浅丘ルリ「ショック」(200円)
・「第1話 白い悪夢」
「山中で道に迷い、その上、ひどい嵐に見舞われた少女。
彼女は山中に一軒の館を発見し、雨宿りのため、向かう。
人が住んでいる様子はないのに、灯りはあり、少女が訝っているところに、その家の娘が現れる。
娘は少女を快く迎えてくれるが、どうも様子がおかしい。
そのうちに、娘は自分の母親に会ってくれるよう、少女にお願いをする。
娘は、母親の友だちが五人になったと、妙に楽しそうなのだが…」
タイトルは、ヒッチコックの名作「白い恐怖」からインスパイアされたのでありましょうか?
んで、ラストもヒッチコックの「サイコ」っぽいです。
・「第2話 黒い悪夢」
「高原地帯にある別荘を訪れたルミ子。
彼女は、一足先に別荘にやって来た、友人のキリ子を訪問する。
しかし、キリ子は別荘に来てから、ずっと病気であった。
その病気は、原因はわからず、症状としては悪性貧血のようだと言う。
また、キリ子は、毎晩、こわい夢を見るとも訴える。
その夢は寝室の窓から何か人影が覗き込んでいるというものであった。
その夜、ルミ子も、キリ子と同じ夢を見る。
翌日、キリ子の見舞いに行ったルミ子は、夢のことを話すと、その人影を中に招き入れたらいけないと警告を受ける。
また、ルミ子はキリ子から、近くの別荘に住んでいるエミ―という外国人の少女を紹介される。
どことなく正体の掴めないエミーに対して、ルミ子は本能的に反感を抱くのであった。
その夜、ルミ子の寝室の窓を開けようとする手に気付き、慌てて窓を降ろす。
だが、ルミ子の寝室は二階にあり、ルミ子は今のことが夢なのか現なのかさっぱりワケがわからなくなる。
翌日、キリ子を見舞ったルミ子がエミ―に会うと、手の指に包帯を巻いていた。
昨夜の夢との奇妙な符号を感じ、ルミ子はエミ―を調べようと考える。
早速、ルミ子はエミ―の別荘を訪ねると、エミーは一人暮らしをしていた。
エミ―の話を聞いているうちに、ルミ子は奇怪なことに気付く。
鏡に映ったエミ―の胸元が血に染まっていたのだ。
そのことを指摘すると、エミーは腹を立て、ルミ子を家から追い出す。
ルミ子が帰宅すると、兄の章太郎が別荘にやって来ていた。
章太郎に今までのいきさつを話すと、兄はエミーが吸血鬼ではないかと冗談を言う。
そこで、ものは試しと、翌日の夕方、ルミ子は、エミーの家を訪れる。
ルミ子はエミーに隠し持っていたにんにくを見せつけると、エミーはひどく狼狽し、遂には崖から転落死してしまう…」
もとになった作品は、吸血鬼もののプチ古典、E・F・ベンスン「アムワース夫人」だと思います。
ただ、これを少女マンガ風にアレンジして、それなりに楽しめます。
・「第3話 ひらいた窓」
サキの名短編「開いた窓」そのまんまです。
・「第4話 魔法の手」
ジェイコブスの古典的な傑作(必読!!)「猿の手」そのまんまです。
この作品を読んで、つくづく感じたことは、戦後新しく入って来た怪奇映画や怪奇小説の影響の大きさです。
ここまでダイレクトに影響が出たのは、それが当時の日本人には「おニュー」で「モダン」であったからでしょう。
こういう影響が様々な小説家や漫画家によって日本人の嗜好に合うように「受容・変容」されていったことが、現在の怪奇マンガの基盤の一部分を形成しているように(おぼろげに)感じているのですが、その過程の検証は、正直なところ、私一人の手には余ります。
まあ、私にその時間が許されるならば、知識や考えをぼちぼちと深めていきたいと思っております。(最終的には、神様にお任せするしかありません。)
・備考
カバーがカラーコピー(最近になって気付いた…)。糸綴じの穴あり。p17、鉛筆による「バカヤロ」の落書きあり。後ろの遊び紙に、下敷きにでもしていたのか、文字の刻み跡あり。裏表紙に折れあり。
2016年10月18日 ページ作成・執筆