内容自体は他愛のないものです。
 それよりも、貸本漫画が斜陽になったことから、青年雑誌向けの漫画を模索している様子が興味深かったです。
 しきはるみ先生は頑張って劇画調に描いておりますが、若干、無理をしている感がなきにしもあらず。
 とは言え、あの時代の漫画家は皆、新しい表現を求めて、もがいておりました。
 それを思うと、素直に頭が下がります。

・備考
 カバー痛み、特に、背表紙の上下、ボロボロ。綴じ金が錆で朽ちて、ページが外れ。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2021年3月21日 ページ作成・執筆

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