三田京子「怪談女学生恐怖物語」(220円)


「小さな城下町にある高校。
 晴天から急に雪に変わった時、始業式に遅れて、現れた露今朝淡美。
 淡美は淡雪の精のように神秘的な美しさをたたえたていたが、どこか一抹の寂しさも漂わせていた。
 クラスメート達は、淡美の人間離れした美しさに近づきがたいものを感じ、やがて淡美を「眠れる森の美女」と呼ぶようになる。
 また、淡美は病弱らしかったが、日の照る間は精彩を欠き、日が隠れると、途端に元気になるという不思議なところがあった。
 ある日曜日、担任は、淡美の家庭訪問をしようとするが、どうしてもその家に辿り着けない。
 その話を聞いた、女生徒三人は淡美の謎を暴こうと、彼女の後をつける。
 淡美はある家の玄関に入っていったものの、そこに住む女性は露今朝淡美という人物は住んでいないと言い張る。
 これ以降、女生徒三人は淡美に見張られるようになり、恐れをなした三人は、梢という男子生徒に相談を持ち掛ける。
 相談場所に指定された城跡に梢が来ると、そこには淡美が草むらにあおむけに横たわっていた。
 淡美の美しさに心打たれた梢は、淡美と急接近、二人は仲を深めていく。  しかし、二人の愛がこれから燃え上がろうとする直前、淡美は梢に別れを告げる。
 露今朝淡美の正体とは…?」

 三田京子先生お得意の「純愛少女スリラー」ってやつで、怪奇色は非常に薄いです。
 また、純愛を謳っておりますが、ヒロインの性格はどこか陰湿かつ意味不明なところがあり、私は感情移入をできませんでした。
 それよりも、淡美の正体を暴こうとする女生徒三人組(「垢ぬけなさ」がいい!!)といった脇役の方が遥かに味があって、面白かったです。
 ストーリーや純愛よりも、それとは関係のない部分の描き込みの方が楽しめる…と言ったら、草葉の陰の三田京子先生に失礼に当たりますかね?

 ちなみに、男女の「純愛」描写、鬱陶しいぐらいに「濃い」です。
 やけに肉感的な男女キャラと相まって、後年、エロ劇画の道に進んだのもうなずけるぐらいに「濃い」です。
 どのような感じか、下の画像を参考にされてください。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバーの袖裏に剥がれ痕あり。前の遊び紙、谷の部分がひっついていたため、破れあり。後ろの遊び紙、貼り付き。小口、緑色に塗られる。

2016年11月30日 ページ作成・執筆

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